2009年 9月 14日 の「人力でGO」の記事を再掲載します。
「スーマートで無いスマートグリット」
<再掲載>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/08/879db7f52cc7c7bedb6ebc81d19d09de.jpg)
■ 自然エネルギー利用には蓄電池が必要になる ■
二酸化炭素起因の温暖化問題で、CO2を排出しない自然エネルギーがにわかに脚光を集めています。
太陽光発電や、風力発電がその筆頭に挙げられています。
ところが、本格的な自然エネルギー発電には越えなければならない大きなハードルがありあます。
それが、蓄電池(バッテリー)の問題です。
太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池は、太陽光の強さ(照度)によって、
その発電量が左右されます。
太陽光の強さは、朝・昼・夕という一日の時間の中でも大きく変動します。
又、曇天や雨天など天候によっても大きく左右されます。
そして、大きな雲が流れている日などは、雲の影によっても、めまぐるしく変化します。
めまぐるしく変化する発電量は、「商品としての電気の質」を著しく低下させます。
具体的には、電圧の変動や、高調波の増加という結果として表れます。
■ 蓄電池は発電コストを145円/1kwhにしてしまう■
現状、日本の全発電量に対する太陽光発電の割合は0.1%程度です。
この程度の発電量であれば、送電網はこのめまぐるしく変動する自然エネルギー発電を、
誤差の範囲として吸収する事が出来ます。
従って、現在家庭に設置されている太陽光発電には、
蓄電設備は含まれておらず、余剰な電力は送電網に逆流されています。
足りない電力や、夜間の電力は電力会社から購入します。
現在、この様な逐電設備を持たない家庭用の太陽電池発電の発電コストは、
償却年を20年に設定した場合、47円/1kwh~63円/khwです。
電力会社の家庭用電力の料金が22円/kwh程度です。
これが産業用電力ともなると、7円/kwh程度ですから、実に7倍から9倍のコストになります。
ところが、将来的に自然エネルギー発電の割合が増えると
自然エネルギーによる電源の揺らぎは、無視出来ないものとなります。
例えば、在る地域の10%の電力を、太陽光発電で賄っていたとします。
天気が急変し、厚い雲が急に広がれば、少なくとも5%の電力供給が低下します。
原子力発電所が細かな出力調整が出来ません。
現状でも、消費量の変動に対する、供給電力量の調整は火力発電所が担っています。
電気の消費量が過剰になると、電源のサイクル(Hz)が低下するそうです。
ですから、火力発電所は電源サイクルを一定に保つように、
細かな調整を掛けて運転されています。
5%、10%という電力消費の変動は、ゆっくりと進行します。
しかし、自然ヘネルギーの変動は急峻です。
広いエリアで見れば、平均化するのでしょうが、
狭いエリアでは、5%くらいの変動が絶えず起こる事態も考えられます。
この様な、ローカルの変動は、火力発電所でコントロールし切れません。
よって、自然エネルギーの増加は、電源の質の低下に直結します。
そこで、バッファーとしての蓄電池が必要不可欠になります。
ところが高性能な蓄電池は非常に高価です。
3.5Kwhクラスの家庭用太陽光発電で、
コストと電源への影響を考慮した最適蓄電設備を設置すると、
発電コストは100円/kwh程度跳ね上がってしまいます。
太陽電池を含めると、1kwhあたり145円という、ありえない発電コストになってしまいます。
■ スマートグリットは蓄電設備を家庭から電力網に移しただけ ■
最近良く耳にするスマートグリットという言葉。
電力消費の多い地域に、電力消費の少ない地域の電力を融通したり、
送電線の事故など、停電の際に、送電ルートを変更して早期に停電を復旧するシステムです。
アメリカは送電網のインフラが老朽化して、停電も多く、
スマートグリットへの移行が、国を挙げての急務となっています。
さらに、アメリカでは、この新規に構築するスマートグリットに、
自然エネルギーに対応する為の蓄電設備を組み込もうとしています。
家庭用や自然エネルギーの発電設備で個々に蓄電設備を所有するのでは無く、
送電システム自体に大型の蓄電設備を組み込むという考え方です。
一方、電力会社が継続的に送電インフラの投資してきた日本では、
蓄電設備以外は、既にスマートグリットhの構築は終了していると言っても過言ではありません。
ところが、これに自然エネルギー対応の蓄電設備を追加しようとすると、
5兆円以上のコストが掛かります。
100kW級の原子炉の建設費が、1基3000億円程度ですから、
単純計算で原子炉16基分に相当するコストが蓄電池に掛かる事になります。
蓄電池自体は発電しませんし、製造、廃棄で環境負荷が掛かります。
さらに、蓄電池の寿命は10年程度です・・・。
これをナンセンスと言わずして何と言うのでしょうか?
