書店に出かけていつものように文庫本のコーナーを順に見てまわる。
おっ、出てる、出てる
『陰陽師 平成講釈 安倍晴明伝』 夢枕 獏著 文春文庫
タイトルから想像できるように、人気の『陰陽師』シリーズとはちょいと趣を異にする。
著者自ら夢枕 獏秀斎という講釈師となって語るという趣向。
だから文章語ではなくてごく普通の話し言葉で書きつづられている。
そして、いつもの『陰陽師』シリーズのように安倍晴明と源博雅が京の都の事件を解決していく、という内容ではないのよね。
明治時代以降に出版された速記本というものを種本として、物語が語られていくわけだが…。
脱線する、横道に逸れる、飛ぶ…。
著者である夢枕獏とその分身である獏秀斎が二重映しになっていてね。
それが面白いのよねぇぇ
ちょっと抜き出してみると
≪西に本屋で平積みになっている某先生の本があれば、その上に棚差しの自分の本を置き、東に筆者より売れている某先生の本があれば、自分の本とカバーを取りかえてしまう……、南に某先生の本を買う人あれば、つまらないからやめろと言い、北で文学賞の選考があれば、行ってつけとどけをし、節操はなく、締め切り守らず、いつも静かに税金対策のことを考えてる、そういう人間なのです、このわたくしは――≫
元ネタを思い出してヌクククク…と笑っちゃう。
玉三郎さんの舞台を観に行っただの、勘九郎(故勘三郎)さんと盛り上がっただの、ルフトハンザの機内で書いているだの、そのときそのときの著者の現実が語られもする。
はぁ、なるほどぉ、これが講談=講釈ってものなのねぇと、その臨場感の楽しさ。
そして本来の物語の方は…、これがまたぐぐぐっと引き込まれる面白さ。
安倍晴明が安倍晴明となる以前の、いわば少年時代のエピソードが主軸。
人気シリーズ『陰陽師』とはノリもテンポも空気の色も空間の音色もすべてが違う。
違うが、引き込む力はスゴイのよねぇぇ。
さ、続きを読もうっと…
おっ、出てる、出てる
『陰陽師 平成講釈 安倍晴明伝』 夢枕 獏著 文春文庫
タイトルから想像できるように、人気の『陰陽師』シリーズとはちょいと趣を異にする。
著者自ら夢枕 獏秀斎という講釈師となって語るという趣向。
だから文章語ではなくてごく普通の話し言葉で書きつづられている。
そして、いつもの『陰陽師』シリーズのように安倍晴明と源博雅が京の都の事件を解決していく、という内容ではないのよね。
明治時代以降に出版された速記本というものを種本として、物語が語られていくわけだが…。
脱線する、横道に逸れる、飛ぶ…。
著者である夢枕獏とその分身である獏秀斎が二重映しになっていてね。
それが面白いのよねぇぇ
ちょっと抜き出してみると
≪西に本屋で平積みになっている某先生の本があれば、その上に棚差しの自分の本を置き、東に筆者より売れている某先生の本があれば、自分の本とカバーを取りかえてしまう……、南に某先生の本を買う人あれば、つまらないからやめろと言い、北で文学賞の選考があれば、行ってつけとどけをし、節操はなく、締め切り守らず、いつも静かに税金対策のことを考えてる、そういう人間なのです、このわたくしは――≫
元ネタを思い出してヌクククク…と笑っちゃう。
玉三郎さんの舞台を観に行っただの、勘九郎(故勘三郎)さんと盛り上がっただの、ルフトハンザの機内で書いているだの、そのときそのときの著者の現実が語られもする。
はぁ、なるほどぉ、これが講談=講釈ってものなのねぇと、その臨場感の楽しさ。
そして本来の物語の方は…、これがまたぐぐぐっと引き込まれる面白さ。
安倍晴明が安倍晴明となる以前の、いわば少年時代のエピソードが主軸。
人気シリーズ『陰陽師』とはノリもテンポも空気の色も空間の音色もすべてが違う。
違うが、引き込む力はスゴイのよねぇぇ。
さ、続きを読もうっと…