夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

番シリーズ 汀の鴛鴦図 鈴木鵞湖筆

2012-05-26 05:50:49 | 掛け軸
「ま、いっか。」(集英社文庫 浅田次郎著)のエッセイからまた面白い文章を見つけました。 
『男の背広姿にポケットがいくつあるのかをどうも女性は知らないらしい。大概、男のポケットはスーツとワイシャツで11個のポケットがあります。我々男性のほとんどがどこのポケットに何を入れるかは決まっています。このポケットによって男は女性のようにハンドバックなるものを持ち歩く必要はありません。

男は身軽なほうが性に合っているらしいです。即座に敵と闘えるように男は生理的に出来ている・・。(そういえばセックス時に敵に襲われても男は即座に対応できるのは本能であると言った御仁がいました。)

ところがセカンドバックを持ち歩く男がいるのはどうも怪しい・・。中身には財布とかではなく化粧品を持ち歩いている男が多いらしい。男も本能を忘れつつあるのではないか?』といような多少私見を加えた?内容でした。

最近気になるのはビジネスバックを持ち歩く人の中に、背中にリュックサックを担いでいたり、鞄をショルダーにする人の多いことです。楽なのはわかりますが、私見としては男の美学に合わないように思えます。ただ、やたらビジネスバックを重そうにしているのもどうかと思います。

さて本日の作品は「近代美術の基礎」を築いたと称せられる人物の作品です。

汀の鴛鴦図 鈴木鵞湖筆
紙本水墨 軸先木製 合箱
全体サイズ:縦2310*横665 画サイズ:縦1575*横494





賛は「丁卯□夏画於水雲山房花秀深□□ 我湖山人木□々□甫 印章□□」とあり、慶応2年(1867年)、51歳の最晩年の作品です。




花鳥画が得意でないという鈴木鵞湖ですが、実に丁寧によく描けており、代表的な作品と評して過言ではないでしょう。あきらかに椿椿山の影響がみられるような描き方です。



鳥の表情がまるで人間のようで面白いです。



草花の表現にもひとかどならぬ力量が伺えます。



鈴木鵞湖(すずきがこ):文化13年~明治3年5月22日(1816-1870)
日本画家。名、雄。字、雄飛。幼名、筆三。通称、漸造。号、鵞湖、一鶯、我古山人、水雲山房、東台山麓。

千葉県船橋出身。12歳で江戸に出て、松月という市井画工の門下となる。ほぼ独学で和漢各派の画風を学び、のち谷文晁・相沢石湖に師事。渡辺崋山・椿椿山・高久隆古の影響があった。

御徒町に住み、大沼沈山・福島柳圃・服部波山らの下谷文人達と交流。嘉永3年(1850)より十数年にわたり歴史人物を研究。文人画以外にも、水墨画、花鳥画、風俗画などを描いたが、花鳥は得意ではなかった。近代美術の基礎を築いた。門人に鈴木拳山(1842-1915)など。55歳。二男に石井鼎湖。孫に洋画家石井柏亭・彫刻家石井鶴三がいる。代表作の1つ「十六羅漢像図」は、千葉県指定文化財。作品:「日の出に鶴図」、「富士昇竜図」、「両国橋納涼図」など。

※ 石井鼎湖(1848-1897):日本画家。名、貞次郎。幕末にフランス語を学び、明治に入り大蔵省で公債証書や紙幣の図案を描く。洋画も学ぶ。



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1 コメント

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 (夜噺骨董談義)
2012-05-26 21:44:30
賛は「丁卯中夏画 於水雲山房花秀深處 我古山人雄々飛甫」 と書かれているようです。
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