■ IMFストロスカーン専務理事が逮捕された ■
IMF専務理事が性的暴行容疑で訴追、フランス・IMFに衝撃
(ロイター)
<引用開始>
[ニューヨーク/パリ 15日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事(62)が、ニューヨーク市内のホテルで女性従業員に性的暴行を加えようとしたとして、15日までに逮捕・訴追された。
同専務理事は来年の仏大統領選の有力候補。ユーロ圏債務危機の対応に追われるIMFはトップ不在という異常事態に追い込まれた。
ニューヨーク市警によると、専務理事はニューヨークのジョン・F・ケネディ空港でパリに向け出発直前のエール・フランス機内にいたところを警察に身柄を拘束された。
性的暴行を受けたと話しているのはニューヨークのホテルの客室係の女性(32歳)。
警察のスポークスマンは「ストロスカーン氏は携帯電話を置き忘れており、NY市警は彼が逃亡したと認識した。エール・フランス機に搭乗したことが分かったので、同機から彼を降ろした。現在警察に拘束されて事情聴取を受けている」と述べた。
事件があったのはタイムズ・スクエア近くのホテル「ソフィテルニューヨーク」。客室係の女性は軽傷を負っており、EMS(緊急医療サービス)によってルーズベルト・ホテルに運ばれ、治療を受けたという。
- 後略 -
<引用終わり>
■ 通貨の番人 IMF ■
IMFは「通貨の番人」とも呼ばれています。
国際通貨基金は、1944年のいわゆるブレトン・ウッズ会議で創立が決定、調印された「国際通貨基金協定」により1947年に業務を開始した国際機関。現在184か国が加盟している。
加盟国が経常収支が著しく悪化した場合などに融資などを実施することで、国際貿易の促進、加盟国の高水準の雇用と国民所得の増大、為替の安定、などに寄与する事を目的としている。 また、為替相場の安定のために、経常収支が悪化した国への融資や、為替相場と各国の為替政策の監視などを行っている。各国の中央銀行の取りまとめ役のような役割を負う。
毎年秋に年次総会と呼ばれる世界銀行と合同の総務会を開催。また年2度の国際通貨金融委員会の開催も行っている。
<引用終わり>
■ IMFの救済プログラムとは? ■
途上国など経済破綻した国があれば、IMFが資金を貸し付けて財政を再建します。その過程で財閥を解体したり、古い利権構造を撤廃したりと、その国の支配者達の利権を根こそぎ解体していくので、IMFの介入を途上国は嫌います。
一見すると、IMFは正義の味方の様ですが、IMFの介入後は途上国の実物経済は破壊され、世界経済の大きな歯車の一つに組み込まれるので、長期的には貧困の増大に繋がります。
例えば自給型経済が支配していた農村に、IMFの資金で、WFP(世界食料機構)が穀物の支援をしたり、農業援助をしたりします。近代農業の普及によって農村は潤う様に見えますが、現金収入を得る為に作物は農村から流出します。一方、使用される種子は,
モンサントやデュポンなど穀物メジャーの供給する。1世代限りのF1シードと呼ばれる種子ですから、毎年種子を購入する必要が生じます。
このように、IMFの支援は、その国に従来からあった経済システムを破壊して、グローバル経済に組み込む働きを担ってきました。
■ IMF特別引出権(SDR)を利用した共通通貨構想 ■
ブレトンウッズ会議の結果、ドルの機軸制と共に生まれたIMFですが、ニクソンショックによってドルの信認が揺らいだ時に、IMFは「特別引出権(SDR)」というシステムを作ります。
複数通貨をバスケットに入れ、それをSDRという「機軸通貨の代用品」として運用しようという試みです。
ニクソンショックの後、石油ショックが起こり石油が高等した為、各国は石油購入の為のドルが大量に必要になり、金兌換性を廃止したドルは、辛うじて基軸通貨としての地位を保つ事が出来ました。(修正ブレトンウッズ体勢)
リーマンショックの後、ドルの信任に疑問が持たれた時、フランスのサルコジ大統領は、SDRを国際通貨にしようと提案します。これはドルが頑張っている為に実現していませんが、サルコジ大統領はBRICs諸国と連携して、SDRの実現を模索しています。
ドルにとって、IMFとSDRは目障りな存在です。
■ 石油ショック再び ■
ドルやユーロの信認が揺らいでいる現在、世界の通過が辿るであろう道筋は二つあります。
① ドル機軸制に変わる、SDRなどの新たな機軸通貨を採用する
② ドルの機軸性を、何らかの形で維持する
アメリカの一極集中が崩壊する中で、ドルの機軸制は長期的には後退してゆきます。
多極化する世界での通貨制度としては次の様なシステムが有効です。
① 多極化のブロック毎に機軸通貨を決める
② 北米(ドル or アメロ),南米(レアル)、アジア(元)、ロシア(ルーブル)
欧州(ユーロ)、中東(ディナール)、アフリカ(?)
