米国から見た日本におけるコロナ対策の問題点
同誌では、日本の対応の問題点として次の2つをあげています。
・人口比わずか0.185%しか実施されていないテスト
・強制力がない中途半端な外出自粛
日本で実施されたPCR検査は、全国で23万3千件(5月14日時点)となっています。この数字は米国全体で行われた件数のわずか2.2%にすぎません。そもそも、なぜ日本では検査数が少ないのでしょうか?
まず第1に「検査できるインフラが整っていなかったから」というのが理由に挙げられます。検査するスキルが要求され、対応可能な医療機関が限られているために検査を増やすことが物理的に難しい事情があります。
そして第2に感染拡大リスクの問題です。テストを行うには検査者の鼻の穴から綿棒を入れ、鼻や喉の奥の粘膜を摂取します。その結果、くしゃみを誘発して検査者にウイルスが感染してしまう恐れがあるのです。
さらに第3に偽陰性の問題があげられます。検査をしても精度は100%ではなく、感染していていないのに、「感染している」と診断されたり、その逆もあるのです。結果、検査を増やすことで非感染者が医療機関に押し寄せ、貴重な医療リソースを消費してしまう懸念があります。特に医療崩壊の回避は初動の対応が重要ですから、この点については特に慎重さが求められたわけです。
一時はテスト数を抑えることで、感染者数を少なく見せ「日本はオリンピック開催を確実なものにしたい意図がある」などと海外からの批判もありました。しかし、結果的にはテスト数を抑えたことが医療崩壊を阻止し、感染者への十分な医療ケアができたことで死者数を相当抑制出来たといえるのではないでしょうか。
日本が強い都市封鎖を敢行できないワケ
すでにご存知の通り、新型コロナは濃厚接触を通じて感染拡大をしていきます。
そのため、人と人とが物理的な距離を取る「ソーシャルディスタンス」が推奨され、アメリカでは「6フィート」が標語になったものです。ニューヨークでは、公園を歩くニューヨーカーに対して、空中を飛ぶドローンを通じて「ソーシャルディスタンスを保つように」と呼びかけられる事態が話題を呼びました。
米国では不要不急の外出をするものには、罰金を課すなど極めて厳しい対応をしています。その一方で、日本の外出自粛は強制力のない「お願い」ベースでしかありませんでした。また、自粛を呼びかけるレスポンスも極めて遅く、海外の報道から「対応が遅すぎる」と批判を浴びることになってしまいました。未曾有の歴史的パンデミックの佳境であることを考えると、日本の対応はあまりにも牧歌的で、ゆるい自粛の程度に海外は驚きを通り越して呆れているようです。
同誌によると、「日本では国家緊急事態の宣言があっても、政府は人々に家にとどまるよう強制したり、企業に閉鎖を命じたりすることはできない。これは、第二次世界大戦後にアメリカが起草した憲法の遺産である」と、日本の都市封鎖の緩さの理由を解説しています。