「第3波」幅広い世代へ、見えない感染源…特定エリア・業種の休業要請見送り
2020年11月12日 (木)配信読売新聞
新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、大阪府と兵庫県は11日、それぞれ対策会議を開催した。両府県とも同日、過去最多の新規感染者が確認されており、大阪府の吉村洋文知事は「『第3波』に入っている」との認識を示した。両府県は夜の街や若年層といった特定の要因が見当たらないとして、休業要請などは見送ったが、政府の新型コロナ対策分科会が提言した感染リスクが高まる「五つの場面」への注意を喚起した。
「確実に増加し、右肩上がり。感染が散発的に広がっている」。11日の大阪府の対策会議で吉村知事は警戒感をにじませた。
会議は12日に予定されていたが、感染者の急増を受けて前倒しされた。府内の1日あたりの新規感染者は10月前半まで50人前後で推移してきたが、同月半ばから再び増加傾向に。23日には100人と約40日ぶりに3桁を数え、11月10日には200人を超えた。
今回は、若者を中心に夜の街から広がった第2波と異なり、幅広い年齢層で広がり、目立った傾向が見られないのが特徴だ。
11日の対策会議では、10月1日からスタートした政府の飲食店支援事業「Go To イート」などが要因とする専門家の意見の一方、夜の街での感染者の割合が2割弱、40歳未満が占める割合も5割前後というデータが示され、府幹部は「要因はこれと特定できない」との見方を示した。
対策会議後の記者会見で、吉村知事は「社会経済と感染症対策の両立が重要。現時点では特定エリアや業種の休業要請より、一人ひとりに感染対策の意識を一段と高めてもらうことが有効だ」と、要請を見送った理由を説明。政府の分科会が「飲酒を伴う懇親会」「マスクなしでの会話」などで感染リスクが高まるとしたことを踏まえて、「静かに飲食」「マスクの徹底」を呼びかけた。
兵庫県の井戸敏三知事も対策会議後の記者会見で、「(特定の)感染源がみつかっていない」との見方を示し、「コロナへの警戒が緩くなった懸念がある」と日常的な予防の徹底を呼びかける考えを強調した。
兵庫県の直近1週間の1日あたりの平均感染者数は43・3人で、県独自に定めた警戒基準で最高レベルの「感染拡大期2」(40人以上)に入ったが、「医療体制に不安はない」とし、休業要請については「活動制限をするのは、最後の最後だ」と述べた。
医療体制強化へ
大阪、兵庫両府県では冬場のインフルエンザと新型コロナの同時流行に備えて医療体制の整備を急いでいる。
大阪府では現在、大阪市内に重症患者を専門に受け入れるプレハブ病棟「大阪コロナ重症センター」(約60床)を整備中。11月末以降に一部運用を始める見通しだ。
発熱患者の増加に備え、かかりつけの病院などで診療や検査が受けられるようにする「診療・検査医療機関」の指定も進んでいる。10日までに目標の約1500医療機関の6割にあたる971を指定しており、24日から各医療機関での検査などの受け付けがスタートする。
兵庫県では神戸市内に重症者向けのプレハブ病棟(36床)が完成。9日から運用が始まった。
診療・検査医療機関での検査も大阪に先行して10月27日から始まり、現在、888の医療機関を指定し、対応している。