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紀の川、有吉佐和子、読書

2019-03-06 13:24:24 | 本と雑誌

紀の川、有吉佐和子さんは読んだことがなかったので楽しみでした。

紀の川は昭和30年代に書かれたようです。

話は日清日ロ戦争の頃から始まります。

主人公の花は、庄屋さん(地主階級)の娘に生まれ、紀ノ川の下流にあたる六十谷に嫁ぎ、そして母親になり、娘の文緒を生み、孫の華の代までのお話です。

いわば「女の一生3代記」と言ったところです。

今でこそ日本人の平均寿命は80歳を超えているが、当時は50歳あたりだった。

江戸時代以前からの家、村、慣習の世界が、明治維新によって壊されていく。

その中で生き続ける女(花)の一生といったところ。

日清戦争や日ロ戦争では日本の世相はかわらなかったが、先の第二次大戦の敗北でガラッと世の中が変わった。

価値観が変わったのだ。

家から個人へと事の単位が変わった。

主人公の花は和歌山を流れる紀の川に生まれた。

花は昔からの言い伝えで「嫁入りは、紀の川に沿うて行くもんや、紀の川の流れに逆ろうて嫁入りしちゃあかん」と言うわけで、紀の川の下流の六十谷の名家に嫁いだ。

花の子供の文緒は、そんな花の古くからの慣習に反発して、新時代の女として生きようとしていた。

ちょうど、大正モガが沸き起こってくるころだろう。

文緒は紀ノ川では新時代は生きられないと東京へ出た。

花は大地主で豊かだったので、遠くに住む文緒に乞われるだけ送金していた。

文緒は銀行員と結婚して華を生む。

文緒は海外を転勤して海外の息吹を謳歌していた。

文緒の子供華は、新時代をあまりにも標榜する母の文緒に反発して、反対に祖母の花になついていった。

花は家とか土地、古くからの習わしを大事にしていた。

地に足がついていたのだろう。

花の思いは隔世して華につながった。

結局は、女の思いは綿々と繋がっていく。

と言う大雑把なストーリーだ。

*************

花から文緒を超えて華に繋がる。

女の系図が出来上がる。

戦争時の疎開先は女親のほうに逃げ込むことが多い。

もしかしたら、古来から現代まで日本は女系社会なのではと説いている。

生きることは、時代時代に反発したり、うまく立ち回ったと思っていても、時代に翻弄される。

おそらく、自分の分と言うものが、いくらあがいてもあるのだろう。

有吉佐和子の描く女の一生は壮大だった。

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