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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

原発問題はすべてLNT仮説に集約される・・・武田先生がボーダーを越えるか?

2011-08-03 09:14:00 | 福島原発事故
 


■ 原発問題も忘れていません ■

最近原発問題を取り上げていないので、
このブログが単なる「流行り物」を追いかけている
印象を持たれているかもしれません。

しかし、あるか無いか分からない放射線の危機よりも
金融危機は「今そこにある危機」で、
私達の雇用や生活や資産に直結した問題なので、
最近は金融ネタ中心の進行になっています。

事故当時は報道が危機を隠蔽していましたが、
現状は報道が過剰反応しているので
私までが騒ぐ必要も無いかとも思っています。

■ 10シーベルトの汚染 ■

昨日1号機で10(Sv/時間)という高い汚染が発見されました。
この近くで全身被曝を1時間もすれば、
確実に急性障害を起こす線量です。

これは何も驚く事では無く、
強制ベントされた放射性物質の一部が、
排気管の屈曲部に大量に蓄積していると考えられている様です。

汚染部位を鉛板等で遮蔽すれば
その近くに長時間滞留しなければ
問題にする様な事ではありません。

放射性物質は、拡散すればやっかいですが、
閉じ込められているのなら、
遮蔽すれば影響をコントロールする事が出来ます。

チェルノブイリなどは原子炉丸ごと
「鉛の棺おけ」に入れてしまった訳ですから、
まさに「臭いものには蓋をしろ」作戦です。

■ 何を計測しているのかご存知ですか? ■

食品や飼料用のワラ、
はたまた園芸用の腐葉土まで
放射能汚染は様々な所に広がっています。

福島では食品の簡易的な放射線測定も始まっている用です。
http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/143.html

ところで、この簡易測定とはいかなる物でしょうか?
上記の記事の測定器はドイツ製のLB200という機種だそうです。



http://www.berthold-jp.com/products/isotope/pdf/foodmonitor.pdf


ホームページで見る限りは、
右側の機種とは異なり、
スペクトル解析は出来ない様なので、
核種を特定する事は不可能な様です。

ところで、土壌中には天然由来のK40いう
カリウムの放射性同位体が少なからず存在します。
K40は土壌を経由して野菜や牛乳や食肉や海藻など
あらゆる食品に含まれています。

その量はだいたい次の表の通りです。



国の暫定基準値は、核種毎に決められています。
公の検査機関の測定も核種毎の計測です。
核種毎に放出されるβ線のエネルギーが異なりますから、
精密な測定では核種の特定も出来るのです。

ところが、簡易的な測定器では
γ線、β線といった大ざっぱな計測しか出来ません。

β線を計測したからと言って、
それがセシウム137由来なのか、
ストロンチウム90由来なのか、
はたまた天然のカリウム40由来なのか判別出来ません。

さて玉ねぎから20Bq/Kgのベータ線が検出されたとしましょう。
簡易測定ではその内のどれ程が天然のK40によるものか
判別出来ないのではないでしょうか?

牛乳1Kgには50BqのK40が含まれています。
原発から離れた地域の簡易測定で
多少のβ線が検出されたからと言って
大騒ぎするには及ばないのでは無いでしょうか。

■ 歯に物が挟まった物言いの、武田先生・・ ■

武田先生のこの記事をお読み下さい。

http://takedanet.com/2011/08/post_ef5a.html

武田先生は100(mSv/年)は無害と主張する医師に対して
次の様な評価をされています。

<引用開始>

一応、このお医者さんに反論しておきます。まずは論理的矛盾を指摘します。


1) 「客観的で正しいデータが存在する」ので、1年100ミリまで大丈夫、


2) 国際的な会議で1年1ミリと決まり、国内での検討でも1年1ミリと決まって法律で制限してきた、


この2つが正しいとすると、国際会議でも国内の検討でも、審議した委員の先生は「客観的で正しいデータを使わなかった」ということになります。


このお医者さんは、東北地方の首長、指導者に講演をされたそうですが、この点については講演資料には触れていません。


私は、1980年代からの国際会議の様子も、国内の委員会の議事録も目を通したのですが、もちろん放射線防護の専門家が集まっておられるので、このお医者さんが東北地方の首長さんや指導者の方にお示しになったデータはすべて知っておられる感じでした(実際にも当然、知っておられると思います)。


