T君のカフェに行くと、スノッブなM氏の弟のA君がいて、この間やったというNHKFMの「今日は一日プログレ三昧」の話となった。以前はよく聴いていたが、このところラジオがなく、FMを聴く機会は車以外ではなくなってしまった。確かこれはシリーズ物で、今日は一日ハードロック三昧とかビートルズ三昧とかあったように思う。で、そのプログレ三昧で、当然の事クリムゾンはいくつかかかるが、最初にやったのが「Islands」で、しかも最後まで(曲の終わった後に会話やチューニングの音が間を置いて録音されている)かけたのは凄いとA君が言い、T君と二人して確かにと感心した。普通だったら間違いなく「宮殿」なのだが、「Islands」という選定には唸るしかなかった。プログレ野郎の心意気を感じずにはいられなかった。
その他では、「PFM」「Curved air」「Focus」「クラウス.ュルツ」「Softmachine」「Can」など、プログレ好きにはたまらないラインナップだったということであった。そして「Can」の話となったところですかさずT君が、このまえ「ダモ鈴木」のライブへ行ってサインまでもらいましたよと、A君にそれを見せた。ダモ鈴木というのは「Can」のヴォーカルで、今はドイツに暮らしているらしく、どういう訳か最近こんな田舎のライブハウスでライブを行ったのだ。正直、まだ生きていたのかと思うくらいの、昔活躍した人で、とっくにドラッグで死んでいたと私は思っていた。考えて見れば、海外で活躍した唯一の日本人ボーカリストではないか。
そんな同好の士のプログレ話は盛り上がり、T君がかけた「Islands」が静かに店内に鳴り響き、晩夏の午後のひとときはゆっくりと進んでいった。