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安倍内閣の経済ブレーンは浜田宏一氏・・・日銀はインフレをいつでも退治できる

2013-01-05 01:20:00 | 時事/金融危機
 

■ 浜田宏一氏から安倍氏への書簡 ■

安倍首相の経済ブレーンが浜田宏一イエール大学教授である事が報じられています。
際金融論、ゲーム理論の分野で世界的な業績がある方だそうで、
ノーベル経済学賞候補だとか・・・。

その浜田宏一氏から安倍総裁に宛てた書簡がネットに載っていました。


http://www.twitlonger.com/show/k303b2 より引用

< 引用開始 >

日銀法改正以来、日本経済が世界諸国のほぼテールエンドの足跡を示していることから、そこでの金融政策が不十分であったことは明らかです。日本経済の望ましくない症状として、デフレ、円高という貨幣的な症状が出ているのですから、それに対するのは金融拡張が当たり前の処方箋です。

 野田首相は、金融に訴えるのは世界の非常識といわれますが、
<Wall Street Journal>金融に訴えないという議論こそ、現在の世界の経済学から見れば非常識です。
野田首相は、地動説の世界で天動説<日銀流金融理論>を信奉しているようなものです。このことは、最近私がマンキュー、ハバード、ノードハウスなど超一流学者とインタビューして確認しました。

 政策手段としてはインフレ目標が望ましいと思います。IMFのチーフ・エコノミストのブランシャール<ブランシャード>も4%まではいいといっているようなので、これだけ長いデフレが続いて、人々のデフレ期待が定着している日本経済に活を入れるのは、安倍総裁の2~3%がまさに適当といえると思います。
また、インフレ目標は、金融緩和が行過ぎてインフレが始まりそうになるのを防ぐという、インフレから国民経済を保護する機能を持っています。

 デフレ脱却のためには、日銀の国債引き受けでもいいですが、それが強すぎるというのなら、総裁のおっしゃったように日銀が国債を大規模に買い入れればよいのです。ただ、ゼロ金利に近い現状では、買い入れ対象が短期国債では効きません。長期国債、社債、株式の買い入れも必要となるわけです。バーナンキ議長がやっている抵当証券の買い入れも必要となるわけです。バーナンキ議長がやっている抵当証券の買い入れも、このような考え方に基づいています。

 日本経済の高度成長期には一桁、5%未満のインフレが通常でした。2度の石油危機の時には二桁のインフレになったこともありましたが、それを日銀は見事に克服しました。言い換えれば日本経済の奇跡的成長は緩やかなインフレと共存していたのです。そして日銀はインフレが昂進しそうになればいつでも制御した実績があります。このような歴史から見れば、デフレを克服するとハイパーインフレになるというのは非現実的な脅しに過ぎないのです。

ゴルフにたとえれば、今の日銀は雇用改善、景気回復という目標のホールを目指さずに、ホールの向こう側には<ありもしない>崖があると称して、バンカーに入ったボールをホールの方向に打たない、あるいはパターでしか打たないゴルファーのようなものです。

<引用終わり>


■ 高度成長期には5%未満、高度成長期には二桁のインフレを日銀は克服した ■

高度成長期のインフレ率を引き合いに出して、
日本経済の高度成長期には一桁、5%未満のインフレが通常でした。2度の石油危機の時には二桁のインフレになったこともありましたが、それを日銀は見事に克服しました。と書かれています。

インフレになったら日銀が金利を引き上げれば良いと言っている様にも思えます。

インフレターゲットを儲け、インフレ率が2%、あるいは3%に達したら
金利を上げるか、通貨供給量を絞ればインフレ率はそこで止まるのでしょうか?

■ 金融政策で景気は回復するのか? ■

日銀の金融政策が単なる金利操作なら、誰でも出来る簡単な仕事に思えます。
しかし、実際の金融政策は非常に複雑で、「日銀と市場の心理戦」とも言えます。

流動性の罠が発生している状況で中央銀行の出来る事は限定的です。

1) 金利を下げる・・・・既にゼロ付近まで下がっています
2) 国債を買い入れて資金を市場に供給する・・・買い入れの札割れが発生しています
3) 株や債券を積極的に買い入れる・・・既に株や不動産REITを買い入れています

規模の問題は確かにあって、日銀の緩和政策はFRBやECBに比べ見劣りしています。
ただ、それはリーマンショック以降の比較であり、
日本はバブル崩壊以降、一環して金融緩和を進めて来たので
日銀のバランスシートは既にFRBやECB以上に膨張しています。

日本の銀行は欧米の銀行と違い、リーマンショックの損失は軽微です。
ですから、「借金の穴埋め」という資金需要が乏しい為に
日銀が供給する資金は、日銀の当座預金にブタ積みになってしまいます。

