本日の紹介する作品は奥田潁川とされている?作品です。もちろん「伝」とされる作品ですね。可能性としては漳州窯で焼かれた呉州赤絵の作品に銘を入れた・・??作品かもしれませんね。
呉州赤絵写 龍・麒麟文蓋置 伝奥田頴川作
内側脇「潁川」銘 合箱
全体サイズ:径55*高さ45
頴川のほんものの作品は絵付の筆が実に滑らかに奔放に伸びており、白磁の部分はやや青みがかった不透明感があり、高台がある場合は高台脇には砂付きがあることが常とされます。 一応は条件には適合しているようです。
ただしその特徴を掴んだ贋作が多く存在し、例えば村田寿九郎や頴川の門人の楽只亭嘉助らの模倣はうまいとされていますが、完全には摸作できていないとされています。
奥田潁川は土さえも中国から輸入し、明末清初に漳州窯で焼かれた呉州赤絵の再現をしようとしていますので、奥田頴川の作品は基本的には明末清初の漳州窯の作品に非常に似ています。
虫喰などからまさしく漳州窯で焼かれた呉州赤絵の作品の特徴を捉えています。
漳州窯で焼かれた呉州赤絵は時代が下がると一般的にきれいになってしまい、味が損なわれますが、この作品はほどよい味があるものになっています。
底の周りはきれいに仕上げられているものの砂付きの跡があります。
頴川の作品は銘を入れる場合にはその銘は「頴」という字の偏の上が、“ヒ”ではなくなぜか“止”という形になっているとされます。「ヒ」になっている作品は迷わずに贋作とされます。それと火入れの作品などであまりに手取りの重い作品はダメなようです。
この銘は頴川の自己主張と思われていますが、概して頴川の作品には落款のないものが多いようです。
当方には「潁川」の銘のある作品はこの作品で3作品目となります。銘の字体は下記の写真の資料が参考となるでしょう。
なお箱書のある共箱は皆無であり存在しないとされます。この箱はむろん合箱です。
愉しむには面白い・・。箱に真田紐を通して説明書きを添えて収納しておきます。
青木木米、野々村仁清、高橋道八、そして奥田潁川の作と称する作品は、蒐集家を自負する人は必ずと言っていいほどひと作品は所蔵しているものですが、意外に贋作が多く、しかもひとめで贋作と解かるものが多いのは当方もそうですが、欲がそういうものを呼びこんでしまうのでしょう。人間の性ですね。
当方では蒐集する人が自称する青木木米、野々村仁清、高橋道八、そして奥田潁川の作品では今まで残念ながら本物を見たことがありません。むろん当の本人にはそこのところは明確には発言していませんが、これはがマナーというものでしょう。
それほど珍しく、入手が難しいということででしょうね。
本作品は「漳州窯で焼かれた呉州赤絵の作品」としては佳作となります。蓋置で呉州赤絵の作品は珍しいので、自分で楽しむにはいいでしょう。
余計な銘を入れたのならそれは間違ったことですね。