厚生労働省が来年2月20、21日に実施する第106回薬剤師国家試験は、新型コロナウイルス感染症の診断がなされた場合、受験を認めないという異例の措置が取られることになった。会場入口で検温を実施し、37.5℃以上の者には迅速抗原検査を実施。陽性反応が出た場合はオンラインで医師が診察を行い、新型コロナウイルス感染症の診断がなされた場合は受験を認めず、追加試験も行わない。濃厚接触者については、試験当日に無症状などの条件を満たせば別室で受験を認める方針。受験者には、試験当日まで感染防止対策など万全の準備が必要になりそうだ。
第106回薬剤師国試は、新型コロナウイルス感染症対策を行った上で、国試の科目、実施方法、合格者の決定方法は変更せずに実施する。
試験当日に新型コロナウイルス感染症に罹患し、入院中、宿泊療養中、自宅療養中の受験者は受験を認めない。会場入口でサーモグラフィカメラによる検温を実施し、37.5℃以上の者や咳などの症状を認めた者は再度、接触型体温計により検温し、37.5℃以上の発熱が認められれば、迅速抗原検査を実施する。
検査の結果、陽性反応が出た場合は、オンラインで医師が診察を行い、新型コロナウイルス感染症と診断されれば受験を認めず、追試などの救済措置も行わない。それ以外の場合は別室での受験となる。
試験当日、新型コロナウイルス感染症の診断で受験できなかった受験者に限り、試験日前後2週間に診断書などの提出によって受験手数料を返還する。
保健所から濃厚接触者に該当するとされた者については、試験前日までに予め申し出ることとした。当日の受験については、▽自治体によるPCR等検査で陰性▽受験当日も無症状▽公共の交通機関を利用せず、自家用車などを使って人が密集する場所を避けて試験場に行く――の条件を満たした場合に別室での受験が可能になる。
当日の試験では、受験者間の間隔を1m以上確保するとされ、受験者にはマスク着用を義務づける。第105回薬剤師国試は全国13会場で実施したが、できる限り広い試験会場が必要になることから、会場数が増える可能性がある。今月中にも試験会場を発表する。希望者数の状況により、受験願書に記載した受験地に隣接する都道府県に所在する試験会場で受験してもらうこともある。
医薬・生活衛生局総務課は、今回の措置について、「37.5℃以上の発熱があった場合には受験を認めないとされていた他の国家試験に比べ、できるだけ多くの人が試験を受けられるように、新型コロナウイルス感染症と診断されなければ試験を受けられるようにした」と説明。
ただ、感染状況がさらに拡大した場合、新型コロナウイルス感染症の感染が疑われる場合の受験要件がより厳しくなる可能性もあるという。
試験会場への誘導や受験できなかった学生へのフォローなど、混乱が予想される当日の試験運営については、「委託している運営事務所と対応を検討していく」としている。
大学に対しては、日頃から手洗い、手指消毒、咳エチケットの徹底、身体的距離の確保など「三つの密」の回避などを行うよう注意喚起し、学生が感染予防に努めながら受験に臨んでもらうようにしたい考えである。