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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

「王様は裸だぁー!!」・・・そう言わせた理由

2011-08-08 10:37:00 | 時事/金融危機
 

■ 芝居が終わった夜の出来事・・ ■

むかし、むかし、あるところに
大きな、大きな国がありました。

その国では、国王も大臣も家臣たちも
みな総出で、宮中で芝居をすることを
何よりも楽しみにしていました。

昨晩の演目は、「王様の借金でした」。

放蕩ものの王様が、お茶会を催しました。
その席でこういう者がおりました。

「王様の借金はもう返せません。
 これからは、贅沢はつつしんで下さい。」

すると、こう言う者もおりました。

「王様、庶民の生活は苦しゅうございます。
 借金はわが国の美徳、わが国の文化です。
 商人達も、わが国に喜んでお金を貸しまし、
 東の国も、わが国にお金を貸す事を喜びとしてります。」

すると国王は皆に命じました。

「ワシは借金を生き甲斐としておる。
 お金は借りるものであった、
 決して、返すものでは無いであろう?

 そうだ、返すふりをして、
 もっと借金を増やすというのは、どうであろう?」

大臣も家臣もお茶会の出席者達も
口々に国王を褒め称えました。

大臣は言いました。

「それは、私にとってやり甲斐のある仕事でございます。」

家臣達は言いました。

「それなら領民達も満足いくでしょう」

お茶会の出席者達は言いました。(国王に聞こえない様に・・)

「この国王はバカだ。
 でも借金をしなければ、この国はお仕舞だ。
 このまま放っておくのが得策だ。
 いずれこの国は、我々の手に取り戻せるのだから」

そうして「国王の借金」という演目は
大演壇の内に幕を閉じたのでした。

■ 困った少年 ■

その頃、巷では「王国が借金漬け」という噂で持ちきりでした。

街には職の無い者が溢れ、
日に日に高くなる、パンや油の値段に
国民達の生活は貧しくなるばかり。

そんな街門で一人の少年が大声で言いました。

「この王国は一流の顔をしているけど、
 本当は二流以下の国だよ」

すると友人の一人が言いました。

「大丈夫さ。本当の事を言わなければ
 誰もが一流だと思うに決まっている」

すると、もう一人の少年が言いました。

「本当の事を言っても誰も信じないよ。」

しかし最初の少年は、
とうとう街角で大声でこう言いました。

「皆騙されちゃいけないよ!!
 この国は二流だよーーー!!」

■ 城の奥の間で・・・ ■

国王 「どうじゃ、ワシが言った様に噂を流してくれたか?」
少年 「はい、国王様。仰せの通りに」
国王 「そうか、それで民の様子はどうであった?」
少年 「ビックリしていまいたが、でも僕は嘘つきだと思われていますから」
国王 「そうか、そうか」

大臣 「国王様、中には慌てる者もおりましょう。
    特に東の国なぞは、大慌てでしょう」
国王 「それは好都合じゃ。
    もっと金を貸さんと、本当に潰れてしまうぞと、催促するが良い。」
大臣 「は、仰せのお通りに」

執事 「ところで王様、わが国の金庫が空だと申す者がおりますが・・」
大臣 「金は商人どもに貸してしまましたからな。
    やつら、返す気など無いらしい・・・。」
国王 「良いではないか、どうせ潰れる国の金庫など
    空に越した事は無い。
    借金取りどもの泣き顔が目に浮かぶわ・・」

執事 「国民がパンをくれと騒いでおりますが・・」
国王 「カネをもう少しばら撒いてやれば良いであろう」
執事 「いえ、先日沢山蒔き過ぎたので・・しばらくは自重した方が・・。」
国王 「構わぬ、どうせ紙くず同然のカネじゃ。」
執事 「では、頃合を見計らって・・・」

大臣 「ところで、本家の方が大分騒がしい様ですが・・」
国王 「兄には困った事だ。
    ああ堅物では、弟達にカネはやらんだろうな・・。」

執事 「本家からは、もう暫くこの国を守る様に言われています。」
国王 「兄達のよき様に計らえ。」
   「そうそう、ワシらの取り分を忘れない様にな」
執事 「それでは、東の国から本家に少し出させましょう。」
国王 「それが良い。あの国は本当に便利な国じゃ。」

