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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

時代は鴨川・・・自転車に乗って「輪廻のラグランジェ」の聖地巡礼

2012-08-05 05:36:00 | アニメ


 



■ 「聖地巡礼」ってご存知ですか? ■

今、若者達の間で「聖地巡礼」なるものが流行っています。

何も、チベットで五体投地するとかでは無く、
アニメの舞台になった土地を訪れて、
作品のシーンの背景と同じ所を探して回る行為を
「聖地巡礼」と呼ぶのだそうです。

「こんなの昔からあるさ」とか
「私、映画の景色が見たくて尾道に行った事ある」
と言われる方も多いでしょう。
お年を召した方なら「寅さんの柴又に行く」みないな・・。

ところがアニメファンの聖地巡礼は少し趣きが違う様です。

■ 低予算化が背景を「現実化」させた ■

従来のアニメの背景は架空の街でした。
しかし、架空の街を一から構築するのは手間が掛かります。

近年のアニメは低予算で製作されるので、
背景に掛かるコストはなるべく抑えたい。
一方で、アニメ表現の高度化によって、
背景はなるべくリアルにしたい。

この二つの理由から、
実際の街をロケして、背景が作られる様になります。
最近のデジタル技術の進歩が、
写真からの、背景製作を容易にした事から、
近年の多くのアニメの背景は、実際にどこかにある風景になっています。

すると誰とも無く、その「背景を実際に探す」という現象が発生しました。
作中でロケ地が何処か、特に明かされていないので、
その場所を探す楽しみも加わり、
さらにはネットでの情報交換によって、
「マイナーなロケ地探し」は一種のブームになります。

■ 五大聖地 ■

ネットの情報によれば、「五大聖地」なるものがあるそうです。

鷲宮神社、木崎湖、豊郷小学校旧校舎、尾道、城端

何のアニメの聖地だか分かりますか?

鷲宮神社・・・『らきすた』
木崎湖・・・・『おねがい☆ティーチャー』
豊郷小学校旧校舎・・・『けいおん』
尾道・・・・・『かみちゅ』
城端・・・・・『true tears』

私は『かみちゅ』くらいしか分かりませんでした。

これらのアニメが聖地巡礼の草分けになったのは、
アニメの人気もさる事ながら、
この時代のアニメから、
「リアルな背景」が用いられる様になったからでしょう。

その後、多くのアニメの背景を若者達が巡礼し始めます。

■ アニメで「街興し」 ■

それまで、観光地でも無い普通の街が「聖地」となってきましたが、
観光地が町興しの一環として、これに目を付けます。

成功例は「花咲くいろは」の舞台、
石川県の「湯涌温泉」です。
温泉の老舗旅館を舞台にしたこの作品、
美しい温泉街の背景がひときわ印象的でした。

作中では「湯乃鷺温泉」と名を変えていますが、
放映中から若者達が温泉を訪れ始め、
これに気を良くした街では、
作品のハイライトとなる「ぼんぼり祭り」という実在しない祭りを
とうとう実際に開催してしまいます。
これには多くのファンが詰めかけ、
地方の寂れた温泉街は、アニメファンに埋めつくされました(誇張あり)

