妊婦半数以上が無認定受診 新出生前診断、日産婦調査 厚労省で議論へ
2020年10月28日 (水)配信共同通信社
妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる「新出生前診断」を受けた妊婦の半数以上が、学会の認定を受けていない施設を受診していたとする調査結果を日本産科婦人科学会(日産婦)がまとめたことが27日、分かった。国内では109の認定施設で年間1万件以上の検査が行われているが、これを上回る検査が無認定施設で行われている可能性がある。
無認定施設では、結果について十分な情報提供が行われないまま、妊婦が混乱したり、中絶を決めたりする問題点が指摘されている。学会は28日に厚生労働省で開かれる専門委員会に報告。対応を議論する。
調査は、妊婦向けに情報発信を行っているアプリ「Babyプラス」の利用者を対象に実施。調査期間は9月14日~10月31日で、10月16日までに回答を得た893件について中間解析を行った。
結果によると、51%が無認定施設で検査を受けたと回答。学会が原則として検査を認めていない34歳以下では、70%に達した。このほか無認定施設では64%が性別検査を行うなど、学会が認めているダウン症など3種類の染色体異常以外の検査を提供しているのが目立った。
無認定施設を選択した主な理由としては、3種類の染色体異常以外の検査ができる点や、受診当日に検査を受けることができる点、検査費用が安い点などを挙げた。
結果の説明方法に関しては、認定施設では全て口頭や電話で説明していたのに対し、無認定施設では郵送やメールが多かった。
また、認定施設のない県では、無認定施設を利用する妊婦が多いことも分かった。検査が身近な施設で受診できるようになったらよいかという質問には85%が「強くそう思う」と「そう思う」と答えた。
※新出生前診断
妊婦の血液で胎児のダウン症など、3種類の染色体異常を調べる検査。2013年に臨床研究として国内に導入された。確定診断には羊水検査が必要。日本産科婦人科学会は原則35歳以上など対象者を限定し、結果説明や妊婦相談に応じる遺伝カウンセリングを行うなど、認定を受けた施設でのみ実施を認めている。ただ費用が安く手軽に受けられることなどから、無認定施設での受診者が増えつつある。