当方で紹介している日本画の作品の中で最も多い画題がおそらく「鯉」だと思います。そして当方で唯一シリーズとして蒐集対象としている「大日本魚類図集」にも「真鯉」と「緋鯉」という鯉を画題とした作品があります。本日はその「真鯉」という作品を入手しましたので紹介します。
大日本魚類画集 NO66 眞鯉 大野麥風画
紙本淡彩額装 版画 1938年9月第1回(第2号の1) タトウ 説明書付
シミあり 画サイズ:縦400*横280(版木部分:270*391)
そもそも「真鯉」と「緋鯉」とは・・・???
調べてみると「真鯉」は種本来の色彩とうろこをもつコイのことで、要は体色が黒っぽい鯉のことのようです。それでは「緋鯉」はというと体色は赤や赤黄色、斑紋のあるものなどさまざまで、ニシキゴイはこれをもとに改良したものだそうです。色だけの区別かな?
「こいのぼり」では「真鯉」は一番上に来ている鯉のことを指します。つまりお父さんのことですが、逆に一概に「緋鯉」はお母さんということではないようです。むろん真鯉や緋鯉の区別に鯉の性別は関係ないようです。
ところで鯉のぼりを飾るようになったのは、江戸時代だといわれています。その頃には、実は黒い色の真鯉だけを飾っていたそうです。当時の絵から推察すると結構リアルな鯉だったかもしれませんね。
ところで「鯉のぼり」のそもそもの由来は、ご存知のように中国の故事からきています。昔、竜門というかなり危険な滝があり、その滝を一匹の鯉が頑張って登って行ったという逸話が「鯉の滝登り」です。さらに竜門を登った鯉は、その努力と強さをたたえられて龍になったという伝説から「登龍門」という言葉のもとにもなっており、中国では科挙の試験に例えらえれます。子どもがどんな苦難にも立ち向かって未来を切り開き、大成してほしいと願う心が鯉のぼりを飾るようになった由来のようです。
さて本日の作品は1938年9月の発刊で第2号(輯)の第1回(12種のうち)ですので、全体のシリーズの13番目の発刊となっています。作品には発刊当時のタトウと説明書栞が遺っていますが、残念ながら作品自体には左右に気になる日焼けの跡があります。
*日焼けのある作品は展覧会でもこれ以上の跡のある何点かの作品がありました。完品な状態の作品蒐集の難しさ、保存方法への配慮の大切さがうかがえますね。
彫師・摺師はおなじみの二人であり、題字は徳富蘇峰です。
なお大日本魚類図集には作品によって摺師や彫師が違う作品もあります。たまに同じ魚の作品でも摺師が違う作品があるようです。
額は既存の額で世界堂で誂えました。
額、マット、面金を選んで楽しめるのもこのシリーズの楽しみです。むろん額に入れないで保存するのが本格的な保存方法ですが、観る時の扱いが慎重にしなくてはいけませんので、当方では飾る際を考慮して額装にして保管しています。
賛否のあるところでしょうが、このように額に入れて、たまに飾りながらも長時間は光に当てないようにしておくという保管方法を悩んだ末に当方では選択しております。
大日本魚類画集 NO66 眞鯉 大野麥風画
紙本淡彩額装 版画 1938年9月第1回(第2号の1) タトウ 説明書付
シミあり 画サイズ:縦400*横280(版木部分:270*391)
そもそも「真鯉」と「緋鯉」とは・・・???
調べてみると「真鯉」は種本来の色彩とうろこをもつコイのことで、要は体色が黒っぽい鯉のことのようです。それでは「緋鯉」はというと体色は赤や赤黄色、斑紋のあるものなどさまざまで、ニシキゴイはこれをもとに改良したものだそうです。色だけの区別かな?
「こいのぼり」では「真鯉」は一番上に来ている鯉のことを指します。つまりお父さんのことですが、逆に一概に「緋鯉」はお母さんということではないようです。むろん真鯉や緋鯉の区別に鯉の性別は関係ないようです。
ところで鯉のぼりを飾るようになったのは、江戸時代だといわれています。その頃には、実は黒い色の真鯉だけを飾っていたそうです。当時の絵から推察すると結構リアルな鯉だったかもしれませんね。
ところで「鯉のぼり」のそもそもの由来は、ご存知のように中国の故事からきています。昔、竜門というかなり危険な滝があり、その滝を一匹の鯉が頑張って登って行ったという逸話が「鯉の滝登り」です。さらに竜門を登った鯉は、その努力と強さをたたえられて龍になったという伝説から「登龍門」という言葉のもとにもなっており、中国では科挙の試験に例えらえれます。子どもがどんな苦難にも立ち向かって未来を切り開き、大成してほしいと願う心が鯉のぼりを飾るようになった由来のようです。
さて本日の作品は1938年9月の発刊で第2号(輯)の第1回(12種のうち)ですので、全体のシリーズの13番目の発刊となっています。作品には発刊当時のタトウと説明書栞が遺っていますが、残念ながら作品自体には左右に気になる日焼けの跡があります。
*日焼けのある作品は展覧会でもこれ以上の跡のある何点かの作品がありました。完品な状態の作品蒐集の難しさ、保存方法への配慮の大切さがうかがえますね。
彫師・摺師はおなじみの二人であり、題字は徳富蘇峰です。
なお大日本魚類図集には作品によって摺師や彫師が違う作品もあります。たまに同じ魚の作品でも摺師が違う作品があるようです。
額は既存の額で世界堂で誂えました。
額、マット、面金を選んで楽しめるのもこのシリーズの楽しみです。むろん額に入れないで保存するのが本格的な保存方法ですが、観る時の扱いが慎重にしなくてはいけませんので、当方では飾る際を考慮して額装にして保管しています。
賛否のあるところでしょうが、このように額に入れて、たまに飾りながらも長時間は光に当てないようにしておくという保管方法を悩んだ末に当方では選択しております。