これは、スマート・グリットでは無くて、ファット・グリットです。
■ 電気自動車やプラグインハイブリットをスマートグリットに組み込む ■
そこで、コストダウンの為の妙案が、
電気自動車やプラグイン・ハイブリット車のバッテリーをスマートグリットに組み込む案です。
これは、各家庭で蓄電池設備を設ける事と同じ考え方で、
昼間、車を使用していない時間に、その蓄電池を流用するという案です。
しかし、プリウスの蓄電容量は1.6Kwh程度です。
家庭用太陽光発電では5Kwh程度の蓄電容量を必要としますが、
一台のプリウスでは足りません。
太陽光発電の家庭1軒の蓄電容量を、3台のプリウスで確保する事になります。
両隣のお宅もプリウスならば、問題無さそうです。
1台のプリウスのバッテリー容量を3倍にして、
価格で90万円、重量も90kgアップするよりも現実的です。
一方、電気自動車の場合は、高容量のリチウムイオンバッテリーを搭載していますので、
多分1台で、所定の蓄電容量を確保出来そうですが、
現状、車用リチウムイオンバッテリーの価格は250万円です。
この様に、スマート・グリットの中に電気自動車はプラグインハイブリット車を組み込む案は
発電用(電源環境の安定化用)に専用のバッテリーを設置するよりも、余程合理的です。
但し、日曜日の昼間など、車の稼働率の高い時間帯で
蓄電容量が減少するという問題が発生します。
■ バッテリーの価格は下がらない ■
本格的自然エネルギーの発電が普及するには、
蓄電池のコストが現状の1/10程度になる事が求められています。
しかし、化学的蓄電池の蓄電容量は、物質の使用量に比例しています。
飛躍的な蓄電容量も高密度化が進まない限り、蓄電池のコストは下がりません。
むしろ、電気自動車やハイブリット車が本格普及すれば、
原材料の一部であるレアメタルは高騰します。
実は蓄電池の充電密度はあまり向上していません。
リチウムイオン蓄電池も20年前からある技術です。
これらの事を考えると、バッテリーの価格は劇的に安くなる事は無く、
自然エネルギーの本格普及は、蓄電池のコストを押し上げる可能性もあります。
■ バッテリーの環境負荷を無視する現状の太陽光発電のLCA ■
良く、自然エネルギーは環境負荷が低いと言われます。
しかし、太陽光発電のLCAは、蓄電池のLCAを抜いて計算されています。
実際の自然エネルギーは蓄電池無くしては成り立たない技術です。
現在の技術レベルでは、自然エネルギーの本格普及は環境負荷を一時的に高めこそすれ、
下げる事は出来ないでしょう。
それ以前に、発電コストの上昇分を誰が負担するのでしょうか・・・・。
環境問題は、理想論で語られる事が多すぎます。
解決しなければならない課題に目をつぶり、
~なら ~とか という希望的前提の下に、
大した議論もされずに「良いこと」にされてしまう事が多すぎます。
この様な、思考停止こそが、
環境ファシズムが勃興する温床となるのでは無いでしょうか。
<再掲載終わり>
SoftBankの孫正義が、「メガ・ソーラ」構想を発表し、菅総理がG8で、自然エネルギーの比率を高めると発表するなど、太陽光発電や風力、地熱発電などが脚光を浴びています。
これらの自然エネルギーは変動が激しく、総発電量の10%を越える量になると、電源電圧の変動が大きくなり、商用電力としてのクオリティーを維持出来ません。巨大な蓄電設備を発電網に組み込む事が必要になりますが、高効率の蓄電池は高価で、電力コストを大きく引き上げる要因になります。
ナトリウム電池など、安価で高性能な次世代蓄電池が実用化され、各家庭で発電された電力を、電気自動車に一旦蓄電して、夜間電力に利用したり、送電網に流せば、巨大な蓄電設備は不要になるかもしれません。
ちなみに、ヨーロッパではデンマークは自国消費量の30%に相当する電力を風力によって発電していますが、この「不安定な電力」はヨーロッパ全域の送電網で希釈する事で、蓄電設備を使用せずに利用されています。尤も、デンマークは他国の電力を購入する結果となります。
2009年 9月 12日 の「人力でGO」の記事を再掲載します。
省エネの暴走・・・自然エネルギーという「有害ゴミ」
<再掲載開始>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/1c/5966724f603310dc30c767136b981e94.jpg)
■ 低消費電力で長寿命のLEDを活用して ■
