ほんとうに、充実した夜でした。
岡埜葡萄さんの温かい声が、江戸に暮らす人びとを活き活きと描き、浮かびあがらせます。
職人と許嫁のやりとり、すれ違う人びと、町を駆け抜けていくさま。
そして、言葉にならない想いが伝わってきて、胸が温かくなったり、きゅっと切なくなったり。
朗読の言葉によって湧くイメージにいつも心が洗われるのですが、それに加えて今回は、微妙に動くこころを、しっかりと味わえた時間でした。
藤沢周平の世界を、岡埜葡萄さん・武藤哲也さんが大切にわたしたちに伝えてくれました。
涙が溢れるかたも。お客さまたちの感じたものも、また大きかったようでした。
コンサートが終わって、おふたりとお話される方が多かったように思いました。
いつまでも、余韻の残る時間でした。
藤沢周平の小説の合間に添えられた、長田弘「小道の収集」からの詩もまた、心に残りました。
日々慌ただしく過ごすばかりのわたしに、それでいいの?と問いかけられ。立ち止まる大事さをくれた、思いがけない贈りものでした。
この構成の絶妙さ。
おふたりの知る、本の世界の深さと豊かさも、とても魅力的に感じました。
岡埜葡萄さん、武藤哲也さん
素晴らしい時間をありがとうございました!
足を運んでいただいたみなさま、ありがとうございました。
ちなみに。
第1部の効果音は、これ。チベットの鈴?だそうです。片手を下げて、ぶつけてチリーン、と音を出します。
静かな異世界感がたまらない。頭に描いたシーンが、この音でリセットされて次の場面へと。
演出効果ばつぐんでしたよ!
(M)