■ 日韓通貨スワップに対する誤解 ■
最近、訂正記事の多い人力でGOですが、
今回も、先日の日韓通貨スワップに関する訂正です。
「崩壊寸前の韓国経済・・・竹島は韓国の国内問題」
http://green.ap.teacup.com/pekepon/873.html
上記記事の中で、通貨スワップが昨年10月から実施され、
日本の資金が韓国に融資された様に私は誤解していました。
新聞などの記事を見ても、そう誤解させるものがあります。
「日韓通貨交換:拡大措置見直しへ 竹島上陸に対抗 」
毎日新聞 2012年08月18日 02時30分
http://mainichi.jp/select/news/20120818k0000m010125000c.html
<一部引用>
前略
日韓通貨交換協定の拡大は、欧州債務危機の深刻化に伴う影響を和らげる目的で実施された。当時、多くの韓国企業は欧州系金融機関から融資を受けていたが、欧州系金融の資金引き揚げが相次ぎ、韓国側はドル資金の調達に苦慮していた。日本政府は韓国経済の混乱が国内に波及することを警戒、資金を融通することで危機拡大を防いだ。
後略
しかし、同じ毎日新聞の記事ですが、別の記事はこう書かれています。
「日韓スワップの破棄=潮田道夫」
毎日新聞 2012年08月22日 東京朝刊
http://mainichi.jp/opinion/news/20120822ddm003070152000c.html
<引用>
前略
昨年秋、欧州危機のあおりで韓国ウォンが売られ、韓国は通貨危機の瀬戸際に追い込まれた。それを救ったのが日韓スワップ枠の拡大だ。韓国への緊急融資枠を130億ドルから700億ドルに大幅増額した。日本が韓国を支援する意思を明確にしたため、市場は韓国を標的からはずした。
後略
<引用終わり>
日韓通貨スワップの枠が拡大された昨年10月頃のプログなどでは
「韓国に5兆円もの資金を融資するなら、増税しなくても大丈夫では無いか」
との論調も多かったので、私も良く調べずに書いてしまいました。
■ 通貨スワップは外貨が枯渇しそうになった時に実施される ■
通貨スワップが発動するのは、相手国の外貨準備が底を突きかけた時で、
現在の韓国は外貨準備が3000億ドル程度あり、
アジア通貨危機当時の様に、ドルが切迫した状況にある訳ではありません。
上の記事にもある様に、昨年、欧州危機の煽りでウォンが売られた際、
日本政府と韓国に700億ドルの通過スワップ枠を発表した事で
ウォン売りに歯止めが掛かりました。
「枠」というのがミソで、これは与信枠の様なものだと考えられます。
韓国が通貨危機になってドルが枯渇したら、
日本が700億ドルまで、韓国にお貸ししますよよいう約束。
これはウォン売りで一儲けしようとする連中への牽制になりますし、
他のアジア通貨が危機の場合には、同様に日本が守りますという宣言でもあります。
■ 韓国の外貨準備の中身 ■
日韓通貨スワップを停止しても、韓国に影響が無い様に思えますが、
問題は韓国の外貨準備の中身です。
昨年のデータによれば以下の通りとなっています。
現金……100億ドル
米国債……800億ドル
CDO債……1000億ドル
その他債券……800億ドル
今年2月時点で91.7%が有価証券運用されている様ですが、
CDOや債権価格は多分簿価で計上されていると思われます。
その他債権の中身やCDOについて色々と憶測が飛び交っており、
米国機関債や、米国地方債がメインだとは思いますが、
いざ、韓国が外貨預金を取り崩そうとした時に、
はたして、速やかに現金化できるかどうかです。
米国の地方自治体は、破綻寸前の自治体が多数あり、
ウォーレン・バフェットも米方債のCDSから手を引く様です。
その様な状況で、米地地方債を売却すれば、地方債の金利が上昇するかも知れません。
同様に、米国債の売却も、米国債の金利上昇圧力になります。
これをすんなりアメリカが許すでしょうか?
何れにしても、ウォンが暴落して米国債売却などいう事態を避ける為の
安全装置としての日韓通貨スワップであるならば、
財務大臣が「見直し」と発言しても、はたして実行されるかは疑問でもあります。
そこら辺の足元を見て、韓国は「止められるものなら止めてみろ」と強がってきそうです。
しかし、現在の日韓関係を鑑みると、
政府としても、韓国が「止めて良い」と言ってくるならば、
通貨スワップを継続する事は、国民が許さないでしょう。
■ ウォン安が進行している ■
日韓関係の悪化を受けて、8月14日からウォン安が進行しています。
韓国の輸出企業にはあり難いウォン安ですが、
輸入物価が高騰している韓国でさらなるウォン安の進行は、
韓国の国民の負担を確実に増やしています。
時給で帰るのがマクドナルドのハンバーガー一個という記述も見ます。
通貨安によるインフレが加速しているのです。
韓国国民は現段階では李明博大統領への支持を高めていますが、
通貨安によるインフレがさらに悪化すれば、
その支持も長くは続かないでしょう。
ましてや、自国経済が破綻寸前などと気付き出したら、
政権に対する不満は高まります。
李明博大統領は内政の失策を、「反日」で乗り切ろうとしましたが、
どうやら、やり方を間違えた様です。
竹島上陸で止めておけば良かったと、
今頃後悔している事でしょう。
(裏で誰かがけしかけたとしか思えない天皇発言ですが・・・)
■ アジア危機の引き金を引く勇気が日本にあるのか? ■
一方的に韓国が不利の様に見えますが、
日本政府も事態が悪化すると、困った状態に追い込まれます。
それは、韓国の経済崩壊の引き金を、日本が引いてしまう可能性が高まる事です。
もしそうなれば、アジア各国に危機が波及しない為に
速やかな韓国救済がIMF主体で討議され、
その結果、少なからぬ負担を日本が負う事になります。
この覚悟があるのであれば、強硬姿勢を貫けば良いし、
その覚悟が無いのであれば、「約束だけで実質的な負担の無い」通貨スワップ継続で
恩を売るのも外交手段の一つではあります。
但し、従来の様に、韓国国民に日本の貢献が知らされないのも腹立たしいので、
李明博大統領に日韓通貨スワップの延長を申し入れさせ、
その理由を韓国国民に正確に理解させる事を条件にすれば良いでしょう。
何れにしても、世界経済が微妙な時に、アジアの隣国同士で争っていては、
どこぞの誰かの思う壺という事は、日韓の国民も念頭に置く必要があるでしょう。
それにしても、外交とは難しいものです。
欧米人などは、ダブルスタンダードなど当たりまえですから、
国民も、押し時と、引き時を良く心得ています。
ドイツ国民がユーロに対してどういう判断を下すのか、
こちらはこちらで目が話せません。
ンンン?!・・・ドイツ人って石頭でしたっけ・・・・。