低消費電力で長寿命のLEDは
点灯時間が長く、メンテナンスが容易で無い場所での使用が最適です。
信号機が、ほとんどLED化した背景には、
寿命が長く、メンテナンスに掛かる費用が少ない点が評価された事が挙げられます。
最近、上の写真の様にLEDと太陽電池や風力発電を組み合わせたポール灯が出現しています。
これは、LEDの低消費電力と長寿命を生かした商品です。
■ 現代の省エネ行政を反映したトンデモ商品 ■
しかし、この自然エネルギーを利用したLEDポール灯は、
現代の省エネ行政の矛盾を最も反映したトンデモ商品です。
何故なら、128万円という金額を掛けながら、全く役に立たない商品なのです。
一般的にポール灯は夜間の街路や公園の安全を確保する為に設置されます。
写真の様に高さ3mクラスのポール灯は、
一般的には100Wクラスの放電等(水銀灯など)の光源が用いられ、
ある程度の範囲を(20m四方くらい)照らす目的で設置されます。
ところが、太陽電池を用いたポール灯の多くが、
20Wの蛍光灯クラスの光源を使用しています。
100Wの水銀灯と比較して、明るさは25%程度しかありません。
これでは「照明器具」本来の目的を果たす事は出来ません。
写真の器具はLED光源を用いる事で、
低消費電力で明るさを確保している事をセールスポイントにしていますが、
昨日も欠いたように、LEDの発光効率は蛍光ランプの半分程度です。
LEDの光は指向性が高いので、照明が当たっている所は明るくなりますが、
その範囲の外側は、真っ暗になってしまい、
街路灯では、むしろ暗がりを作ってしまい危険です。
■ 自然エネルギーの限界 ■
何故、この様な使い物にならない明るさのランプを使用するかと言えば、
太陽光や風力が発電出来る電力が少ないからです。
太陽光発電タイプを例に取れば、
昼間、太陽光によって発電された電力は蓄電池(バッテリー)に溜められます。
ポール灯の下部に箱状の部分がありませが、ここにバッテリーが収納されています。
発電量は太陽電池の大きさと、日射によって決まりますが、
あまり大きな太陽電池は景観を損ないますし、
台風などの強風にポール灯自体が耐えられなくなるので、
写真の程度の大きさの太陽電池を使用す事が一般的です。
この程度の大きさの太陽電池の発電量は、
20W蛍光灯を12時間点灯させるのが限界です。
太陽光のエネルギーは意外に大きく日本付近では最大で1KW/㎡もあります。
太陽電池パネルの発電効率は15%程度ですから、発電量は150W/㎡になります。
これは1㎡の太陽光パネルの試算ですから、600x600mmのパネルでは55W程度となります。
しかし、この発電量は理想的な数値です。
実際には、太陽光は斜めにパネルに入射する為、cos(入射角)が掛かってきます。
さらに、パネルの表面反射や、バッテリーの損失等が発生します。
さらに曇天の日もありますので、
実際の発電効率は下のページを参考にすれば、35%程度になるようです。
http://www.enjoy.ne.jp/~k-ichikawa/solarPanel3.html
55Wの35%は・・・19.25Wとなります。
20Wの蛍光灯は、太陽電池の発電量によって規定されていた訳です。
これより、ワット数を上げると、曇天が続いた場合は、
バッテリーが空になってしまって点灯しません。
■ 18倍以上のイニシャルコスト ■
蛍光灯光源で3.5m程度のポール灯の価格は、
デザインが普通であれば10万円程度です。
実に、価格差は18倍もあります。
電気料金の差だけで、差額の118万円を償却しようとすると、
実に612年掛かってしまします。
これに対して、自然エネルギーを使用しているので、
配線費用が要らないという指摘おあります。
しかし、電気が給電されていない中国の山奥ならいざ知らず、
街路には必ず電源が給電されていますし、公園にも電源はあります。
一本のポール灯の給電に100万円も掛かる訳がありません。
さらに、バッテリー切れを想定して一般電源併用型などという
自然エネルギ利用ポール灯まであります。
■ ポール灯の寿命は10年 ■
驚くべき事に、この高価なポール灯の寿命は10年です。
多分、点灯回路と、バッテリーの寿命、LEDの寿命を指すのでしょうが、
一般的に道路で使用されているポール灯は15年以上普通に使用します。
こんなフザケタ話があるでしょうか・・。
■ 自然エネルギー利用のポール灯が増殖中 ■