■ 景気回復に必要なのは、構造改革による「イノベーション」か、財政出動か ■

浜田教授もその事は充分に理解していますから、
今回は財政出動と両輪で景気回復を目指すとしています。

公共事業を点火剤として、景気に火を付けようという作戦です。
一旦、経済の歯車が回り出せば、
既に充分以上に供給された資金がマネーサプライを急拡大させます。

これに対して、「構造改革派」は「バラマキでは景気は回復しない」と主張します。
充分にインフラが整備された日本において、公共事業の乗数効果は低く
財政赤字拡大という副作用の割には、景気回復効果は期待出来ないと言います。

構造改革による生産性の向上や、規制撤廃によるイノベイシィンの創出しか
本格的な景気回復を達成する事は不可能だと主張します。

これは両者の主張にそれぞれ一理あって、
即効性は財政政策が高く、持続性は構造改革や規制緩和が有利です。

■ 出口戦略は難しい ■

ここで見落とされがちなのが、流動性の罠が生じている状況で、
「中央銀行の金融政策は景気回復につながらないが、
何かのきっかけで、景気が回復基調に乗ってしまえば、
中央銀行の金融政策如何によっては、バブルが発生する」

という過去の教訓です。

不景気の時に低金利で貸し出された資金によって生まれた景気拡大は、
低金利の資金供給が途絶えると失速します。
ですから、中央銀行の金融引締めは、ついつい遅くなりがちです。

インフレターゲットを採用しているイギリス中央銀行は、
インフレターゲットの上限破りの常習犯です。
なぜなら、インフレターゲットに達して直ぐに金利を引き揚げると、
せっかっくの景気回復が水泡に帰す可能性があるからです。

これが金融緩和の出口戦略の難しい所です。

■ 高度成長期は実需、現在は金融や不動産という投資市場が景気を牽引する ■

浜田氏は、高度成長期にも日銀はインフレを上手くコントロールして来たと主張します。

しかし、高度成長期と現在では経済の牽引役が異なります。
高度成長期の経済の牽引役は、製造業や建築業でした。

製造業は海外や国内の旺盛な需要が存在した為に、
金利が多少上がっても、利益が確保出来ました。
建設業も、ビルや住宅などの需要が旺盛でしたから、
金利が上昇しても、投資が急激に衰える事はありませんでした。

実需によって支えられた経済は、金利上昇に対して抵抗力があるのです。


一方、現在の世界は金融投資や不動産投資、株式投資に偏重しています。
資金需要は先ずこの分野で発生し、加速度的に膨らんでゆきます。
一旦、相場が上昇に転じると、レバレッジを効かせた取引で一気に市場が拡大します。

ところが、投資は長期のビジョンに乏しく、
短期的に金利を稼ぐ事に集中しがちです。
当然、日銀の貸し出し金利が上昇すれば、収益性が低下するので、
市場には一気に、資金の巻き戻しが発生します。
逃げ遅れれば、確実に損失が発生するからです。

この様に、ピーキーな市場はバブルを形成し易く、
バブルは金利上昇で簡単に崩壊します。


■ 資金が国境を越境する時代には、バブルは日本以外で形成される可能性もある ■

一部で円キャリートレードが発生しており、円安の一因とも言われています。
実際に日銀は海外の銀行に対する資金提供を拡大している様です。

資本が簡単に越境する時代に、国内の緩和マネーはキャリートレードによって
海外で運用される場合ケースも増えています。

金利が安い通貨を調達通貨として、金利の高い通貨を買えば、簡単に金利差が手に入ります。

さらに、金利の安い円で、ドルを調達してアメリカで運用するケースもあります。
こうして膨らんだのが、アメリカのサブプライムローンだとも言われています。
日銀が金利を引き揚げた効果が、サブプライムローンの破綻だったとの説もあります。

この様に、先進国における金融緩和はバブルを生成し易く、
中央銀行が引締めに転じると、途端にバブルが崩壊します。

日銀か過去、「早すぎる引き締め」で景気回復の芽を摘んで来ましたが、
一方でプチバブルの状態での経済の失速で済んでいるので、
日本経済へのダメージが少なかったとも言えます。

■ 誰の為の「アベノミクス」か、見極める必要がある ■

ここから先は陰謀論的になります。

浜田宏一氏が教授を勤めるイェール大学は、
アメリカの政界や財界の子弟が集う大学です。

この大学には「スカル&ボーンズ」という秘密クラブがあります。
名簿が公開されているので、秘密でも何でも無いのすが、
毎年、4年生15人ほどが、このクラブに入る事が出来ます。

彼らは、このクラブで親交を深め、
社会に出てからも、縦と横の繋がりを保ち続けます。

スカル&ボーンズの出身者はブッシュ家3代(ジイサン、パパ、Jr)であったり
ハリマン銀行(中国の阿片と武器の貿易で財を成した)の子弟だったり、
アメリカの政財界や国務省、CIAの幹部も少なくありません。

