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木下孝則の蒐集の延長上にある画家の一人が本日紹介する画家「泉治彦」という画家のようです。木下孝則に師事したことからも、一見すると木下孝則の作品かと見間違えるほどその筆致は似ています。ただより洗練され、木下孝則には駄作もあるに比して泉治彦の作品はほとんど佳作と評価される作品ばかりという点です。48歳で亡くなっており、作品数も少ないこともあるかもしれませんが、注目すべき画家のひとりでしょう。
本を読む女性 泉治彦画
油彩額装 左上サイン 誂:黄袋+タトウ
額サイズ:縦525*横435 画サイズ:縦334*横243 F4号
泉治彦(1922-1970 )は神奈川県横浜市に生まれ、「知られざる早世の天才画家」と評されているようで、若い頃から日動画廊の人気実力作家であったそうです。
画風は木下孝則に師事しということから、当方の蒐集対象となっている木下孝則とよく似た感じの作品を描きます。将来を嘱望されていましたが、惜しくもこの頃(1970年)としては若い48歳にて夭逝しています。
30歳にして日展にて特選を2回も受賞し、さらに日展委嘱に推薦されるなどしています。また若い頃には自動車メーカーのイラストや戦後の広告業界の仕事もできる多彩な芸術家でありましたが、早逝のため非常に作品数が少ないとされます。木下孝則と同様に少ない筆触ながら写実味を帯びた優れた描写力が際立つ画家であり、対象の美しさを引き出す魅力的な作品を描きます。
たまにインターネットオークションに出品されていますが、10号程度の大きさの作品で、落札金額はおおよそ10万円程度のようです。名の知れていない画家としては高額な落札金額と言えるでしょう。
本作品のおいては細かい白い肌や、アップにまとめられた黒髪が実に上品で美しい作品となっています。椅子に座り、落ち着いた表情で読書す目鼻だちが整った女性を描き、ワンピースと口紅は橙色で統一され、女性の白い肌によく映えています。
年譜:1922年神奈川県生まれ。木下孝則に師事。
1953年一水賞受賞
1954年日展「千恵子像」特選。
1956年日展「道子像」特選。
1960年一水会委員。
1970年逝去。享年48歳。