高齢者医療2割負担で5案 年収155万~240万円 厚労省提示、来月に結論
75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる制度改革を巡り、厚生労働省は19日、年金収入が年155万~240万円の間で対象を線引きする5案を公表した。対象者は200万~605万人。社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に示した。政府は来週開く全世代型社会保障検討会議で議論し、12月上旬にも結論を出す。
75歳以上の高齢者は1815万人。現在、医療費の窓口負担割合は、現役並みの所得がある人(単身で年収約383万円以上、所得ベースで上位7%)が3割で、それ以外の人は原則1割となっている。
厚労省が公表したのは(1)上位20%(現役並みを除くと13%)、単身で年金収入240万円以上の約200万人が対象(2)上位30%(同23%)、年金収入200万円以上の約370万人(3)上位44%(同37%)、年金収入155万円以上の約605万人―など5案。(1)は介護保険の2割負担の対象と同水準、(3)は住民税の課税対象となる水準だ。
負担増となる高齢者に配慮し、2年間の激変緩和措置も示した。外来受診の負担が1割の時に比べ、最大月4500円の増加に抑えられるよう上限を設ける。2割負担になっても窓口で支払う額は平均で2倍にはならず、1人当たりの負担は現在の年8万1千円から3万1千円増えると試算した。
75歳以上の窓口負担を除く医療費は、現役世代が拠出する「支援金」で約4割、公費で約5割を賄う。団塊の世代が75歳以上になり始める2022年以降は医療費の急増が見込まれ、現役世代の負担はさらに増える。政府は22年度までに支払い能力のある高齢者の負担を引き上げる方針だ。
厚労省は財政に与える影響も公表。現役世代からの支援金は、上位20%を2割負担とした場合で470億円、上位30%で880億円、上位44%で1430億円それぞれ軽減効果がある。