そうすると、


1) 原発事故が起こったから、国民に「データを示す」か(お医者さん)、


2) 原発事故が起こったら、国民に規制の意味を説明するか(武田)、


の違いということになります。この2つは本来は同じはずです。なにしろ、規制を決めた委員の人は「データ」を知っていたはずだからです。


今、多くの人が放射線に対して不安に思っています。それを解消するためには私たち専門家(いろいろな専門家)が、「なぜ、今まで規制値を1年1ミリシーベルトにしていたのか?」、「なぜ、今まで胸のレントゲンを1年に400回(20ミリシーベルト)はやめておいた方が良い」と言ったのかを最初に言わなければならないでしょう。


今までの規制値は全部、ウソだったとか、レントゲンを1年400回でも問題はない、今までは間違っていたということになれば、私たちも考え直さなければならないからです。


このお医者さんは誠意のある人と思います。こんな簡単なことがケリがつかないようでは多くの方が困るので、私も機会があればお話をしてみたいと思います。

<引用終わり>


これこそがLNT仮説のジレンマなのです。
武田先生もお人が悪い、
そのウラも多分ご存知でありながら、
放射線の危険を煽っています。

「それでいて、たまに100(mSv/年)も安全と言う人も居る」・・・とか
「100(mSv/年)が安全ならば、私は喜んで原子力村に帰れる」
などと書かれて、本音が透けて見えます。

1(mSv/年)が危険というLNT仮説が多分に政治的であり、
科学的根拠に乏しい事をご存知な上で、とぼけて見せています。

その狙いがLNT仮説の擁護にあるのか、
あるいはLNT仮説の自壊にあるのかは
若輩者の私には予想もつきませんが、
武田先生のファンとしては、
後者である事を期待します。

先生はあくまでも科学の信者であると信じています。


<追記>

誤解の無い様に追記します。

福島や福島近県の汚染地域での放射線の警戒は重要です。
一方、東京などでの過剰な警戒は費用対効果の低いものです。

精神的な安心が免疫を高めるというのであれば、
費用対効果も認められますが、
多くの人にとって、あまり神経質にならないという事も
精神的安定に繋がります。

尤も、喉下過ぎれば・・・の国民性で
ニュースが原発を報道しなくなれば、
過剰は反応も下火になって行くでしょう。

「1(mSv/年)も危険」というLNT仮説に基づけば、
原発事故の経済コストは多大な物となり、
原発は経済的に成り立たない発電方法となります。

私はここ10年程はクーラーも使いませんし、
原発反対論者ですが、
反対の根拠は「1(mSV/年)でも危険であるならば」という前提に基づきます。
この点は武田先生と意見を共にしているとも言えます。

但し、私は「1(mSv/年)も危険」というLNT仮説自体に疑いを抱いています。
この仮説こそが、今後、福島において巨大な事故処理利権を生み出します。
あるいは、福島やその周辺の住民の生活基盤を奪ってゆきます。

大ヒンシュクを覚悟で書くならば
70歳以上の高齢者が、多少の汚染食品を食べたところで
影響が出てくるのは20年後か30年後です。、
高齢者は福島近郊で、コストの安い老後生活を送る事も可能です。
ところが、汚染食品の恐怖をTVで煽られ恐怖する方の多くは
高齢者の方ではないかと思います。

一方、本来避難しなければならない
子供や妊婦が汚染地域に留まっています。
何故ならば、強制移住でなければ、
保証の対象にならないからです。

この現実は非常にドメスティックな問題です。

武田先生は、「エコポイントを貰う大人」などと
婉曲な表現をされていますが、
武田先生の文章の「エコポイント」を「原発補償金」と入れ替えれば
先生の言わんとしている事がお分かりになるかと思います。

結局、原発事故直後に妻子を海外に逃がしたのが
裕福な家庭であった様に、
命ですら、経済原理に支配されるのがこの世界のルールです。

・・・せめて政治が正常に機能する事を望みます。



敵は味方の中にいる・・・怪しいドイツ銀行

2011-08-03 08:26:00 | 分類なし
 



■ 悪目立ちする銀行 ■

リーマンショック後の金融関係のニュースで目を引く銀行があります。

1) ゴールドマン・サックス
2) JPモルガン
3) ドイツ銀行

ゴールドマンはご存知の通り。

JPモルガンは国債のCDSの組成などを通して
現在の債権危機の仕組みを作ったとも言えます。

そしてドイツ銀行(ドイチェ・バンク)。
名前からはドイツの中央銀行の様ですが
れっきとしたドイツ最大の民間銀行です。

ドイツの中核企業と関係の深い銀行ですが、
1995年頃から投資銀行部門を拡大し、
52倍のレバレッジを掛けた取引をするなど、
米国系銀行も真っ青なリスクの取り方をしています。

