1983年の映画です。
監督:大島渚(これが代表作と言っていい)
主演:デビットボーイ
坂本龍一
ビートたけし
音楽:坂本龍一
ロケ地:ニュージョーランド
30年前にこの映画を見た印象と、いま歳を食ってから見た印象が随分違いました。
以前見たときは、重っくるしくて陰鬱な映画だなーとしか記憶になかったが、いま改めて見直したら「大島監督は天才だーーー」に変化した。
写真は全てネットから拾いました。
たけしが若い。
ストーリーはローレンス・ヴァン・デル・ポストのインドネシアのジャワ島での日本軍俘虜収容所の体験を書いた「影さす牢格子」と「種子と蒔く者」を元にした。
ローレンスの名前は映画にも出てくるので、その役が彼自身を描いたものなのか?
ジャワ島レバクセンバタの日本軍俘虜収容所では600人の俘虜が入れられていた。
捕虜が今では一般的ですが、戦時中は俘虜と呼ぶことが多かった。
ストーリーを私が語ることない。
坂本龍一演じるヨノイ陸軍大尉は武士道、神道の体現者で、坂本龍一の素人臭いぎこちない演技が、硬直化した武士道と神道のもろさや幼さをうまく表現していた。
武士道が幼いとは聞き捨てならない言葉でしょうが、当時の連合国のイギリスの兵士達の連帯感を対比すると、武士道や神道は「幼さを隠すため」の「道」や横道・枝葉なんじゃないか、、、と大島渚は描いたんじゃないかしら。
当時の日本と英国、米国と比べた社会の成熟度が、この映画ではあらわになっている。
当時の日本はドジをかますと切腹を命じられたり、戦場で捕虜になりそうになったら自決しろと教えられたいた。
それが日本社会の風潮だった。
ところが、同時代の英国や米国では、捕虜(俘虜)になっても生き延びて、次のチャンスを待ち成果を出せと教えられていた。
自決は愚かな選択だということです。
この戦場のクリスマスでも切腹シーンが出て来ました。
もしかして大島渚さんが思っているのかもしれないが、切腹は命令した者の怠慢じゃないかということ。
切腹が上手く出来なかったら、「覚悟ができていない」などと切腹者を非難できる。
ところが人間は自死できる者の方が「おかしな者」。
その非難は強者の理論で見方でしょ。
切腹させれば命令した者の覚悟が少なくてすむし、命令した者の覚悟など問われない。
全て切腹者任せになる。
切腹は日本の美学とされているが、、、本当は日本人の無責任さの現れなのかもしれない。
美学(という名の?)を押し付けているのだ。
切腹はは美学でもなんでもないということだ!
いや美学という言葉で、大事なものを隠そうとしている。
美学を押し付けて、命令した者の何かを隠している。
この映画で言いたかったのは、もしかして日本社会の幼さを非難まではないが、「一度振り返ってよく考えろよ!」ということかも。
ずいぶん他の評論とは違うと思うが、そんなことを感じた稀有の映画と思う!
大島渚さんは天才です。
デビットボーイの存在感は大きい。たけしの狂人ぶりもいい。
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