ところが、この自然エネルギー利用のポール灯が、
現在、到る所で増殖を続けています。
最初は、公共施設の入り口付近に1灯くらい、
これ見よがしに設置され始めました。
公共施設が省エネをアピールするには打ってつけだったのです。
太陽電池と照明器具。何と分かり易い組み合わせでしょう。
決して、128万円なんて値段は住民には分かりません。
その次に学校に出現し始めました。
生徒の省エネ学習の一環というわけでしょう。
さらに、最近で街路で使用されるケースもありませす。
先日、浦安市の道を歩いていてビックリしました。
既存の街路照明が煌々と灯る足元に、
太陽電池ポール灯が並んでいました。
でも、既存照明が十分に明るいので、
LEDの光は殆ど付いているかどうかも分かりません。
まさに、昼行灯状態だったのです。
さすが、ディズニーランドの税収がある浦安は凄い。
そして、最近目立つ例が、民間のマンションや再開発で
太陽電池のポール灯を導入出来ないかという相談。
私は極力断るようにしていますが、
デベロッパーとして、省エネをアピールした様なのです。
民間の話は、金額を聞くと皆さんビックリして止めるケースが多いですが、
公共施設や公園や街路には着々と自然エンネルギーポール灯が進出しています。
■ 訴訟になった風力発電 ■
太陽電池ポール灯と並んで、最近増えているのが小型の風力発電機。
ところが、こちらも期待した程の発電量が得られないケースがあります。
早稲田大学がコンサルティングしてつくば市内の小中学校に
小型の風力発電機を3億円掛けて75基設置しました。
しかし、実際の発電量は計画の1/600と悲惨な状態でした。
市民団体の告発から、つくば市は早稲田大学を相手取り訴訟を起し、
2億円の賠償命令が早稲田大学に下っています。
■ 温暖化防止の名の元に増え続ける「有害ゴミ」 ■
太陽電池ポール灯も、小型風力発電機も、
エネルギー収支でいえば、明らかにマイナスです。
はっきり言ってしまえば、何の役にも立たない「ゴミ」です。
景観を損なうという観点からは、「有害ゴミ」です。
温暖化防止の名の元に、環境対策の実績を示さなくてはいけない自治体や企業は、
無駄を承知で、「有害ゴミ」を導入しています。
今後、その傾向はさらに増え続けるでしょう。
■ 未熟な技術はゴミとなる ■
太陽電池もLEDもバッテリーも未熟な技術です。
10年前のブームで導入された家庭用太陽電池システムが、
どのくらい実績を上げているでしょうか?
現在お太陽電池の発電コストは一般電力の2倍です。
LEDの発光効率は蛍光灯の50%しかありません。
リチウムイオンバッテリーもコスダウンの目処が立っていません。
それどころか、需要が増えれば値上がりします。
これらの技術は次世代の省エネ技術として非常に有望ですが、
現状では、税金や誰かの電気料金で穴埋めしなければ採算が取れません。
それでも、技術開発や将来のシェア確保を理由に、税金が投入されています。
しかし、自由競争の世界では技術革新は勝手に進んで行きます。
例えば、青色LEDの開発によって可能になった白色LEDは、
TVや携帯のバックライトとして、蛍光ランプを駆逐しました。
利用してメリットがある技術は、民間に任せておいてもドンドン進歩してゆきます。
税金を投入すべきは、基礎研究の分野で、
太陽電池の高効率化や、バッテリーの高容量化の基礎研究には税金投入が必要です。
しかし、実用段階でない技術の製品の普及に、税金を使う事は間違いです。
税金によって成り立つ産業は、政策が変われば瞬時に滅んでしまいます。
ドイツのクリーンエネルギーは税金や国民の負担の上に成り立っています。
そんな物をお手本にしても何のメリットもありません。
不完全な太陽電池製造に投資すれば、グリーンバブルが弾けた時、
莫大な損害を被る事になります。
技術の普及には、「本当に儲かる」事が必要なのです。
<再掲載終了>
ちょっと手抜きに見える本日の記事ですが、これこそリユースという省エネです・・・。
「スーマートで無いスマートグリット」
<再掲載>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/08/879db7f52cc7c7bedb6ebc81d19d09de.jpg)
■ 自然エネルギー利用には蓄電池が必要になる ■
二酸化炭素起因の温暖化問題で、CO2を排出しない自然エネルギーがにわかに脚光を集めています。
太陽光発電や、風力発電がその筆頭に挙げられています。