③ それぞれの通貨をバスケットに入れ、SDRの様なシステムで運用する
④ メリットは単独通貨の信任が由来でも、国際的な決済システムは維持できる
■ ドルを延命させたいアメリカ ■
アメリカの繁栄は、ドルの一極支配の上に成り立っていました。SDRの導入はドルによる世界支配の終焉を意味し、アメリカにとっては容認し難い事です。
アメリカは短期的には、SDRを阻止する行動に出るはずです。
ニクソンショックと同じ手を使うならば・・・。
① 中東で戦争の勃発(イスラエル 対 アラブ諸国)
② 石油高騰
③ 原油決済通貨としてのドル需要の拡大
さらにこんなオマケも付いてきます
④ インフレの進行により、アメリカの借金が軽くなる
⑤ ドルが延命し、アメリカ国債も延命する
■ 突然死か、緩慢な死か? ■
ドルの延命は世界にとっては嬉しい話ではありません。
ドル延命のメリットはアメリカにしかありません。
アメリカとドルに危機が発生すれば、世界経済が混乱する事も現在と変わりありません。
そこで、世界はドルの緩慢な死と、新しい通貨体制の稼動を模索しています。
オバマ大統領をはじめとする、アメリカ国内のヨーロッパ寄り(グローバル派)も同様な思惑で動いているでしょう。
しかし、一方でアメリカ国内の一極主義者達は、ドルの一極支配を手放したくありません。
彼らは戦争などの荒っぽい手法で、「一発逆転」を図るかも知れません。
■ キーワードは中東 ■
中東の民主化革命が、中東に新たな不安定を生み出しています。
ビン・ラディン殺害がもたらす、中東の反キリスト教圏の気運も無視出来ません。
ドルもユーロもグダグダなので、アメリカの一極主義者達と、ヨーロッパを始めとするグローバル主義者(田中宇氏でいうところの多極主義者)の利害が意外に一致しているかもしれません。
中東で戦争を起こして、原油高騰によって通貨需要を作り出し、インフレによって財政赤字を軽減する。
違いは、勝者がアメリカになるか、グローバルになるかです。
■ アメリカは内部崩壊する ■
戦後のベビーブーマーのリタイアを控えて、アメリカの財政は益々悪化します。
オバマ大統領の導入した医療保険制度が、財政赤字をさらに加速させます。
グローバル主義者達は、アメリカに内部崩壊の時限爆弾を仕掛けています。
アメリカの「友達」の日本も、地震と原発で、グダグダの状態で頼りになりません。
放っておいても、アメリカの内部崩壊は5年、10年の内には確実になります。
アメリカがこの緩慢な死を受け入れるのか、それとも博打に出るのかで、ドル崩壊の時期が決まります。
グローバル派達は、どういうタイミングで有事が発生しても勝つ準備は既に整えています。
後は「有事」の理由が必要です。・・・「戦争の大義名分」とはいったい・・・ラディンか?
■ IMFのストロスカーン逮捕の後ろにあるもの ■
ストロスカーン氏は、ニュースや新聞レベルの報道では、「エッチなフランス人オヤジ」程度の扱いになるでしょう。
もう少し突っ込んだメディアでは、次期フランス大統領選絡みの謀略説を説くでしょう。
陰謀論が大好きな「人力でGO」は、「通貨戦争」がギリギリの所まで来ているサインとして、ストロスカーン氏逮捕を見ています。
さて、真相はいかに?!
<追記>
パレスチナ人がイスラエルに越境して、イスラエル軍による発砲で死者が出ている様です。
これまで比較的安定していたシリアのゴラン高原でも死者が出るなど、今までアサドが比較的治安を維持していた地域での混乱だけに、中東民主化がどういう事になるのか、端的な例を示していると思われます。
これが、いつもの小競り合いで収まるのか、あるいは小競り合いを繰り返す内に、本気になってしまうのか・・・中東情勢は目が離せません。