夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

黄瀬戸向付 五客揃い

2020-02-27 00:01:00 | 陶磁器
夜更けに原稿作成に忙しいと投稿の予定日が重複した原稿を作成してしまい、朝になって家内から「今日はふたつ?」と寝惚けままに耳元で囁かれます。慌てて飛びおきて原稿の訂正をする始末・・・

最近は新たな入手や購入は避けていますので、現在は蒐集は「休むべし、勉強すべし」のタイミング・・、というのは負け惜しみで資金不足により、しばし整理重視というところ。そこで原稿作成には少し余裕のあるはずですが、次から次へと調べたいことが山積みになっていきます。ただ調べてみたら、以前に調査済であったりしていますので、無駄な手間が増えたりして、一番は記憶の混乱かと危惧する始末、記憶力の低下が著しいのか? それでも2000件を超える作品の所在と概略はまだ理解しているのは我ながら感心・・・

さて本日は黄瀬戸の向付の作品の紹介です。雰囲気の良い作品だと判断し入手した作品です。古瀬戸という判断ではないことをご理解ください。

黄瀬戸向付 五客揃い
古杉箱入
幅90*高さ70



珍重されるのは桃山期の黄瀬戸の作品ですが、新しい工芸品の黄瀬戸の作品に加工して汚し、偽物に仕立てた作品がよくあります。



近代作品は肌がまったく違うようで、本物は砂地に油を流したようなしっとりとした照りがあり、近代作品はざらついた感じがします。



胆礬(たんぱん)釉については本物はもっとほのかに染み込んでいる。近代作品は絵具で描いたようにべたついているとされています。



本物には高台まですべて釉薬がかけてあるものですが、近代作品は土が丸出しの作品が多いようです。桃山期の作品では向付を茶碗に見立てている作品が多くあります。



本作品では見込みに陰刻の花文様があります。全体が刻印ではなく、各々若干違います。ただ手書きではなく花の印、葉と茎の印を別々に押印した作りではないかと推定されます



黄瀬戸は、志野、織部、瀬戸黒とともに、桃山時代、盛んに美濃一帯で作られた焼きものです。黄瀬戸の釉色は、釉薬に含有するわずかな鉄分が酸化焔焼成のために出た色ですが、渋いくすんだ黄色に言い難い親しみがあるとして珍重されています。



よく焼けて釉薬が透明になり、ピカピカと光る黄瀬戸を俗に「ぐいのみ手」と呼び、しっとりとして滋味がありじわじわとした肌をしているのを、「油揚手」と呼んでいます。



一般的にきわめて薄い作りで、内面に梅などの彫りと鉄絵、胆礬の緑彩で表したり、口縁の内側に網代文をめぐらし、鉄彩と緑彩を点じている作品が多くあります。



高台は低く薄い作りで、高台内に置き台の跡が茶褐色に焦げて輪形に残っていることがあります。これは近代でも真似しているので決定的な古瀬戸の判断材料にはならないかもしれません。



約束事はほぼ備えている作品ですが、本作品は桃山期とするには恐れ多いですね。見込みの草花が愛らしくて普段使いの向付としての食器には十分鑑賞に堪え得る作品でしょう。



古い杉箱に収められていました。このような箱では互いに衝突して破損しないように保存しておく必要があります。



食器の保存には今はいい道具がたくさんあります。クッション材、綿材などが廉価でありますが、劣化していく材料は避けたほうがいいでしょう。空気の入ったプチプチなどはすぐに劣化してしまい、よくないようです。



野点の小ぶりな茶碗としても重宝しそうな作品です。古瀬戸などと悩むより、蒐集の基本であろう愉しめる器ですね。





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