ワクチン月末「完了」91% 12月3回目、新局面に 接種、全国で約1億人 都道府県庁所在地調査
新型コロナウイルスのワクチン事業について、府県都道庁所在地の47市区のうち、43市区(91・5%)が11月末までに2回接種を「完了」することが13日、共同通信の調査で分かった。15日には3回目の追加接種の全容が決まる見込みで、12月の実施に向け、事業は新たな局面に移る。政府の集計(12日公表)では、少なくとも1回目を終えた人は9909万人(総人口の78・2%)で、1億人に迫る。2回終えた人も9458万人(同74・7%)となった。
完了を巡って、政府は11月の早い時期という目標を掲げ、接種を促してきた。明確な基準が示されない中、多くの自治体は「接種率70%台」が一つの目安。完了の判断後も希望者が打てるよう接種体制は維持される。
調査は今月5~10日、47市区に実施した。
11月末までに完了する43市区のうち、15市は政府の目標に沿う形で既に終えた。内訳は「10月後半」が名古屋、福岡など8市。「11月に入って完了した」のは横浜市や岡山市など7市だった。
「11月15日の週」は長崎など4市、「11月22日の週」は福島など3市区。11月末の完了を想定した「11月29日の週」の回答は最多の21市だった。
残る4市は「12月中」(高知)「来年1月以降」(那覇)などだった。
完了時の接種率が人口の80%以上なのは3市で、最も高い回答は山形の81・3%。27市は70%台で完了。そのほかは60%台や無回答などだった。
政府集計によると、65歳以上の接種率は91・0%に上った。2回接種者の割合(今月8日時点)を50代以下で見ると、50代は84・9%、40代は76・4%、30代は69・3%、20代66・0%、12~19歳60・8%だった。
英オックスフォード大の研究者らが運営する「アワー・ワールド・イン・データ」によると、11日時点で2回完了の割合を先進7カ国(G7)で比べると、日本は、米国57・4%、英国67・4%などを上回り2位。トップのカナダ(75・1%)とほぼ肩を並べる。
厚生労働省は15日に専門家で構成するワクチン分科会を開く。無料実施や18歳以上を対象に希望者全員に打つなど3回目の詳細を決める。12月に医療従事者から開始し、高齢者は来年1月からとなる見通しだ。
※新型コロナウイルスのワクチン接種事業
全国の12歳以上の希望者を対象として1人に2回のワクチンを打つ事業。主に市区町村などが担った。開始は2月で、医療従事者を優先対象とした。4月以降、重症化リスクの高い65歳以上の高齢者へ打ち始め、64歳以下へと展開した。ワクチンは2回接種後、時間が経過すると、ウイルスを攻撃する抗体が減り、感染を防ぐ効果が弱まるとの研究報告がある。政府は2回打ち終えてから8カ月以降を目安に、希望者に3回目を実施する方針。