浜田氏は東大を卒業した後、イェール大学で学んでいます。
浜田氏は「スカル&ボーンズ」では無いと思いますが、
アメリカの政財界を牛耳る彼らとの繋がりは、少なからずあるかと思います。

ですから、私は浜田氏が生み出した「アベノミクス」は日本独自の政策では無く、
アメリカや世界の経済界の総意だと見ています。

その目的は、「日本の復活」であるはずも無く、
良く解釈すれば「経済実験」。
悪く解釈すれば「円キャリートレードの復活や、日銀による米国債の買い入れ」が目的でないかと考えます。

そして最悪は「日本売り」によって誰かが大儲けする事が目的かも知れません。

■ 政権奪取後に、アメリカ従属を明確にする安倍政権 ■

安倍首相は選挙前は、尖閣問題や竹島問題で勇ましい発言を繰り返していましたが、
政権を取るやいいなや、中韓と対話を始めるなど、現実路線に変換しています。

当然と言えば当然ですが、
その一方でアメリカとのパートナーシップを最重視するとして、
対米従属路線を明確にしています。

「日本の独立性」に希望を抱いて安倍氏に投票した多くの人に期待に背いているとも得ます。

一方、「アベノミクス」効果で株価が上昇し、円安が進行しているので、
市場も、国民も安倍政権の政策変更をあまり追及する事はありません。

しかし、「アベノミクス」の目的が、国民の期待と180度違った場合、
私達日本人は落胆のみならず、大きな負債を負う事になるかも知れません。

私は「経済の実験」としての「アベノミクス」に興味がありますが、
一方で、「又日本は騙されるかも知れない」という警戒心は必要だと思います。


■ 1ドル90円が一つの試金石 ■

久々の円安と株高に世間は沸いていますが、
その一方でドイツやオランダ、イギリスの国債金利が不安定な動きを見せています。

世界の投資資金は、株に集中している様です。
これを国債市場からの逃避と見るのは短絡的ですが、
「財政の崖」からの一時的回避を材料に、
リスクが選好されて誰かが儲けを出すはずです。

一方、アメリカの財政あh2月か3月にシーリングに達しますから、
2011年8月の混乱が、再び繰り返される事になり、
米国債の格下げも視野に入れた状況が待ち受けています。

こちらも、議会は再び出来レースの展開となるのでしょうが、
米国債への不安から、市場にはポラティリティーが発生し、
相場変動で誰かが荒稼ぎするのだと思われます。

この様に、世界の金融は最後の一稼ぎとばかりに、不安定化しています。

円安が90円に達した時、多分ヘッジ勢が利益を確定する為に日本株を売却するでしょう。
同時に多少円高に振って、為替差益も確保するかも知れません。

これで国内の投資家達が萎縮してしまうのか、
それとも「アベノミクス効果」でイケイケドンドンで海外の売りを吸収するのか、
今後の日本経済を占う上で、重要なポイントに差し掛かったとも言えます。

多分、一度軽く下落した後に、4月の決算に向けて再び円安株高が進行し、
ここで、海外ファンドが例年同様、日本株を売って利益を確保します。
買い支えるのは、日銀という事になるのでしょうか?


市場の空気が変化しているだけに、
例年の年中行事が繰り返されるのか、
それとも景気回復に弾みが付くのか、楽しみに観察したいと思います。


尤も、日本の株価はダウにリンクして変動しますし、
国債金利も世界的にリンクしています。
日本国内だけ見ていると、足元をすくわれるかも知れません。


・・・ジワジワと上昇し始めた世界の国債金利が心配と言えば心配ですが・・・。



正月早々、景気の悪い話になってしまったので、
この動画でも見て笑って下さい。





<追記>

池田信夫氏の記事を読んいると、浜田宏一氏は温情派のケイジアンで、
政府が日銀が正しい金融政策で国民を守るべきだという信念をお持ちの様です。
私の様な陰謀論者がブログのネタにする様な方では無いのかも知れません。

一方で現在のマクロ経済学では、ケインズは既に過去の遺物扱いされて来ました。
確かにリーマンショック以降、ケイジアン達が大復活していますが、
その行き着く先は、スタグフレーションではばいかと懸念されています。
(過去においてはケインズ政策で拡大した財政を誤魔化す意味でも戦争が有効でした。)

リーマンショックはフリードマンなどマネタリストの限界を露呈しましたが、
一方で、現在はケインズ的政策の限界が露呈されつつあります。

いずれにしても、財政赤字を無限に拡大する事は不可能で、(可能と言う方もいらっしゃいますが)
どこかにある限界に達すると、経済は急激に不安定化するのでしょう。

現在は債券市場が拡大し過ぎている為に、
危機の発生は、一瞬にて大規模です。