夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

影青劃花輪花碗

2013-02-02 04:42:18 | 陶磁器
影青・・、インチンという響きは魅力があります。青磁は万国共通で魅力ある陶磁器のひとつには間違いなく、その草創期の作品で影青はもっとも魅力ある作品でしょう。本ブログでもこのほかに二作品を投稿しております。

影青の作品はなんでも鑑定団にも出品されたことがあり、最近少し身近になった分野のようです。

影青劃花輪花碗
合箱入
口径115*高台径*高さ42




影青とは中国産の白磁の一種の俗称。白い磁器質の素地にわずかに鉄分を含む透明の釉をかけたもので、青みをおびた透明性の釉薬となり刻花したものを影青(いんちん)と称します。



隠青とも書かれ,青白磁ともいう。刻まれた筋に釉薬がたまり、そこだけ少し色が濃くなり、文様は白地にうす青くあらわれて,なんとも静謐にして艶かしい様相となり、その文様が花の文様となっている作品が珍重されます。



本作は内部がかせており、時代を感じさせる。全体に薄作りで品格があり、文様が洒脱であり味があります。また、輪花の器の形をしていることで品格が備わっています。本作品の大きな特徴は釉薬が多めに掛けられている点です。内外に幕状となり景色を醸し出しています。



高台を低く作り、円筒形の台を当てて焼いているため、褐色に台の跡が残っています。




この有無が真贋鑑定のポイントの一つです。宋・元時代に中国南部でさかんに焼造され,とくに江西省の景徳鎮窯のものがもっともすぐれているとされています。おそらく発掘品のひとつではないかと推察されます。




影青は近頃では青白磁と呼び慣わしていますが、これは中国と欧米で青白-チンハイと称するようになったのでそれに応じたものであります。

昔は伝世遺品が少なかったので甕学者の注意をひかなかったのですが、のちに中国各地から出土したのをはじめ、朝鮮高麗朝の古墳やわが国の経塚遺跡、さらに南海・オリエントの無数の遺跡から出土して、その分布が世界的な規模に達していること、作品に優秀なものが多いことから一躍その名を高からしめました。



透明釉(ゆう)のなかにきわめて微量に含まれる鉄粉(約0.2~0.3%)が強力な還元炎で焼製されたため、第二酸化鉄が第一酸化鉄に還元された結果、青みを呈します。



その現象は青磁と同じであるが、素地や含有率の相違から気品の高い青白磁になるようです。華南では油質のマツなどの木材を燃料に用いるため、炎が長く理想的な還元炎がつくりやすく、青白磁が流行した。江西省の景徳鎮窯をはじめ、広東(カントン)、福建、安徽(あんき)、河南の各省でも青白磁が焼かれました。

江南の江西・福建・広東の諸省では、早くから灰釉の還元焔焼成による青白磁風の甕器がつくられており、より古いインチンの存在も考えられるし、またその遺品には精粗さまざまの類別があるところから、景徳鎮以外にも産窯のあったことが推測されます。




インチンの器種ははなはだ多様で、花瓶・水注・香炉・瓶子の類から鉢・皿・碗・盃・合子に至るまでつくられぬものはない程であります。上等品の場合、細緻な磁土で薄い胎をつくり文様を彫琢し、微量の鉄分を含んだ灰釉を掛けて還元焔で焼いています。この類は日にかざすと胎が透けて見えることが多いようです。

時代か降るにつれて器胎は厚手になり、文様を型押しにしたもの、あるいは貼り付けなどによったもの、ビ一ズ珠のような連珠堆線を貼り付けて文様としたものなど、施文法にも変化が出てきます。そしてその末に青花白磁、いわゆる染付が現われることになるのであります。

いずれにしても青磁白磁、影青(青白磁)はロマンを誘う陶磁器には相違ないようです。


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