■ 韓国の裁判所がドイツ銀行の資産を凍結 ■
<ブルームバーグより引用>
ドイツ銀、韓国の裁判所による資産凍結に不服申し立て-中央地方法院
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aMn5q0LdaNPo
7月14日(ブルームバーグ):ドイツ銀行は、韓国の裁判所が同行の一部資産の差し押さえを命じたことに対し、不服の申し立てを行った。ソウル中央地方法院の広報担当、コン・ドイル氏が明らかにした。これについては韓国紙ヘラルド経済が先に報じていた。ドイツ銀の広報担当マイケル・ウェスト氏(香港在勤)は電子メールで、コメントはないと述べた。
<引用終わり>
これだけ読むと、何だか分からない記事です。
■ 欧州の銀行がヤバイ ■
BNPパリバ、バークレイズ、ドイツ銀行、クレディ・アグリコル、
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)
いずれも欧州を代表する銀行です。
実はこれらは13日にブルームバーグがすっぱ抜いた
破綻リスクの高い銀行です。
リーマンショック直後の情報では、
「デリバティブ商品の6割は欧州が所有している」
と言われていました。
欧州の銀行は高いレバレッジを掛けて
これらの取引を行っていた様です。
■ アジアから投資を引き上げる ■
欧州では現在、銀行のストレステストが進んでいます。
上記銀行は、金融危機が再発した場合、
自己資本比率の5%を維持出来ないと予測される銀行です。
欧州の銀行は高いレバレッジを掛けてきました。
ドイツ銀行に至っては52倍のレバレッジを掛けている様です。
一旦資金の逆転が始まれば、
巨大なデレバレッジが各銀行に襲い掛かります。
欧州の銀行の投資先の少なからぬ比率がアジアです。
現在は好調に見えるアジア経済ですが、
投資の引き上げが始まれば、
アっという間に、アジア危機が発生し、
通貨が暴落します。
韓国の裁判所がドイツ銀行の資産を凍結した背景には、
今、韓国から欧州の資金が逃避したら、
韓国経済が崩壊するからに他なりません。
ドイツ銀行の投資は不当なものではありません。
投資の引き上げも、当然違法性を持ってはいません。
しかし韓国の裁判所は資産を凍結してしまいました。
こんな違法な手を使うまで、
既に韓国は追い詰められているのです。
■ 朝日の経済面の解説は正しい ■
本日の朝日新聞の経済面は、
欧州危機の今後の展開を比較的正しく分析しています。
「欧州危機はMMFとCDSによって拡大し、
リーマンショック直後の様に
欧州からドルが流出して
欧州は再び流動性の危機に陥る」
■ 金融兵器としてのMMF ■
MMFはマネー・マーケット・ファンドで一種の信託投資です。
公債や公社債など比較的安定的な債権で運用されています。
日本の老人達が、「定期預金よりも利率が良くて、安全」と騙されて
この様な投資ファンドを沢山購入しています。
上の表はいつもながらのゴールドマン・サックスの「妖精物語」の投資先です。
6月30日の日付で公開されていますが、
5月30日の日付のものから何故か更新されていません。
内容を見ると「欧州投資銀行」「イタリア国債」
「イギリス国債」「フィンランド国債」と
欧州の債権が上位を占めています。
だいたいユーロ危機が煽られる2~3ヶ月前に
こおチャートの上位にヨーロッパ債が並びます。
多分今頃は、これらの債権をゴールドマンが売り浴びせています。
日本の老人達の老後の資金が
無残にも金融兵器の実弾として使われているのです。
この投資ファンドの基準価格は、下がり続けています。
■ 金融兵器としてのCDS ■
一方、利益はCDSの方で確保するのでしょう。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)も金融兵器です。
債権のデフォルトリスクに投資する商品ですが、
ギリシャやイタリアの様に国債危機が表面化すると
そのスプレットが急上昇して、
危機を数値化する事で、さらなる危機をあおります。
CDSは債権を発行する際に、
債権のデフォルトリスクを元に組成されます。
債権の購入者がリスクに見合う金額を定期的に払う商品で、
デフォルト時に債権の元本や損失分をを保証する商品です。
CDSの購入者は債権の購入者に限らず、
保険会社であったり、あるいは第三者であったりします。
又、CDSをバラバラに切り分けて寄せ集めたような商品もあります。
これらのCDSの発行元はJPモルガンが多いのでは?
もしCDSを組成した再建が破綻した場合、
CDSの購入者が儲かる仕組みです。
MMFで集めた庶民の金で危機を煽り、
危機の結果のリスクはCDSの購入者が受け取ります。
■ 韓国国債が何故登場するのか ■
上述の「妖精物語」の運用先の平均格付けはAAです。
ところが、チャートの上位にA+の国債が登場しています。
イタリア国債と韓国国債です。
さらにAAのイギリス国債も他のAAA格よりも劣ります。
(ファニーメイの債権がAAAなのは笑うしか無いですが)
これらの国債は明らかに今回のターゲットでしょう。
イタリア国債は見事に売り浴びせられています。
アイルランド問題はイギリスに飛び火しますから、
イギリス国債の危機も時間の問題でしょう。
そうして、韓国・・・。
韓国はドイツ銀行の資産を凍結した様に、
投資資金の流出に脆弱です。
韓国は過去の危機においても
真っ先に通貨危機に陥る国です。
今回も韓国は狙われています。
■ アメリカの延命策? ■
欧州危機がアメリカの延命策になる事は、
リーマンショックでも明らかです。
資本は不安定な欧州を回避して、
アメリカに避難してきます。
しかし今回は国債の上限問題で
ドルもアメリカ国債も回避されています。
欧州も、アメリカも、アジアも、そして世界全体が
どうやら怪しい雰囲気になってきました・・・。
グローバル化の名の下に、
世界中に張り巡らされた金融の蜘蛛の巣によって
危機は世界の瞬く間に伝播して行きます。
この蜘蛛の巣から逃れる手立てはあるのでしょうか?