ところが、本格的な自然エネルギー発電には越えなければならない大きなハードルがありあます。
それが、蓄電池(バッテリー)の問題です。
太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池は、太陽光の強さ(照度)によって、
その発電量が左右されます。
太陽光の強さは、朝・昼・夕という一日の時間の中でも大きく変動します。
又、曇天や雨天など天候によっても大きく左右されます。
そして、大きな雲が流れている日などは、雲の影によっても、めまぐるしく変化します。
めまぐるしく変化する発電量は、「商品としての電気の質」を著しく低下させます。
具体的には、電圧の変動や、高調波の増加という結果として表れます。
■ 蓄電池は発電コストを145円/1kwhにしてしまう■
現状、日本の全発電量に対する太陽光発電の割合は0.1%程度です。
この程度の発電量であれば、送電網はこのめまぐるしく変動する自然エネルギー発電を、
誤差の範囲として吸収する事が出来ます。
従って、現在家庭に設置されている太陽光発電には、
蓄電設備は含まれておらず、余剰な電力は送電網に逆流されています。
足りない電力や、夜間の電力は電力会社から購入します。
現在、この様な逐電設備を持たない家庭用の太陽電池発電の発電コストは、
償却年を20年に設定した場合、47円/1kwh~63円/khwです。
電力会社の家庭用電力の料金が22円/kwh程度です。
これが産業用電力ともなると、7円/kwh程度ですから、実に7倍から9倍のコストになります。
ところが、将来的に自然エネルギー発電の割合が増えると
自然エネルギーによる電源の揺らぎは、無視出来ないものとなります。
例えば、在る地域の10%の電力を、太陽光発電で賄っていたとします。
天気が急変し、厚い雲が急に広がれば、少なくとも5%の電力供給が低下します。
原子力発電所が細かな出力調整が出来ません。
現状でも、消費量の変動に対する、供給電力量の調整は火力発電所が担っています。
電気の消費量が過剰になると、電源のサイクル(Hz)が低下するそうです。
ですから、火力発電所は電源サイクルを一定に保つように、
細かな調整を掛けて運転されています。
5%、10%という電力消費の変動は、ゆっくりと進行します。
しかし、自然ヘネルギーの変動は急峻です。
広いエリアで見れば、平均化するのでしょうが、
狭いエリアでは、5%くらいの変動が絶えず起こる事態も考えられます。
この様な、ローカルの変動は、火力発電所でコントロールし切れません。
よって、自然エネルギーの増加は、電源の質の低下に直結します。
そこで、バッファーとしての蓄電池が必要不可欠になります。
ところが高性能な蓄電池は非常に高価です。
3.5Kwhクラスの家庭用太陽光発電で、
コストと電源への影響を考慮した最適蓄電設備を設置すると、
発電コストは100円/kwh程度跳ね上がってしまいます。
太陽電池を含めると、1kwhあたり145円という、ありえない発電コストになってしまいます。
■ スマートグリットは蓄電設備を家庭から電力網に移しただけ ■
最近良く耳にするスマートグリットという言葉。
電力消費の多い地域に、電力消費の少ない地域の電力を融通したり、
送電線の事故など、停電の際に、送電ルートを変更して早期に停電を復旧するシステムです。
アメリカは送電網のインフラが老朽化して、停電も多く、
スマートグリットへの移行が、国を挙げての急務となっています。
さらに、アメリカでは、この新規に構築するスマートグリットに、
自然エネルギーに対応する為の蓄電設備を組み込もうとしています。
家庭用や自然エネルギーの発電設備で個々に蓄電設備を所有するのでは無く、
送電システム自体に大型の蓄電設備を組み込むという考え方です。
一方、電力会社が継続的に送電インフラの投資してきた日本では、
蓄電設備以外は、既にスマートグリットhの構築は終了していると言っても過言ではありません。
ところが、これに自然エネルギー対応の蓄電設備を追加しようとすると、
5兆円以上のコストが掛かります。
100kW級の原子炉の建設費が、1基3000億円程度ですから、
単純計算で原子炉16基分に相当するコストが蓄電池に掛かる事になります。
蓄電池自体は発電しませんし、製造、廃棄で環境負荷が掛かります。
さらに、蓄電池の寿命は10年程度です・・・。
これをナンセンスと言わずして何と言うのでしょうか?
