■ ストロスカーン逮捕はユーロにプレッシャーを与える ■
ロイターのコラムがストロスカーンIMF専務理事逮捕についてこんな分析をしています。
<ロイターより引用>
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPJAPAN-21122820110516
IMF専務理事逮捕、世界の政治と金融情勢に多大な不透明感
-前略-
逮捕劇がなくても専務理事は、フランス大統領選への出馬を決めればその時点で職を辞する必要があっただろう。しかしその場合は通常の後継者選びの手順、すなわちフランスや欧州のリベラルな政治の影響下で手続きが進められたはずだ。ところが今回の事件を理由に退任することになれば、後任がどのように選ばれるのか不透明になる。
そうした事態は世界情勢に重大な影響を与える可能性がある。実際、フランス大統領を狙う専務理事の下でより政治的に敏感なリーダーシップが形成されているため、欧州を悩ませている債務危機へのIMFの対応は生温すぎるとの批判が一部から出ていた。
その意味では、IMFのトップが突然交代することによって、ギリシャなどの国に対してIMFが以前より強硬な態度(それが伝統的かもしれないが)を取るようになる可能性がある。
逮捕の件について詳細がわかるまでは、これらはすべて仮定に基づく疑問に対する仮定の上の結果にすぎない。ただ確かに言えるのは、金融市場はニューヨークのタブロイド紙と同じくらい、専務理事の事件の結末に大きな関心を寄せるということだ。
-後略-
<引用終わり>
「フランス大統領戦を控え、ストロスカーンの元でIMFは欧州のIMF支援国に生温い政策を取っていた」というのです。これはユーロ圏にはプラスに働きます。
もしギリシアでIMFがいつもながらの強引な手法で「破綻処理」を行っていれば、ギリシアの暴動は手のつけられない規模に発展します。ギリシアの後に控えるアイルランド、ポルトガル、スペインの政治は不安定になり、ユーロ圏全体にその影響は及びます。
■ 次期IMF専務理事は欧州からと主張するドイツ ■
ドイツのメルケル首相は、IMFの次期専務理事は欧州出身者が望ましいと発言した様です。
<ロイターより引用>
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21127520110516
IMF専務理事後任、欧州出身者が望ましい=独首相
ドイツのメルケル首相は16日、国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事が逮捕されたことを受け、後任について話す時期ではないとしながらも、欧州出身者が望ましいとの考えを示した。
同首相は、IMF専務理事の候補に欧州出身者を挙げる十分な理由があるとし、新興国は、IMF専務理事、および世界銀行総裁の輩出を中期的に目指す権利があるとの立場を示した。
<引用終わり>
ドイツはユーロの守護者です。ドイツがこれまでさんざん出資してきたユーロがこんな形で危機に瀕するなど、ドイツにとっては許されない暴挙です。
■ 見え透いた謀略でユーロを貶める程、追い詰められたドル ■
QE3を放棄したアメリカでは、6月から8月に掛けて、財政赤字に注目が集まります。
現在のアメリカの法律では、国債の発行の上限は凡そ14兆ドルで、5月にもこの上限に達してしまいます。新たな法律を制定して、上限を16兆ドル程度に引き上げたいのですが、下院で共和党が多数を占めるネジレ状態の為、この法案がすんなり成立しない可能性が高まっています。
アメリカの財務省は、年金基金の支出金のカットでで8月2日までは、デフォルトは免れられると発表しています。それまでに議会が財政赤字の上限を引き上げれば、暫くは破綻の危機は遠のきます。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21128620110516
米債務は16日の国債発行で上限に=財務長官(ロイター)
アメリカの議会は日本相撲協会並みの「八百長議会」ですから、7月後半くらいには、国債発行の上限は引き上げられるはずです。
しかし、こんな状況が日々報道されるわけですから、さすがにアメリカ国債は敬遠されます。普通に考えれば、資金はドルかユーロや円に流れていきます。
そこで、アメリカはストロスカーンを逮捕し、ユーロにプレッシャーを掛けるというなりふり構わぬ作戦に出たのです。
■ 表面上の泥仕合 ■
ドルも駄目、ユーロも駄目という事で、円に資金が集まりそうですが、地震と原発で円のグダグダです。
アメリカは原発の対策チームを日本の官邸に入れていますから、原発からみで管政権を転覆させるくらいのネタは握っています。アメリカやフランスから日本の原発の情報が出てくるのは、日本人に対する好意では無く、円に対する牽制です。
表面上はこんな「三つ巴の泥仕合」が続いています。
■ ドルを延命させながら利益を上げる ■
傾いた会社の株が、仕手株となるように、傾いた大国アメリカのドルは、最早ジャンク扱いです。
ドルが不安定なので、資金はドル、ユーロ、、円の間を行ったり来たりしています。この資金移動こそが、金融資本家達に大きな利益を生み出します。
今度はドルを弱くしよう、次はユーロを揺さぶろう・・・彼らは格付けや、今回の様なスキャンダルの様なイベントを次々に用意して、資金移動を促します。自分達はイベントを用意する側ですから、先回りして利益をしっかり確保します。
多大な資金とヘッジファンドを利用すれば、相場のコントロールなど簡単ですが、それでは手口がミエミエなので、様々なイベントを用意して、世間の目を欺いています。
現在、ドルやユーロの危機こそが、利益の源になっているのです。
そうして稼いだお金は、現物に姿を変えます。
金や銀ゆあ銅、鉱山、石油の採掘権など、価値の保存が利くものに姿を変えています。
「金」や「銀」や「石油」が値下がりしましたが、ジョージ・ソロスや、JPモルガンが仕掛けているのでしょう。相場が上昇しすぎると、「ドル離れ」を加速してしまいます。ユーロにプレッシャーを掛けたと同様に、現物市場いプレッシャーを掛けたと見るべきです。
ファンダメンタルな部分では、「現物」の価値はどんどん上昇してゆきます。(紙幣の価値がドンドン下がってゆきます。)
■ 裏で繋がっている ■
表面上は「ドル VS ユーロ」の様に見えますが、通貨システムや中央銀行を支配するのはロスチャイルドです。
本質的なところでは、ドルもユーロも円も元も、彼らのカードです。
組み合わせによって、様々な状況を自在に作り出しているのでしょう。
どのカードが最初にテーブルから落ちるのか?
