ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

アイリッシュマン

2019年11月28日 | 映画


マーチンスコセッシの「アイリッシュマン」という210分の長編を見る。主役はロバートデニーロ。トラック運転手から殺し屋となった、表向きは全米トラック組合の支部長の彼が、老人ホームで過去を回想するところから映画は始まる。そしてその過去のエピソードを次々に描いていく。が全体で大きなドラマになるわけでもなく、どこかで大きく盛り上がるわけでもなく、それぞれの断片的エピソードが淡々と続いていく。その間にマフィアとのつながりとか他の人間関係、家族の問題などが徐々に明らかになる。そんな映画なので途中退席が約二名あり。

「サイレンス」でも感じたがよくこんな映画を作れるものと思う。これだけ長く、しかも物語としての盛り上がりもないのに最後まで飽きさせずに見せるというのは、スコセッシの能力故だろう。マフィアの権力闘争を描いたゴッドファーザーにもでていたアルパチーノが、トラック組合長として権力権力闘争を繰り広げる辺りはゴッドファーザーの世界に通じる。時代背景としてケネディやらニクソンの名もでてきて、そことの裏のつながりとかも匂わすがその陰謀そのものを描くことはしない。飽くまでもデニーロを通した事実を淡々と描く。

こんな映画なのでヒットすることは間違いなくないが、こんな映画が世に出ることは素直に喜びたい。スコセッシがマーベル映画を批判したのにいいねを一つ。
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