夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

ゆき 伊勢正義画 その5

2018-04-27 00:01:00 | 洋画
本日紹介する伊勢正義は小生の郷里とは同じ市で生まれ、隣の市で育ち、高校は同窓であり、小生と同郷としても差支えのない画家です。さらに郷里でのアトリエと思われる建物の解体に母が関係していたことから、縁を感じている画家でもあります。

ゆき 伊勢正義画 その5
油彩額装 左下サイン 日動画廊シール
画サイズP10号:横410*縦530 全体サイズ:縦750*横630



当方の絵画関連の蒐集は対象が日本画をメインにしていますが、上記の理由から伊勢正義の作品を数は少ないですが、何点か手元にあるようになりました。



本作品は「ゆき」という題名からも郷里を思い起こさせる画題でもあります。



郷里でも伊勢正義という画家を知っている人は少ないと思いますが、ましてや全国でも知っている方はもっと比率的には少ない画家かもしれません。本ブログで表現するところの「忘れ去られた画家」に分類されるかもしれませんが、時として「隠れた巨匠」という表現をされることもあります。



独特の趣の人物画を描き、小生にとっては親しみのある画風で好きな画家の一人です。



雪の降る寒い日の母娘を描いた作品ですが、凛としてたたずまいのある女性を描いています。



娘の視線はどこを見つめているのでしょうか?



祖父や父、母が状況の際には訪れていた銀座の日動画廊からの作品のようです。



当時の文部省当局が美術団体を改組しようとして美術界が混乱した渦中に、自由と純粋さを求めて「新制作協会」が結成されました。若き9人の青年画家、猪熊弦一郎、伊勢正義、脇田和、中西利雄、内田巌、小磯良平、佐藤敬、三田康、鈴木誠という今ではそうそうたるメンバーにより結成されました。 そして、創立3年後の昭和14年に志しをともにする本郷新、山内壮夫、吉田芳夫、舟越保武、佐藤忠良、柳原義達、明田川孝の7名の新進彫刻家の参加により、彫刻部が設けら、 戦後には建築部、池辺陽、岡田哲郎、丹下健三、吉村順三、山口文象、谷口吉郎、前川国男の7名(現:スペースデザイン部)そして日本画部(後の創画会)が合流しています。その日本画部には本ブログでおなじみの同郷の福田豊四郎氏が加わっています。同郷の志ある画家らが新しい日本画、洋画を模索していた時代であったのでしょう。

*当方にも「新制作協会」発足記念?の脇田和が描いた絵皿がありましたが、汚れていたので洗ったら絵の具が落ちたしまったという苦い経験があります。



少なからず縁のある郷里の画家、伊勢正義の作品を展示室の渡り廊下に飾ってみました。



郷里の男の隠れ家には2点ほどあるのですが、現在手元にあるのは4点のみの作品です。



すでに本ブログで紹介されている作品ですので、詳細はそちらを観て頂きたいと思います。



晩年ははアラブ、アフリカの生活を題材にした作品を描いていたようです。



現代の画家が失っている品格の高さがうかがえる作品です。

*今年も5月連休は帰郷します。29日よりブログは休稿となりますので、ご了解願います。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。