浜田庄司ら近代陶芸家の作品は茶室の裏側の通路の棚にまとめて保管しています。
*蒐集品の整理というのは非常に難しいものです。種類別がいいのか、作者別がいいのか、探すのにすぐに解るように工夫するのに一苦労ですね。蒐集していくうちに今まで整理してきた場所では狭くなったり、分かりにくくなったりするものです。使用勝手からは茶器は茶器の場所にあるのが使いやすいものですし・・。ともかく探すのにすぐに解る工夫が必要なようです。
近代作家の作品整理については基本的に陶磁器は種別、作家別としています。いつでもすぐに取り出して使えるようにすることがストレスをなくします。蒐集品があちこちに散らばっていて整理されていない状況では探すのにひと苦労し蒐集どころでなくなります。
この棚には中くらいの大きさの作品を収納するようにしています。下記の棚は源内焼専用です。
こちらは短い掛け軸類専用・・・。どこに何を収納したか即時に解るような工夫しています。掛軸はサイズ別です。
さて本日から週末の投稿は浜田庄司の作品紹介です。
浜田庄司は近代陶芸作家では珍しく、作品に銘(サイン)が無い作家です。民芸の精神から個人作家では無く、一介の工人であろうとした為といわれています。民芸の巨匠、人気作家ですが、銘が無いことも含め贋作が多く流通している原因のようです。
また「門窯」という浜田庄司の窯作品や、箱書に「庄司」の署名があっても本人作では無い「窯作品」という作品群があります。これらは基本的に箱に押してある印の形体に違いから区別されています。この工房作品らには花立類や湯飲みに多いようです。門窯といえどの浜田庄司に師事していた島岡達三ら、その後の人間国宝となった陶工が作った作品もあり、いい作品があります。
さて浜田庄司の作品で入門編としては入手しやすい茶碗と花立がありますので、今回は手始めにそのセットで再整理し始めました。再整理の目的は新たに分かったことを記録に残したり、保存方法を見直すことです。
まず最初の作品は、当方で初めて浜田庄司の作品を入手したという作品です。郷里にある当方の男の隠れ家の新築祝いとして浜田庄司の蒐集家から頂いた作品です。
灰釉 六角花立 その1 浜田庄司作(花入 その9)
共箱
全体サイズ:最大幅102*奥行き90~93*高さ195
この作品の入手を契機に機会があるごとに浜田庄司の作品を入手し始めましたが、この作品を頂いた蒐集されていた方からもその後数点の浜田庄司の作品をさらに頂いています。蒐集家は当方の骨董蒐集の師と言える方で、数多くの秀逸な作品を所蔵しており、訪問に際して作品を見せたり見たりが互いの愉しみになっていました。
浜田庄司とその蒐集家はかなりの交流があったようです。一時期は窯買いもしたようで、かなりの数の作品がありました。また棟方志功とも交流があったようで、一時期は「二菩薩釈迦十大弟子」も所蔵していたようです。
浜田窯を訪ねた当時の写真も見せて頂きましたが、共箱の材料まで蒐集家が調達したようです。まるで当方の父と福田豊四郎との関係のようです。父は福田豊四郎が使う材木類を調達していたようです。
ただし蒐集家と浜田庄司の関係は浜田庄司の晩年に限られるようで、蒐集されていた作品はすべて晩年の作でした。そのことにより熟練の浜田庄司の作品のみが集まったようです。晩年の作品はとくに釉薬の具合に素晴らしいものがありますね。
さてセットして紹介するこの茶碗は蒐集初期に当方で入手した作品ですが、残念ながら共箱ではありません。下記のようなラベルが収納箱に貼り付けられていました。
地釉縁黒茶碗 浜田庄司作(茶碗 その14)
合箱
口径145*高さ73*高台径66
浜田庄司の茶碗で最も廉価なのは、「地釉茶碗」や「縁黒茶碗」(皮鯨手)でしょうね。
共箱でない作品であったので、資金の少ない当方でも入手できたのですが、正直なところ面白味にはいまひとつ欠ける浜田庄司の作品です。
浜田庄司や河井寛次郎の作品で銘のない作品に共箱がないと一律に評価は下がるというのは、どうかと思うのですが・・。共箱や印章などの偏重主義的なのが日本の骨董界の主流のようです。
いずれにしろいろんな浜田庄司の作品を実際に見ないと作品自体だけでの判断はつかないものです。これはすべての骨董蒐集に共通しています。
「まずは自分のお金で品を買うべし、次に蒐集を休んで勉強すべし、そして売ってみること」が蒐集の三原則のようです。実際に手に取って多くの作品を見るのが先、当方の経験からは美術館や図集の勉強が先なのはほとんど無駄・・・
本日は手始めに浜田庄司の入門編のような作品の紹介でした。