大臣 「ところで国王、この国は何時潰れるのですか?」
国王 「さあな、兄達次第だろう・・」
大臣 「国民もそろそろ騒ぎ始める頃かと・・。」
国王 「良いではないか、好きにさせておけ。
    そうそう、茶会の連中に世話をさせるのが良かろう。
    烏合の衆よりは、扱い易かろう。」
大臣 「あの者達はバカですからな。」


その王国は今では地図に載っていません。

むかし、むかしのお話でした・・・。


<追記>

日本は立場的にも地理的にも損な役回りです。

危機はいつもアメリカの金曜日の夜に発表されます。
米国市場は閉じているので、
アメリカの市場は反応する必要がありません。

日本の市場は、土曜日、日曜日と疑心暗鬼が広がり、
パニックを恐れる政府や日銀、
そして金融機関は必ず対策を協議するはずです。

「暴落を防ぐ為にはどうするか」

答えはいつも一つです。
日銀が潤沢な資金を供給して市場を買い支える。
年金の積立金を投入して暴落を阻止する。

かくして、週明けの東京市場は安値ながら
暴落までには至らずに、
世界の市場も冷静さを保つ事が出来ます。

1) 円高を仕掛ける
2) 危機を仕掛ける

この2段構えです。

円高に日銀が反応して「ドル買い」をします。
でも政府も日銀もバカでは無いので、
即「米国債購入」には、なかなか踏み切れないでしょう。

そこで、S&Pに格下げをさせます。
米国債を膨大に所有する政府も民間も、
米国債の暴落はどうしても避けなければなりません。
かくして、日本は米国債を買い支える事となります。
ドル安に傾いている分だけ、米国債を大量に変えるというオマケ付きです。

株も同様です。
終末にアメリカで発生した危機に
日本市場が過剰に反応しない為、
海外勢が日本株を売り抜け様とすれば、
日本の金融機関や年金が、これを買い支える事になります。
銀行株が売り浴びせられたら、イタリアと同様、
国家を挙げてこれを防衛しなければなりません。

かくして、海外勢は円高に乗じて、日本株を高く売り抜け、
そして、ほとぼりが冷めた頃、
安値で買い戻すのでしょう。

蛮勇とも取れるS&Pの格下げですが、
ドルのユーロへの、下落調整と、
日本をターゲットにしたヤクザな揺さぶりと考えれば、
それ程意外では無いのかも知れません。

金融業界などは裏では繋がっていますから、
業界が米国の格付けに反応しないと決めれば、
欧州も米国も相場はそんなに荒れないのでしょう。

・・・蚊帳の外の日本だけが、
右往左往する羽目になる・・・・。

こんな、見方は被害妄想が過ぎるでしょうか?

<追記2>

私はペイオフを信じていません。
アメリカにしても地方銀行(日本よりも圧倒的に規模が小さい)が
150行も潰れたら資金が底をつきました。

依然私が調べた範囲では、預金保険機構の積み立て金は
7兆円程度だったのですが、
メガバンクも潰れる様な危機に際して
7兆円は心許ない規模です。

さらにその7兆円も運用されているとすれば、
金融危機と共に預金保険機構の積立金も
消えてしまう可能性も否定出来ません。

でうから、あまりにも巨大な危機に際しては、
普通預金も、定期預金も全く安心出来ないのです。
現金化して貸金庫にでも入れておくのがとりあえずは安心です。

それでも、新券切り替えなどされたり、
高インフレ政策などを取られれば、
現金とて安全資産では無くなります。

・・・しかし、そうなったら諦めも付くというものです。
預金が凍結されて引き出せない・・・
そんな状況に陥るのは、何とも情けないものです。

定期預金とて大した金利は付きません。
そんな金利と引き換えにする程、
現在のリスクは小さくは無いはずです。