■ 大々的にアニメで町興しを狙った「千葉県鴨川市」 ■

そこで、大々的にアニメで町興しを狙ったのが「千葉県鴨川市」です。
外房の中核都市である鴨川は、観光と漁業、そして農業の町です。

しかし、近年、房総を訪れる観光客は減少しています。
格安の海外旅行に、ビーチリゾートの客を取られているのです。

そこで「鴨川市」は地元を舞台にしたアニメ「輪廻のラグランジェ」で
街の宣伝を試みます。

アニメ的日常とは・・・「輪廻のラグランジェ
http://green.ap.teacup.com/pekepon/738.html

とにかく街の名所を背景にしたシーンに散りばめ、
各話タイトルは以下の通りの「鴨川押し」

1話「ようこそ、鴨川へ!」

2話「鴨川スピリット」

3話「鴨川にランの花咲く」

4話「鴨川スイマーズ」

5話「鴨川に来た男」

6話「風と火と水と鴨川と」

7話「曇り のち 鴨川」

8話「鴨川ロリータ」

9話「勝浦発→鴨川行」

10話「さらば鴨川」

11話「鴨川絶対防衛ライン」

12話(最終話)「またいつの日か、鴨川で」

さらには地元の名物の「おらが丼」だとか「さんが焼き定食」などが
どんどん作品中で宣伝されます。

■ ナイーブなアニメ・ファン ■

大宇宙を舞台にしたSFアニメのはずなのに、
敵味方の艦隊が続々と鴨川に集結してくる。

宇宙平和会議の舞台も鴨川です。
もう、ほとんど「悪乗り状態」の鴨川押しですが、
どうやらファンの乗りは今ひとつの様です。

アニメファンはナイーブなので、
あまりに強く押されると、引いてしまいます。


ネットなどでも「鴨川、鴨川ってウザクねぇ」的な書き込みが散見されます。
「おたく舐めんな」との書き込みも。

鴨川の試みはNHKの番組でも紹介されましたが、
逆にアニメの地域振興の失敗例的な取り上げでした。

鴨川市もアニメファンの心を掴みきれずに、困惑している様です。

■ 私は鴨川市と「ラグりん」を応援します!! ■

随分前置きが長くなりましたが、
自称オヤジアニメファンの私は
オタク(ちょっとユリ系)のロボットアニメに街の再興を託した
鴨川市を心より応援します。

だって、ユリ系ロボットアニメですよ。
潔いじゃありませんか?

ところがこのアニメ、メチャクチャ面白いのです。

だから、今回の企画は、
「自転車で聖地巡礼 千葉県鴨川市」です。



■ 雨の中、100Kmの道のりを鴨川を目指す ■

浦安から鴨川へは、養老渓谷から麻綿原高原を抜けて行きます。
およそ100Km、最大標高300mです。

天気予報は雨後晴れ。
鴨川は午後は晴れるみたいです。

途中、小雨が降り出しましたが、
小雨の方が、暑くなくて快適です。

麻綿原高原からの一気の300mの下りは、
路面が濡れてスリップするので、
慎重運転です。
ちょっと後輪のブレーキを利かせると
後輪がズルズルと流れて、ビビリます・・。

さて、外房の海沿いを10Km程走ると「鴨川シーワールド」に到着。
距離は丁度100Km。浦安を出て5時間で到着です。



作品中、ここのシャチをランが大いに気に入って、
自分のロボットに「オルカ」って名づけています。


■ 先ずは市役所の本気度をチェック ■

春頃に鴨川を聖地巡礼した人のブログでは、
市役所の入り口には「まどか」の立て看板。
市民報や議会だよりの一面に、
ラグランジェがドーンと載る力の入れようだとか。

そこで私も市役所の本気度をチェックに行ってみました。



これが鴨川市役所。
なかなか立派な建物です。

そしていよいよ庁舎の中へ・・。



おーと、カウンターにポスター、キターーー!!



観光案内コーナーにもポスターが!!



とどめは、「ジャージ部通信」だぁぁぁあーーー!!
さすがは鴨川市、「気炎万丈」「意気軒昂」。
市を挙げての「ラグりん」押しだぁぁぁあーーー。

って、スミマセン。
「ジャージ部通信」を発見してついつい興奮してしまいました。
はぁ、はぁ・・・。

■ 「おらが丼」を攻略!! ■



観光コーナーに「おらが丼」のパンフレット発見。
作品中、何回となく「おらが丼」と「さいが焼き」が協調されています。

ナニナニ・・・「おらが丼」とは、各店自慢のドンブリ物メニュー・・。
あれ、「おらが丼」という料理の名では無く、
地域振興の一環で行われているキャンペーンだったのですね。

しかし鴨川と一言でいっても
安房天津、天津小港、鴨川、太海と結構大きな市です。
それぞれの地域の飲食店が、
各店自慢の丼物を競っているのだから迷ってしまいます。

そこで、「誓いの丘」に行くついでに行けそうな
鴨川の次の駅の「太海(ふとみ)」近辺の店を探します。
フラワーセンターと江澤館、そして笹鮨という店が協賛しています。

実は私は「太海」という漁村が大好きです。
房総の小さな入り江の漁村ですが、
観光客も少なく、昔ながらの風情をとどめています。

そこに「江澤館」という古い旅館がありますが、
ここは「画家の宿」として有名です。



太海の波太海岸は、浅井忠によって見出され
日本絵画の原風景として、その後多くの画家達が訪れたようです。
「画家の宿 江澤館」はそんな画家達が定宿にしていたようで、
安井曽太郎はセザンヌの様な手前に松を配した絵を残しています。

