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シリアが内乱状態に・・・日本のメディアは無視?

2011-08-15 05:42:00 | 時事/金融危機
 



■ シリアってどこ? ■

日本の中学生に中東の白地図を渡して、
各国の国名を記入させたら、
多分、シリアは正解率が低いでしょう。

シリアは社会主義政党であるバース党が政権を維持し、
ロシアや中国と関係の深い国です。

1971年から2000年まで
アサド大統領(父)が君臨し、
現在もその息子が大統領を継いでいます。

アサド(父)は、かつてはリビアのカダフィーと双璧を成す
反米、反イスラエルの急先鋒でしたが、
カダフィー同様、イラク戦争でビビッてしまい、
アメリカの前に膝を屈しています。

■ シリアが内乱状態に ■

日本ではあまり報道されませんが、
現在シリアは内乱状態になっています。

永年に渡るアサド親子とバアス党の独裁に、
民主化を求める民衆が蜂起している。
欧米のメディアはそう伝えています。

政府軍は反乱を起こした民衆を攻撃しており、
南部の港湾都市を海軍が洋上から攻撃したとの報道もある様です。

欧米各国はアサド大統領(息子)に、
国民に対する攻撃を止める様に要求しています。
ロシアと中国はシリアと関係が深く、
国連決議に反対していましたが、
事態が悪化する中で、ロシアもシリア政府に自重を求めています。

■ ゴラン高原の不安定化 ■

カダフィーの方がキャラ立ちが良いので、
リビアに注目が集まりますが、
イスラエルと中東の安定を考えるならば、
シリアの内戦は大きな脅威となります。

シリアとイスラエルの間には領土問題があります。
第三次中東戦争に勝利したイスラエルは、
シリアの領土であるゴラン高原を実効支配しています。

領土を奪われたシリア国民は、イスラエルに寛容ではありあません。
しかしアサド大統領が強力に権力を維持していたので、
ゴラン高原のイスラエル国境周辺は治安が維持されて、
イスラエルはシリア国境での紛争勃発を
あまり心配する必要はありませんでした。

ところが、アサドの権力が低下した事から、
先日、パレスチナ人がゴラン高原のシリア国境を越えて
イスラエルに侵入するという事件が起きています。

■ ヒズボラを支援するシリア ■

シリアはレバノンの反イスラエル組織である
ヒズボラを支援しています。

2006年にヒズボラのロケット砲攻撃に端を発した紛争で
イスラエルはレバノン領内に深く侵攻し、
街々を破壊しました。

レバノンの政府は欧米の傀儡です。
一方、民兵組織から組織を拡大したヒズボラは
学校や病院を建てるなど、
レバノン国民の信頼を得て、
単なるテロリスト集団とは言えない存在となっています。
これはパレスチナにおけるハマスと似た状況です。

ヒズボラはシリアとイランから支援を受けて
勢力を拡大しました。

■ リビアよりも中東の安定化に影を落とすシリア内乱 ■

シリア国内の不安定化は、
ヒズボラ暴発を誘引する危険性があります。

もしアサド波が政権維持の為にヒズボラをけしかけたら、
中東情勢が一気に不安定化します。

■ ヨルダン国王を支援するサウジアラビア ■

中東民主化(?)の潮流は、
イスラエルの東側の国ヨルダンにも影を落としています。

イスラエルとヨルダンも領土問題を抱えています。
ヨルダン川の西岸地域をイスラエルが実効支配しているのです。
この地域はパレスチナ人の政党、ファハタが自治を行っています。
ハマスに比べて穏健派のファハタは、
議長のアッバスが欧米の傀儡である事から、
パレスチナ人の支持を失いつつあります。

ヨルダンもレバノン同様にイスラエルとの領土問題が解決しないので、
欧米諸国はアブドラ国王を支援して傀儡政権となっています。

ヨルダンにも民主化の波が押し寄せており、
国民は王妃の浪費を非難するなどして、
暴動が発生しています。

ヨルダンで民主化革命が進行すると
イスラエルとの関係が不安定化します。

ヨルダンはサウジアラビアとイスラエルの間にあり、
中東一の大国がイスラエルと直接対峙する事を防いでいます。
サウジアラビアはヨルダンを財政支援して、
ヨルダン政府の崩壊を必死で防いでいます。

■ エジプト軍がシナイ半島に展開 ■

ムバラク政権が崩壊してイスラム原理主義勢力の影響力の増したエジプトですが、
欧米が影から支援する軍部が未だに実権を握っています。

エジプト軍はイスラエル国境に近いシナイ半島で
アルカイダやイスラム急進派勢力の掃討作戦を進める為、
軍をシナイ半島に展開しています。

この動きが報道通りの作戦なのか、
それともイスラエルとの有事に備えた動きなのかは
定かではありませんが、
イスラエルをめぐる中東情勢からは目が離せません。

本日から東南アジアに出張の為、
「人力でGO」は金曜日までお休みします。