これは、スマート・グリットでは無くて、ファット・グリットです。
■ 電気自動車やプラグインハイブリットをスマートグリットに組み込む ■
そこで、コストダウンの為の妙案が、
電気自動車やプラグイン・ハイブリット車のバッテリーをスマートグリットに組み込む案です。
これは、各家庭で蓄電池設備を設ける事と同じ考え方で、
昼間、車を使用していない時間に、その蓄電池を流用するという案です。
しかし、プリウスの蓄電容量は1.6Kwh程度です。
家庭用太陽光発電では5Kwh程度の蓄電容量を必要としますが、
一台のプリウスでは足りません。
太陽光発電の家庭1軒の蓄電容量を、3台のプリウスで確保する事になります。
両隣のお宅もプリウスならば、問題無さそうです。
1台のプリウスのバッテリー容量を3倍にして、
価格で90万円、重量も90kgアップするよりも現実的です。
一方、電気自動車の場合は、高容量のリチウムイオンバッテリーを搭載していますので、
多分1台で、所定の蓄電容量を確保出来そうですが、
現状、車用リチウムイオンバッテリーの価格は250万円です。
この様に、スマート・グリットの中に電気自動車はプラグインハイブリット車を組み込む案は
発電用(電源環境の安定化用)に専用のバッテリーを設置するよりも、余程合理的です。
但し、日曜日の昼間など、車の稼働率の高い時間帯で
蓄電容量が減少するという問題が発生します。
■ バッテリーの価格は下がらない ■
本格的自然エネルギーの発電が普及するには、
蓄電池のコストが現状の1/10程度になる事が求められています。
しかし、化学的蓄電池の蓄電容量は、物質の使用量に比例しています。
飛躍的な蓄電容量も高密度化が進まない限り、蓄電池のコストは下がりません。
むしろ、電気自動車やハイブリット車が本格普及すれば、
原材料の一部であるレアメタルは高騰します。
実は蓄電池の充電密度はあまり向上していません。
リチウムイオン蓄電池も20年前からある技術です。
これらの事を考えると、バッテリーの価格は劇的に安くなる事は無く、
自然エネルギーの本格普及は、蓄電池のコストを押し上げる可能性もあります。
■ バッテリーの環境負荷を無視する現状の太陽光発電のLCA ■
良く、自然エネルギーは環境負荷が低いと言われます。
しかし、太陽光発電のLCAは、蓄電池のLCAを抜いて計算されています。
実際の自然エネルギーは蓄電池無くしては成り立たない技術です。
現在の技術レベルでは、自然エネルギーの本格普及は環境負荷を一時的に高めこそすれ、
下げる事は出来ないでしょう。
それ以前に、発電コストの上昇分を誰が負担するのでしょうか・・・・。
環境問題は、理想論で語られる事が多すぎます。
解決しなければならない課題に目をつぶり、
~なら ~とか という希望的前提の下に、
大した議論もされずに「良いこと」にされてしまう事が多すぎます。
この様な、思考停止こそが、
環境ファシズムが勃興する温床となるのでは無いでしょうか。
<再掲載終わり>
SoftBankの孫正義が、「メガ・ソーラ」構想を発表し、菅総理がG8で、自然エネルギーの比率を高めると発表するなど、太陽光発電や風力、地熱発電などが脚光を浴びています。
これらの自然エネルギーは変動が激しく、総発電量の10%を越える量になると、電源電圧の変動が大きくなり、商用電力としてのクオリティーを維持出来ません。巨大な蓄電設備を発電網に組み込む事が必要になりますが、高効率の蓄電池は高価で、電力コストを大きく引き上げる要因になります。
ナトリウム電池など、安価で高性能な次世代蓄電池が実用化され、各家庭で発電された電力を、電気自動車に一旦蓄電して、夜間電力に利用したり、送電網に流せば、巨大な蓄電設備は不要になるかもしれません。
ちなみに、ヨーロッパではデンマークは自国消費量の30%に相当する電力を風力によって発電していますが、この「不安定な電力」はヨーロッパ全域の送電網で希釈する事で、蓄電設備を使用せずに利用されています。尤も、デンマークは他国の電力を購入する結果となります。
2009年 9月 12日 の「人力でGO」の記事を再掲載します。
省エネの暴走・・・自然エネルギーという「有害ゴミ」
<再掲載開始>
