夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

天啓赤絵羅漢図五寸皿

2012-09-04 06:35:00 | 陶磁器
赤絵と称される陶磁器の作品群はさらにいくつもの作品群に分かれ、それを模倣した作品が生まれ、ちょっとやそっとの知識ではどの作品群の作品か解らなくなります。良いものはいいから、そのような知識がなくてもよいという御仁がいますが、それはそれで骨董趣味としているものとしては失格です。それなりの知識は必要なのが骨董という分野です。

天啓赤絵で判別が難しいのは日本でも模倣品です。前回投稿した「赤絵」も判断の迷うところです。

天啓赤絵羅漢図五寸皿
口径157*高台径*高さ24






古染付と同じく天啓で使われていた陶土は決して上質のものではなく、そのため焼成時に胎土と釉薬の収縮率の違いから生まれてしまう。特に口縁部は釉が薄く掛かるために気孔が生じて空洞となり、冷却時にその気孔がはじけて素地をみせるめくれがのこってしまう。本来、技術的には問題となるところを当時の茶人は、虫に食われた跡と見立て鑑賞の対象としたようです。古染付特有の特徴であることも知られています。




天啓赤絵も同じすが、少し時代が下がると虫食いや砂付高台が少なくなくなり、逆に高台内に鉋で削った跡が残っている特徴があるようです。高台内の銘には天啓年製の銘や成化年製銘がほとんどのようです。




本作品は「成化年製」の銘となっています。



羅漢図の同じような図柄は他にいくつか作品があるようです。天啓赤絵も古染付と同様に絵の洒脱さが肝心です。



いずれにしても天啓赤絵と称される赤絵は非常に数が少ないようです。


天啓赤絵:古染付と時同じくして天啓年間(1621~27)にはじまり、景徳鎮の民窯にて焼かれた赤絵のこと。萬暦まで続いた官窯様式から脱却した古染付に朱・緑・黄にて上絵付を施しています。その特徴は古染付とほぼ同様であるが、古染付と比してその生産量はかなり少ないです。


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