ドライバーが国道などで重宝するのが道の駅である。わたしもトイレや仮眠、土産物調達、軽食休憩などでよくお世話になる。数は少ないが、気軽に入浴してさっぱりできる日帰り温泉が併設されているところさえある。そんな道の駅は全国で約千二百カ所、道内には百二十余あるのだが北海道はなにせ広いので案外巡り逢えない。新千歳空港に近い安平町の国道を走っているときに見つけた「道の駅あびらD51ステーション」 . . . 本文を読む
高所恐怖症で大の飛行機嫌いだが、それでも乗らざるを得ないことも度々あった。上長同行の出張や、同僚女性が親切に手配してくれた沖縄、熊本、福岡など広島以西の遠方出張などの場合である。そんなときは、帰りの飛行機が羽田に到着すると、地上に戻れて湧きあがるあまりの安堵に、すぐにでも一杯呑みたくなって到着ビルのイタリアンレストランにいつも飛び込んでしまったのだった . . . 本文を読む
気にいった靴(ウォーキングシューズ)はいつも履きつぶしてしまうほうだ。靴がへたれてくるとそろそろ次を探すかと、御徒町に出掛けて安い靴屋を何軒も物色する。たまにジャケットの場合もある。(蓮玉庵にいってぬる燗で蕎麦でもたぐるか・・・」朝早くから一服もせずに歩きまわったが、これはという手ごろなモノがみつからず昼時になってしまった。しかしあそこだと煙草はなしだ。そうだ。前から気になっていたあの店に行ってみるか。上野には創業七十年の老舗「たる松」が二店舗あり、ガード下の本店のほうは何度か訪れているのだがこちらは初めてである . . . 本文を読む
亀戸天満宮に参詣して、ぶらぶらしているといい感じに末枯れたラーメン屋をみつけた。時刻は昼ちょっと前である。ラーメンでも食べるとするかと暖簾を潜った。カウンター席に座る客のうち、二人が呑んでいるのを横目にしてカウンターの端に座った。この店だが、夫婦二人だけで切り盛りしているようだ。テレビの裏側の厨房で高齢にみえる旦那が調理していた。郷に入っては郷に従え、である。焼酎の水割りをとりあえず頼んだ . . . 本文を読む
(おお! この肴のラインナップなら四、五合は呑めるぞ・・・)このお任せ肴盛合せ、なにしろ嫌いなものがなにひとつもない、てえのが凄い。「煙草が吸える旨い蕎麦屋が少なすぎると嘆く貴兄に」と辛口日本酒CM風で始まるメールを、先日、酒場(酒肆)通の友人シュッシ―君からもらった。わたしの無いものねだりの会話を気にしていてくれたのだろう。メールには蕎麦屋の店名、住所が書かれていたのだが、知人が間に入っているのでもし記事にするなら伏せて欲しいとのことだった。とりあえず土曜の昼にお試しあれ、ということで土曜日の昼時終わり掛けに蕎麦屋に到着した . . . 本文を読む
東京のはずれの下町をぶらぶらしているうちに昼ごろになり、北海道料理を出す小体な店をみつけてふらりと入り、カウンター席に座り珍しいラムカルビ焼肉を肴に軽く呑んでいると、入口あたりが急に賑やかになった。「とりあえずナマ四つ、それとラーメンサラダね!」オマエ独り勝ちだったんだから、奢れよな! テーブル席に陣取ったのは、どうやら、徹夜マージャン明けの四人組らしく、徹夜特有の昂揚感に侵されているのだろう、飲む前からハイな気分になっていて妙に明るいし騒がしい . . . 本文を読む
酒呑みはたいてい漬物好きである。わたしもその例にもれないが血圧が高いので漬物は意識してセーブするようにしている。それなのに突然、しゃくし菜が食べたくなった。秩父の宿で五回くらい泊まっているが記憶がない。秩父地方の名物「しゃくし菜」は正式名称を「雪白体菜(せっぱくたいさい)」といって葉の形状がしゃもじに似ていることから名づけられた。一見したところ野沢菜に似ているが繊維質が少なく、塩辛くない。埼玉の秩父の<しゃくし菜>が食べられる酒場をどこか知りませんか? と酒場通の友人にメールしてみた。「あるよっ!」間髪いれず返信がすぐに来たのは、さすがである . . . 本文を読む
旅先での昼メシは当たりもあればハズレも多い。横浜から千数百キロ離れた海辺の観光地を走っていたとき、値段が高い海鮮系でなく、フツ―の食堂で食べられるような手軽な昼メシが食いたくなった。その店に入っていくと、地元客が多かった。これは、当たりかも。店先に出した「営業中」の札をしまっている。ぎりぎりセーフだ。「カルビステーキ定食をください!」指示された卓に落ち着きメニューを広げると、一番上の品が目に飛び込んだのである . . . 本文を読む
山田洋次監督の映画はだいたい食事シーンには、力を入れてない。(とわたしは思う)例外は、「幸福の黄色いハンカチ」の冒頭で、出所したばかりの高倉健が駅前の食堂でまずはビールを注文する。両手で拝むようにコップを持って口から迎え気味にビールを喉を鳴らして飲み、追加注文した醤油ラーメンとカツ丼をガツガツ食べるシーンくらいではないか。健さんはこのたった二、三分のシーンのために二日間絶食したといい、印象に残る名シーンとなった . . . 本文を読む
「上大岡で降りるの? もちろん軽くだよね!」昼過ぎの精進落としなので、店選びはなかなかに難しい。昼飲みできても中休みがある飲食店はダメだし、座れるとシツコクなる。個人的には好きでないがこの際だ、あえて立ち飲み屋を選択した。遠い道中の先輩も早く切りあげられて安心である。駅前の交差点を渡り、そのまま進む。先輩に比べれば、年齢的にパシリなので事前に下調べはしてあった。先輩が落胆するようなところへ連れていきたくはない。そういうところは周到な性格なのだ . . . 本文を読む