Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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三浦謹之助先生の葉書

2025年02月11日 | 医学と医療
私はJean-Martin Charcot先生の晩年の弟子であり,日本の近代医学の父と言われる三浦謹之助先生(1864~1950)にとても関心を持っています.とくにおふたりの師弟関係に注目し,書籍や文献を読みました(ブログ参照).今年はシャルコー生誕200年の記念の年に当たり,記念の式典がパリで開催されますが,ありがたいことに岩田誠先生にご指導をいただいて,そこで三浦謹之助先生についてご紹介する機会を頂きました.また神経学会学術大会でも大会初日の午後に,シャルコー生誕200年特別企画「シャルコーと神経学(座長:山脇健盛先生,福武敏夫先生)」でも発表をさせていただきます.

このような背景もあって,三浦謹之助先生ゆかりの書籍を収集しています.先日,古書店で写真の葉書を見つけ入手しました.日佛協会宛てのもので,昭和23年に書かれたようです.一部は読めるのですが,ほとんど歯が立ちません.フェイスブックで「どなたか解読できる方はいらっしゃいませんでしょうか?」とお願いしたところ,おふたりの先生からご連絡をいただき,解読してくださいました.



◆拝誦然ハ此度貴会理事ニ御任命被下候趣拝承難有奉存候、不肖微力ニ候ヘ共、宜敷願上候 敬具 昭和廿三年七月九日

◆このたび,貴会の理事にご任命いただいたとのこと,誠にありがたく存じます.私の力は微力ではございますが,どうぞよろしくお願い申し上げます. 敬具  昭和23年7月9日

「拝誦然ハ」は「拝して読み上げますが」という意味で,古典的な敬意表現だそうです.
「難有奉存候」は,現代語で言えば「ありがたく存じます」という意味で,儒教的な敬意の文化が色濃く反映されているようです.
「不肖微力ニ候ヘ共」という表現は,自身を謙遜する際に用いられる典型的な漢学的な修辞です.
「宜敷願上候」 という表現は「どうぞよろしくお願い申し上げます」という意味で,相手との礼節を重んじる姿勢がわかります.

以上より,日佛協会,つまり日本とフランスの文化,経済,学術などの交流を促進することを目的とした団体の理事として,日本とフランスの架け橋の役目をなさっていたということのようです.お亡くなりになる2年前の出来事(1948)でした.それにしても三浦謹之助先生の達筆さに驚きましたし,教養の根本の違いを感じました.とくに漢学がバックボーンにあるように思いました.

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