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/1c/5966724f603310dc30c767136b981e94.jpg)
■ 低消費電力で長寿命のLEDを活用して ■
低消費電力で長寿命のLEDは
点灯時間が長く、メンテナンスが容易で無い場所での使用が最適です。
信号機が、ほとんどLED化した背景には、
寿命が長く、メンテナンスに掛かる費用が少ない点が評価された事が挙げられます。
最近、上の写真の様にLEDと太陽電池や風力発電を組み合わせたポール灯が出現しています。
これは、LEDの低消費電力と長寿命を生かした商品です。
■ 現代の省エネ行政を反映したトンデモ商品 ■
しかし、この自然エネルギーを利用したLEDポール灯は、
現代の省エネ行政の矛盾を最も反映したトンデモ商品です。
何故なら、128万円という金額を掛けながら、全く役に立たない商品なのです。
一般的にポール灯は夜間の街路や公園の安全を確保する為に設置されます。
写真の様に高さ3mクラスのポール灯は、
一般的には100Wクラスの放電等(水銀灯など)の光源が用いられ、
ある程度の範囲を(20m四方くらい)照らす目的で設置されます。
ところが、太陽電池を用いたポール灯の多くが、
20Wの蛍光灯クラスの光源を使用しています。
100Wの水銀灯と比較して、明るさは25%程度しかありません。
これでは「照明器具」本来の目的を果たす事は出来ません。
写真の器具はLED光源を用いる事で、
低消費電力で明るさを確保している事をセールスポイントにしていますが、
昨日も欠いたように、LEDの発光効率は蛍光ランプの半分程度です。
LEDの光は指向性が高いので、照明が当たっている所は明るくなりますが、
その範囲の外側は、真っ暗になってしまい、
街路灯では、むしろ暗がりを作ってしまい危険です。
■ 自然エネルギーの限界 ■
何故、この様な使い物にならない明るさのランプを使用するかと言えば、
太陽光や風力が発電出来る電力が少ないからです。
太陽光発電タイプを例に取れば、
昼間、太陽光によって発電された電力は蓄電池(バッテリー)に溜められます。
ポール灯の下部に箱状の部分がありませが、ここにバッテリーが収納されています。
発電量は太陽電池の大きさと、日射によって決まりますが、
あまり大きな太陽電池は景観を損ないますし、
台風などの強風にポール灯自体が耐えられなくなるので、
写真の程度の大きさの太陽電池を使用す事が一般的です。
この程度の大きさの太陽電池の発電量は、
20W蛍光灯を12時間点灯させるのが限界です。
太陽光のエネルギーは意外に大きく日本付近では最大で1KW/㎡もあります。
太陽電池パネルの発電効率は15%程度ですから、発電量は150W/㎡になります。
これは1㎡の太陽光パネルの試算ですから、600x600mmのパネルでは55W程度となります。
しかし、この発電量は理想的な数値です。
実際には、太陽光は斜めにパネルに入射する為、cos(入射角)が掛かってきます。
さらに、パネルの表面反射や、バッテリーの損失等が発生します。
さらに曇天の日もありますので、
実際の発電効率は下のページを参考にすれば、35%程度になるようです。
http://www.enjoy.ne.jp/~k-ichikawa/solarPanel3.html
55Wの35%は・・・19.25Wとなります。
20Wの蛍光灯は、太陽電池の発電量によって規定されていた訳です。
これより、ワット数を上げると、曇天が続いた場合は、
バッテリーが空になってしまって点灯しません。
■ 18倍以上のイニシャルコスト ■
蛍光灯光源で3.5m程度のポール灯の価格は、
デザインが普通であれば10万円程度です。
実に、価格差は18倍もあります。
電気料金の差だけで、差額の118万円を償却しようとすると、
実に612年掛かってしまします。
これに対して、自然エネルギーを使用しているので、
配線費用が要らないという指摘おあります。
しかし、電気が給電されていない中国の山奥ならいざ知らず、
街路には必ず電源が給電されていますし、公園にも電源はあります。
一本のポール灯の給電に100万円も掛かる訳がありません。
さらに、バッテリー切れを想定して一般電源併用型などという
自然エネルギ利用ポール灯まであります。
■ ポール灯の寿命は10年 ■