真面目なドイツの印象とは裏腹に、
かなりアザトイ商売をしている銀行の様です。

先日は韓国で資金を回収しようとして、
裁判所から資産凍結の判決を受けています。
(尤も、資本逃避を嫌って資産凍結する韓国もスゴイですが・・・)

■ 身内のイタリアを攻撃するドイツ銀行 ■

先日来、欧州国債危機はイタリアに波及しています。
イタリアの危機は銀行株の売り浴びせから始まって、
国債の売り浴びせへと連鎖しました。

さて、本日こんな記事をご紹介します。

<ロイターより引用>

イタリア証券当局、ドイツ銀の伊国債保有圧縮めぐり情報求める

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-22499420110802

[ローマ 2日 ロイター] イタリア経済財政省は2日、ドイツ銀行(DBKGn.DE: 株価, 企業情報, レポート)によるイタリア国債へのエクスポージャー削減に関連し、同国の証券取引委員会(CONSOB)が情報の提出を求めたことを明らかにした。

 ドイツ銀のイタリア部門幹部は前週、イタリア国債の保有に関して、合併の結果によるもので、歴史的には安定的な水準にあると説明している。

 ドイツ銀の第2・四半期決算報告によると、同行のイタリア国債に対するエクスポージャーは、ネットで2010年末時点の80億ユーロから7月初めまでに9億9700万ユーロに縮小した。

 CONSOBは、この件に関する動向を引き続き注視するとしている。

<引用終わり>

ヨーロッパの銀行は欧州域内の国の国債を大量に保有しています。
イタリア国債の値下がりを受けて、
ドイツ銀行がイタリア国債を売り抜けるのは
当然と言えば当然なのかもしれません。

しかしその保有額の減少が著しい。

80億ユーロ → 9億9700万ユーロ

2010年と2012年7月の比較ですから
ドイツ銀行がどの時点でイタリア国債を手放しているのか
興味が持たれます。

イタリア当局も調査に乗り出した様に、
今回のイタリア国債下落の引き金を引いた可能性も否定出来ません。

■ 欧州系ロスチャイルド銀行 ■

ここで陰謀論好きの私の関心を引くのが、
ドイツ銀行がロスチャイルド系の銀行である事。

かつて日本のロスチャルド銀行である
三井住友(さくら銀行)を買収しようとした事もあります。

ギリシャ危機に端を発した欧州危機を
ゴールドマンやJPモルガンなど米国系銀行による
ユーロへの攻撃と見るのは、
いささか表面的かもしれません。

ゴールドマンやJPモルガンのボス達は欧州勢です。
当然、欧州のロスチャ系銀行も共同歩調を取っているはずです。

リーマンショック時にデリバティブ商品の6割を
欧州系銀行が保有していたと言われています。

アメリカで粗製乱造されたデリバティブ商品を
せっせと買い込んで市場を急拡大させたのは
欧州の銀行だとも言えるのです。

■ 欧州の危機は米国危機より奥深い ■

今回の米国債上限引き上げを見ても
アメリカの危機は、急造的で粗雑です。
落とし所もはじめから大体予測が付きます。

それに比べて欧州の危機は少々複雑です。
ヨーロッパらしいイヤラシサを感じます。

私から見ると、ギリシャ一国の救済に
わざわざ「手を焼いている振り」をしている様にも見えます。

危機自体もドイツ銀行の様に
ヨーロッパの銀行が関わっていたり、
どうも自ら危機を装っている気配がしてきます。

1) ユーロを弱体化させ相対的にドルを延命する
2) 為替レートを半固定化して、対ドル債権を保全している
3) 危機をきっかけに、ヨーロッパの財政、将来的な政治統合を狙う

理由としてこの様な項目が思い浮かびます。

いずれにしても、表面的な報道の裏に
何やら怪しい影が蠢いて見えるのは、私だけでしょうか?