【島根】<コロナとインフル同時流行懸念>発熱やせき・・・どう対応?
2020年12月2日 (水)配信読売新聞
県 相談体制整備
本格的な冬の到来を前に、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行の懸念が高まっている。発熱やせきなど初期症状の一部が似ており、見分けが付かないためだ。自分や家族が「コロナに感染したかもしれない」と心配になった場合、どう対応すればよいのか。県に最新の相談や検査の体制を聞いた。(阪悠樹)
■まずはかかりつけ医
発熱など、新型コロナやインフルエンザの感染を疑う症状が出た場合、どうすればいいか。県薬事衛生課は「まず、かかりつけ医に電話で相談してほしい」と呼びかける。かかりつけ医は「普段から通っている医療機関」のことで、自宅からの距離は関係ない。すぐむやみに足を運ぶのは禁物だ。電話での相談は結果的に、感染拡大を防ぐことにつながるという。
厚生労働省からの通知を受け、県は各市町村の202施設(11月13日時点)について、新型コロナへの対応ができる「診療・検査医療機関」に指定している。患者のコロナ感染が判明しても時間的、空間的に分割ができ、クラスター(感染集団)が発生する恐れが低い施設が選ばれている。
かかりつけ医が、「診療・検査医療機関」に指定されている場合、そこで適切な対応が受けられる。
■コールセンターに
基礎疾患のない人や若い世代など、日常的に病院を利用しない人はどうするか。かかりつけ医がいなかったり、医療機関の受診を迷ったりした場合は、県が運営する「健康相談コールセンター」に連絡する。センターは県内を7地域に分け、それぞれ管轄する保健所内に置かれている。
症状や行動歴などの必要事項を伝えると、緊急度や重要度にあった受け入れ先の医療機関に誘導される仕組みになっている。
一方、感染が判明した人の濃厚接触者となっている場合など、感染拡大につながる恐れが明らかなときは、こうした手順は当てはまらない。かかりつけ医などを経ず、保健所、検査機関に回して早期に検査を実施するため、一般患者と同じ空間に居合わせることは原則ないという。
■2600件検査可能
現在の新型コロナの相談、検査体制は、県が同時流行に備えて11月に整えた。
厚労省によると、インフルエンザの流行ピーク時における新型コロナを含む県内の検査需要は1日2500件だという。これに対し、「診療・検査医療機関」を含む県内医療機関で、1日2600件の検体採取を可能としており、最大需要を100件上回っている。
ただ、検査できる医療機関は偏在しており、県は「診療・検査医療機関」のほか、出雲、益田、隠岐の島の2市1町に設置している「地域外来・検査センター」を各地で増やし、需要を満たしたい考えだ。
県薬事衛生課の担当者は「大規模クラスターの発生など、不測の事態がいつ起きるかは分からない。できるだけ余力を持って備えたい」としている。
インフル まだほぼ「ゼロ」
県感染症情報センターによると、今季のインフルエンザの県内1定点当たりの患者報告数は11月16~22日(第47週)で0・03人。昨年同週(0・34人)の10分の1以下と、極めて低い感染状況にとどまっている。
患者数が県全体で「ゼロ」という週がほとんどで、新型コロナの感染対策が、インフルエンザの流行も抑えているとみられる。
ただ、報告数が1人以上の「流行期入り」は近年、49週~52週に到来。現在の感染状況が今季を通じて続く根拠はなく、県は「予防接種など、必要な対策を取ってほしい」としている。