驚くべき事に、この高価なポール灯の寿命は10年です。
多分、点灯回路と、バッテリーの寿命、LEDの寿命を指すのでしょうが、
一般的に道路で使用されているポール灯は15年以上普通に使用します。
こんなフザケタ話があるでしょうか・・。
■ 自然エネルギー利用のポール灯が増殖中 ■
ところが、この自然エネルギー利用のポール灯が、
現在、到る所で増殖を続けています。
最初は、公共施設の入り口付近に1灯くらい、
これ見よがしに設置され始めました。
公共施設が省エネをアピールするには打ってつけだったのです。
太陽電池と照明器具。何と分かり易い組み合わせでしょう。
決して、128万円なんて値段は住民には分かりません。
その次に学校に出現し始めました。
生徒の省エネ学習の一環というわけでしょう。
さらに、最近で街路で使用されるケースもありませす。
先日、浦安市の道を歩いていてビックリしました。
既存の街路照明が煌々と灯る足元に、
太陽電池ポール灯が並んでいました。
でも、既存照明が十分に明るいので、
LEDの光は殆ど付いているかどうかも分かりません。
まさに、昼行灯状態だったのです。
さすが、ディズニーランドの税収がある浦安は凄い。
そして、最近目立つ例が、民間のマンションや再開発で
太陽電池のポール灯を導入出来ないかという相談。
私は極力断るようにしていますが、
デベロッパーとして、省エネをアピールした様なのです。
民間の話は、金額を聞くと皆さんビックリして止めるケースが多いですが、
公共施設や公園や街路には着々と自然エンネルギーポール灯が進出しています。
■ 訴訟になった風力発電 ■
太陽電池ポール灯と並んで、最近増えているのが小型の風力発電機。
ところが、こちらも期待した程の発電量が得られないケースがあります。
早稲田大学がコンサルティングしてつくば市内の小中学校に
小型の風力発電機を3億円掛けて75基設置しました。
しかし、実際の発電量は計画の1/600と悲惨な状態でした。
市民団体の告発から、つくば市は早稲田大学を相手取り訴訟を起し、
2億円の賠償命令が早稲田大学に下っています。
■ 温暖化防止の名の元に増え続ける「有害ゴミ」 ■
太陽電池ポール灯も、小型風力発電機も、
エネルギー収支でいえば、明らかにマイナスです。
はっきり言ってしまえば、何の役にも立たない「ゴミ」です。
景観を損なうという観点からは、「有害ゴミ」です。
温暖化防止の名の元に、環境対策の実績を示さなくてはいけない自治体や企業は、
無駄を承知で、「有害ゴミ」を導入しています。
今後、その傾向はさらに増え続けるでしょう。
■ 未熟な技術はゴミとなる ■
太陽電池もLEDもバッテリーも未熟な技術です。
10年前のブームで導入された家庭用太陽電池システムが、
どのくらい実績を上げているでしょうか?
現在お太陽電池の発電コストは一般電力の2倍です。
LEDの発光効率は蛍光灯の50%しかありません。
リチウムイオンバッテリーもコスダウンの目処が立っていません。
それどころか、需要が増えれば値上がりします。
これらの技術は次世代の省エネ技術として非常に有望ですが、
現状では、税金や誰かの電気料金で穴埋めしなければ採算が取れません。
それでも、技術開発や将来のシェア確保を理由に、税金が投入されています。
しかし、自由競争の世界では技術革新は勝手に進んで行きます。
例えば、青色LEDの開発によって可能になった白色LEDは、
TVや携帯のバックライトとして、蛍光ランプを駆逐しました。
利用してメリットがある技術は、民間に任せておいてもドンドン進歩してゆきます。
税金を投入すべきは、基礎研究の分野で、
太陽電池の高効率化や、バッテリーの高容量化の基礎研究には税金投入が必要です。
しかし、実用段階でない技術の製品の普及に、税金を使う事は間違いです。
税金によって成り立つ産業は、政策が変われば瞬時に滅んでしまいます。
ドイツのクリーンエネルギーは税金や国民の負担の上に成り立っています。
そんな物をお手本にしても何のメリットもありません。
不完全な太陽電池製造に投資すれば、グリーンバブルが弾けた時、
莫大な損害を被る事になります。
技術の普及には、「本当に儲かる」事が必要なのです。
<再掲載終了>
ちょっと手抜きに見える本日の記事ですが、これこそリユースという省エネです・・・。