「江澤館」の大広間には、ここを訪れた画家達の画が
壁一面に飾られています。

以前、「江澤館」でお昼を食べた事があるのですが、
店主手作りのトコロテンなど、房総ならではの味わいでした。
ここの「おらがさざえ丼」は、
「長狭米(地元のお米)に、目の前の海でとれたサザエを秘伝にタレで味付けし、
 玉子でとじた自慢の一品」。
想像しただけでも、ヨダレが出て来ます。

ところが、行ってみると今日はランチはお休みとの事・・。
残念。

そこで、鴨川からの途中で見つけておいた「笹鮨」さんに行く事に。



ここの自慢の「おらが丼」は、10種類の採れたての地魚を使った海鮮丼。



マグロの中オチ巻き
クロムツ、金目ダイ、ひらまさ、アジの「なめろう」などがてんこ盛り!!
ご飯は何処??って探してしまう程。

「プリップリの刺身」という表現を良く使いますが、
あれはネターが古くて硬くなっているだけ。
釣りをする方はご存知かと思いますが
採れたての魚の刺身は、身が柔らかくて全く臭みがありません。
味が繊細なので、醤油をベットリ付けたりしたら、
味が分からなくなってしまう程、繊細な味です。

笹鮨さんの魚はまさに、口の中でトロケルような食感。

「地物の魚でも旬のものしか使わない。
今はカツオは遠洋ものしか鴨川に上がらないから、不味くて使えない。
目地マグロも、今は脂の乗りがイマイチ。

今のお勧めはクロムツ。
最高に脂が乗っていて、美味しいでしょう。」

と店長がカウンターの中から説明してくれます。

さらには、近辺の観光の見所や、
その行き方などを、丁寧に教えてくれます。

そして仕上げは、「クロムツの炙り鮨」が一巻。
脂がジワーと溶け出して、もう頬っぺた落ちそうです。

いや、マジ、最高です。

笹鮨さん、ご馳走さまでした。
ちなみに、「活き粋丼(いききき)」1700円。
ちょっと贅沢ですが、東京ではこの値段でこの内容はあり得ませ。

ところで、「なめろう」って何かご存知ですか?
上の写真の一番下に写っているものですが、
新鮮な魚と大葉やネギ、ショウガを細かく刻んで、
味噌であえたものです。

これは、醤油を付けずに食べます。
魚のうまみと、薬味の香り、そして味噌の味がブレンドして、絶品。
これだけでも、ご飯が3杯くらい行けそう。

そして、「ラグりん」の中で、何度も出てくる「さんが焼」とは、
この「なめろう」を焼いたものだとか。
食べてみたい!!

■ 「誓いの丘」は超絶景 ■

美味しい「おらが丼」と生ジョッキで鋭気を回復している間に
鴨川には青空が広がっていました。

次は「ラグりん」の第一期の最終話で伝説な名シーンを生んだ、
「誓いの丘」を目指します。

ここは、正式には「魚見塚展望台」と言って、
昔、漁師達が、ここに登って魚の群れを探した場所だと
笹鮨の店主が教えてくれました。(行き方も)

海からいきなり海抜100Mの高台になるので、
急な上り坂を登って行く事になります。
さっき、ビール飲んじゃったから、大丈夫なのか?



上り坂はどんどん急になり、最後は斜度20%を軽々と超えています。
普通に歩いて登っても、前かがみになる様な斜度を、
自転車で死にもの狂いで登って・・・登って・・・・
あれ、登れないや・・・。

最後は自転車を押して登る急な坂道の先は、
今度は急な下り坂が待っています。
濡れた洗い出しのコンクリートが結構滑ります。

自転車用のビンディングシューズは
裏に金具があってただでさえ滑り易いので、
ここは「裸足」で行くしか無い。

そうしてやっと行き着いた先には、
「ラグりん」で、、マドカとランが再会を誓った「誓いの丘」が・・・。







銅像も、ほぼ同じものが聳え立っています。



鴨川の眺めも同じ。



こちらは、右手に見える太海の海岸線。



そしてこちらは「トビ」。
「ラグりん」の冒頭は、トビの目のアップから始まります。
とにかく、「誓いの丘」の周辺はトビが多い。
目の前を、悠々と滑空していく姿は美しく感動的です。



そしてこれが、約束を鍵に書いて金網に留めれば、約束が叶うという。
沢山の約束が、ぶら下っていました。

「また、いつか鴨川で」というマドカ・バージョンは
残念ながら見つかりませんでした。



そしてこれが、あの「名シーン」を生み出した坂道。
名残を惜しむように何度も振り返り手を振るラン。
丘の上から何度も「バイバイ」「またね」と手を振るマドカ。
小さく、見えなくなっても、振り返るラン。