その時、どんなカードが彼らのポケットから現れるのか、興味は尽きません。
■ 陰謀論の落とし穴・・・ニヒリズム ■
「それはロスチャイルドの陰謀さ」とか、「世界は闇の支配者に支配されている」などという、所謂陰謀論を持ち出すと、あらゆる議論がそこでストップしてしまいます。
「陰謀論の落とし穴」は「ニヒリズム」です。
「どうせ頑張っても、最後は・・・。」という発想に繋がり易いのです。
しかし、どの様な世界にも、勝者と敗者は存在します。
もし世界を支配する様な勢力が存在するならば、私達は彼らの思考を読み取って、自衛するしか無いのです。
ポーカーでは無限の資金を持つ相手と戦っても勝てません。同様に金融資本家達と戦っても勝つ事は出来ません。HFT(高速回線と高速コンピューターによるアルゴリズム取引)に支配された株式市場や商品市場で個人がデイトレードの様な手法で勝つ見込みはゼロです。
又、相場を支配するディーラーの元で、プレーヤーが最終的に勝つ確率も限りなく低いでしょう。
「投資をしていないから、関係無い。」とお思いでしょうが、あなたの預金や投資信託はこのような世界で運用されているのです。
世界の真実の姿が見えて来たら、「金利5%」の恐ろしさも理解出来ると思います。
私達は、自分の預金を守り、自分の生活を守る戦いをすれば良いのです。
その為には、「陰謀論も決して排斥しない」というのが私の考え方です。
現在では一般のニュースで報道する「ダボス会議」や「ビリダーバーグ会議」も、かつては秘密会議でした。これらの会議の存在を主張する人達は、「陰謀論者」とバカにされてきましたが、当時、これらの会議では対立していた東西の首脳達が同じテーブルに着いていたのです。
ネットと通信の発達した社会では、秘密会議などは意味を持たなくなっています。サミットが政治ショーの場と化した様に、かつての秘密会議は、世界戦略の株主総会の様な役割を担わされています。政治的、経済的プロパガンダの場として利用されているのです。
本当に大事な事は、いつも秘密裏に決定されます。ニクソンショック然り、プラザ合意然りです。
■ 危機は地震と同様、突然襲ってくる ■
私達にとって、金融危機やアメリカのデフォルトは、地震と同じです。確率的には無視できない大きさですが、いつ起きるか分からない。
だから、自衛手段は逃げる準備しかありません。リスク資産を整理し、最大の流動性を持つ現金か普通預金にまとめておく。あるいは、インフレを見越して「金」などの現物に代えておくなどという手法が一般的です。
尤も、「金」の自由市場が閉鎖されないという保障はありませんし、預金封鎖が実施される可能性も否定できません。戦後は、新券発行という手法で箪笥預金も炙り出されました。不動産にした所で、資産課税を強化されてたら・・・。
■ 農業ファンドの可能性 ■
私は農業が価値の保存に利用出来ないかと思っています。インフレが発生すれば、将来の食料の高騰は確実ですから、農業ファンドのような形で、現在の農家なり農業株式会社に融資して、リターンは将来的に農産物で受け取るという形もあるかな?
リターンが現金でも問題はありませんが、市場に流通させた売り上げだと、出資者は農産物を現金が購入し、農家は原価で販売するのでロスが生じます。ファンドの出資者が直接リターンを農産物で受け取る方法ならば、ロスは少なくなります。但し流通コストを考えると、産地は近い方が良いでしょうし、生協の様な形で商品の流通を合理化する方法た好ましいでしょう。
現在国が税金を使って行っている農業補助を、民間で行う事で効率化を図る事になりますが、農業は遅れている分野だけに、システムさえ上手く作ってあげれば、「化ける」可能性が高いと思います。
財政負担が減って、農家の収入も安定し、食料供給が安定するならば、一石三鳥とも言えます。