性教育トイレットペーパー 尼崎の小学校が導入
子どもたちに日常の中で性について考えてもらおうと、兵庫県尼崎市立水堂小学校(同市水堂町1丁目)が、性知識が描かれた「性教育トイレットペーパー」を導入した。親しみやすい言葉とイラストを使って生理や射精などの体のしくみ、性の多様性、性的同意、性暴力への対処などがトイレットペーパーに描かれている。
同校で9日、性教育トイレットペーパー400個の寄贈式があった。寄贈したのは、同トイレットペーパーの開発者で「一般社団法人ソウレッジ」(静岡県掛川市)の代表、鶴田七瀬さん(26)。ユネスコの性教育指針「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を参考に、医師や専門家の監修をうけ2019年に作った。
鶴田さんは中学生の時、道ですれ違いざまに体を触られた経験がある。怖かったが、当時何が起きたかをうまく説明できなかったという。大学時代、友人から性暴力被害を打ち明けられたり、同じ学内で予期せぬ妊娠による乳児の死体遺棄事件があったりしたことなどから、性知識が足りないことでつらい経験をすることに関心が向いた。
自分の体を守るための性教育を、日常生活に取り入れる方法としてトイレットペーパーに着目。人目を気にせず読むことができ、関心のない人にも届けられる。鶴田さんによると、中学校や学童保育での購入事例はあるが、小学校内全体での取り組みは全国でも初めてという。費用は寄付で集めた。
鶴田さんが尼崎市の職員研修の講師を務めた縁などから、市は「性教育は正しい知識で自分を守る権利」と導入を決めた。鶴田さんは今年8月、同市に転居。「小学生のうちから知ってほしい。もっと広めたい」と意欲をみせる。同校の小嶋千花校長は「自分の体を知ることは自分を大事にし、相手も大事にすること。人権教育として必要だ」と話した。
トイレットペーパーは同団体のホームページ(https://sowledge.org/)から4個2980円で個人購入もできる。(中塚久美子)