近頃,ひとの名前が思い出せないことが増えました.タイトルの本「思い出せない脳 」を書店で見つけ,即刻購入しました.名古屋大学環境医学研究所の澤田誠教授が分かりやすく記憶の仕組みについて解説されています.
まず「思い出せない」原因には5パターンあるそうです.①そもそも記憶を作ることができなかった,②情動が動かず,重要な記憶と見なされなかった,③睡眠不足で記憶が整理されなかった,④抑制が働いて記憶を引き出せなかった,⑤長い間使わなかったために,記憶が劣化した,です.自分は短時間睡眠なので,とくに③が気になりますが,澤田先生も「睡眠の質が悪化してしまうと,記憶の形成だけでなく,長期記憶を正確に引き出すことも難しくなります.眠らないなんてもったいない!」と睡眠の大切さを強調されています.
関心を持ったのは「過去のことを忘れる大切さ」です.睡眠中に脳は記憶をランダムに想起して,ネットワークをきちんと作っていない不要な神経細胞の結合をみつけると,ミクログリアが現れて,スパイン(神経細胞の樹状突起にあるトゲ)を「刈り取ってしまう」のだそうです.澤田先生は「ミクログリアは記憶を食べる細胞」と仰っています.必要な記憶を残し,不要な記憶を消去する仕組みがあるわけです.
原因が分かると記憶力向上のポイントがわかります.「神経細胞を減らさないように,健康的な生活習慣を身につけること」「好奇心を持ち,心を動かしながら日々を過ごすこと」「どうしても思い出せない時は思い出すのをやめてみること」「どうしても忘れたくない記憶は定期的に思い出すこと」.いずれも科学的な説明がありとても納得できます.またとっつきにくい視床,扁桃体,側坐核,海馬,前頭前野,大脳新皮質などの記憶における働きもとてもよく理解できました(図).
さらに本書を読むと以下のことが分かります.
◆記憶が消えるとき,脳の中で何が消えているのか
◆思い出そうと頑張るほど思い出せない理由
◆お酒を飲みすぎると記憶を失う仕組み
◆思い出すたびに記憶は強化されるが必ず変容してしまう
◆なぜドラマの「記憶喪失」は重要なことだけ忘れる?
◆脳の「いい加減」さこそが人類を進化させた
◆認知機能を保持できる「認知予備能」とは何か
また各章のはじめにあるミニストーリーもなかなか秀逸です.とてもおすすめの本です!
思い出せない脳(講談社現代新書)
まず「思い出せない」原因には5パターンあるそうです.①そもそも記憶を作ることができなかった,②情動が動かず,重要な記憶と見なされなかった,③睡眠不足で記憶が整理されなかった,④抑制が働いて記憶を引き出せなかった,⑤長い間使わなかったために,記憶が劣化した,です.自分は短時間睡眠なので,とくに③が気になりますが,澤田先生も「睡眠の質が悪化してしまうと,記憶の形成だけでなく,長期記憶を正確に引き出すことも難しくなります.眠らないなんてもったいない!」と睡眠の大切さを強調されています.
関心を持ったのは「過去のことを忘れる大切さ」です.睡眠中に脳は記憶をランダムに想起して,ネットワークをきちんと作っていない不要な神経細胞の結合をみつけると,ミクログリアが現れて,スパイン(神経細胞の樹状突起にあるトゲ)を「刈り取ってしまう」のだそうです.澤田先生は「ミクログリアは記憶を食べる細胞」と仰っています.必要な記憶を残し,不要な記憶を消去する仕組みがあるわけです.
原因が分かると記憶力向上のポイントがわかります.「神経細胞を減らさないように,健康的な生活習慣を身につけること」「好奇心を持ち,心を動かしながら日々を過ごすこと」「どうしても思い出せない時は思い出すのをやめてみること」「どうしても忘れたくない記憶は定期的に思い出すこと」.いずれも科学的な説明がありとても納得できます.またとっつきにくい視床,扁桃体,側坐核,海馬,前頭前野,大脳新皮質などの記憶における働きもとてもよく理解できました(図).
さらに本書を読むと以下のことが分かります.
◆記憶が消えるとき,脳の中で何が消えているのか
◆思い出そうと頑張るほど思い出せない理由
◆お酒を飲みすぎると記憶を失う仕組み
◆思い出すたびに記憶は強化されるが必ず変容してしまう
◆なぜドラマの「記憶喪失」は重要なことだけ忘れる?
◆脳の「いい加減」さこそが人類を進化させた
◆認知機能を保持できる「認知予備能」とは何か
また各章のはじめにあるミニストーリーもなかなか秀逸です.とてもおすすめの本です!
思い出せない脳(講談社現代新書)