このあまりにもベタだけれど、
高校生女子の気持を見事に表現し尽くしたあのシーンは、
この坂道から生まれたのです。

坂道は最近舗装されたらしく、階段とスロープになっていました。
はたして、こんな急なスロープを車椅子を押して登れるのかは疑問ですが、
少なくとも、自転車の役には立ちました。
尤も、こんな所に自転車で来る人は居ないでしょうが・・・・。

さて、展望台の下に、こんな物を発見してしまいました。
学校の机と椅子がポツンと置かれた、その上にありました。



「ラグりん思い出ノート」です。



当たり障りの無さそうなページを紹介します。
「18切符で来ました」というのが泣かせます。

その他にも、
「古い鴨川は、ラグランジェで新しい鴨川になった」
などという書き込みも。

さらには、こんなものも発見。



「ラグりん記念切手」です。
もう、鴨川の気合、ハンパありません。

「誓いの丘」の帰り道、何組かの若いカップルと、
一人で登ってくる何人かの若者に出会いましたが、
皆さん、明らかに「聖地巡礼」の最中の様子。

若者達の方から「こんにちは」と明るく挨拶をしてくれます。
ああ、この作品を好きな人は、こういう人達なんだなと実感します。

主人公のまどかは、バカが付く程、まじめで一本気。でも天真爛漫です。
NHKの歴代の朝の連ドラの主人公が束になっても叶わないポジティブ・キャラクター。

そんな、ちょっと不自然なキャラクターに魅力を感じる子達は、
きっと、凄く素直な子達なのでしょう。
(私も素直です。間違っても陰謀論なんて口にしません)

「ラグりん」の評価が分かれる所は、
この素直さが容認できるかどうか?

暗い部屋に篭ってパソコンと対話している様なオタクには
ちょっと「眩し過ぎる」のが鴨女ジャージ部の三人娘。

■ 鴨川ビーチは今日も若者で一杯 ■

「誓いの丘」を一気に下って、鴨川ビーチを目指します。

その前に、「バカトリオ」達がオービットを留めている「鴨川漁港」に立ち寄ります。



遠洋漁船が停泊するエリアと、
地元漁師の船が停泊するエリアと分かれています。
こんな小さな漁船で、波の荒い外房の海に出てゆく猟師達は勇気があります。
バカトリオの一人、イゾは漁師のオヤジに娘の相手にと目を付けられています。
まさに、イゾに漁師はピッタリ。



さて、鴨川のビーチ・・・・いや、ビールでした。
ビーチは若者や家族連れで賑わっています。
潮風が心地いい。



イカ娘が居そうで期待して覗きましたが、
さすがに、髪の毛が触手の店員さんは居ませんでした。
ところで、アストリアの声って、イカ娘だたんですね。



そして、これが多分、マドカの伯父の店のモデル。

■ 鴨川女学院発見!! ■

ビーチを北側に進んでゆくと
何やらデジャヴを搔き立てる建物が・・・。



「鴨女」発見!!
イヤー、感動です。

まさにそのもの、って感じ。



ちなみにこちら「文理開成高校」という学校だそうです。
本当に海岸線に建ってます。

これで、一通りは回ったでしょうか。
高校の隣りの市営プールを発見しました。
ここでシャワーを借りて、
サッパリして電車に乗りたい。

プール代300円を出したら、
オジサンが、「プール入らないならタダで良いよ」だって。
鴨川、最高です。

鴨川駅からは、「特急わかしお」で一気に帰ります。
自転車で5時、電車を乗り継いで2時間10分。

あれ、自転車って意外に早いのね・・・・。


本日は「輪廻のラグランジェ」の舞台、
千葉県鴨川市の聖地巡礼を、
「ジャージ部」魂を込めてお送りしました。



最後はやはりこの歌、「ジャージ部魂」



この曲、ダンスマンの作詞作曲ですね。
クオリティー結構高いですよね。

この曲がEDになった時、
ネットで非難噴出でしたが、
4話目で普通のEDになったら、
「お前らが文句行ったから、ジャージ部魂、
 無くなったったじゃないか!!」と
これまた、非難ゴウゴウ。

一度耳にしたら、リピートを繰り返す、恐ろしい耳タコソングです.