入念対策も時期尚早の声 国際大会再開、感染相次ぐ
新型コロナウイルス禍で約8カ月ぶりの主要国際大会再開となった柔道のグランドスラム・ブダペスト大会が25日に終了した。接触競技で感染リスクが不安視される中、国際柔道連盟(IJF)は入念な対策で3日間の日程を終了。「成功だった」と強調したが、関係者からは大会実施は時期尚早との声も上がった。
IJFは参加者に対し、入国前にPCR検査で2度の陰性証明を義務付け、入国後も複数回の検査を課した。選手らは会場に隣接したホテルに宿泊。行動は会場との往復に限り、外部との接触遮断を通達した。
福岡県出身で約3年半前からハンガリーで指導する甲斐田謙(かいだ・けん)さんによると、練習場は国ごとにオンライン予約で分けて密集を防いだ。畳は頻繁に消毒。試合と準備運動の選手以外はマスク着用が必須で、警備員が厳しく監視していたという。
無観客開催で61カ国の約400人がエントリー。ただ開幕前の検査で陽性者が相次ぎ、選手4人が感染したイタリアは出場できず動揺が広がった。欧州は感染が再拡大し、甲斐田さんは「開催はまだ早かったかな。参加者とIJFには温度差も感じた」と漏らした。
IJFは閉幕後2週間の参加者の動向を調査し、今後の大会運営に生かす方針。IJF理事を務める講道館の上村春樹(うえむら・はるき)館長は「一つずつ実績を積み上げなければ。ずっと待っていては、東京五輪はできない」と再開の意義を語った。(村形)