人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

誰が株を買っているのか・・・動き出した老人マネー?

2013-01-28 09:23:00 | 時事/金融危機
 

■ イヤー、ちょと取り戻しちゃったよ ■

毎年恒例の大学時代の友人との新年会は今年は浅草で七福神巡り。

その行きがけの銀座線の車内での事。
上野からドヤドヤと乗り込んで来た、65歳くらいの男性達。
どうやら、日光に出かける様で、こちらも同窓会みたいです。

なかなか元気な方々で、なかなか賑やかです。
会話がそれとなく耳に入ってきます。

「イヤー、ここんとこ株で少し取り返したよ。」

「あれはどうした、オーストラリア・ドル?」

「あれは未だダメだ。俺120円で買ったからまだ赤字。」

「○○さんとこは輸入だから、大変だろう。円安が好い事ばかりじゃネーんあだよなぁ。」


まあ、ざっとこんな会話の内容です。

■ 動き出した「個人投資家」って・・・ ■

ここの所の円安・株高で、個人投資家が動き出したと言われています。
週刊誌の見出しも「株高バブルに乗り遅れるな!!」みないなノリです。

日本で資産を持っているのは高齢者です。
さすがに70歳以上の方々は慎重で貯蓄中心の運用だと思います。
あるいは、銀行や郵便局に騙されて、年金感覚で毎月分配型投資信託で運用する程度でしょう。

しかし、60歳代ともなると、もう少し攻撃的な資産運用をされているみたいです。
「外貨預金」や「株式投資」など、リスクの高い運用を「楽しんでいる」みたいです。

若い方でも「FX」や「ネットでの株式投資」や「外貨預金」をなさっている方は多いでしょう。

こういった「個人投資家」と言われる方々が、
アベノミクスによる円安・株高を背景に、俄然存在感を示し始めたのかも知れません。

■ 「株高バブル」って書くかぁ?? ■

経済などというものは、不思議なもので、
あんなに委縮していた個人投資家も、「儲かる」となれば活動を再開します。

「赤信号、皆で渡れば怖くない」とはまさにこういう状況を言うのでしょう。

アベノミクスは「期待」が先行して、未だ実績がありません。
日銀の「緩和政策」も、その中身はお寒い内容です。

しかし、「円安」「株高」という実績が示されれば、
射幸心の強い方々の心をくすぐるのでしょう。

しかし、週刊誌の見出しは既に「株高バブル」と書かれています。
今回の株価上昇が継続的で無い事を前提に、
いつ逃げれば損をしないかという特集なのかと思います。

実は株を買い上げている個人投資家の方々も、
その辺は良く分かっていらっしゃるのだと思います。
「下げ始めたら売る」気満々で、株に投資しているのでしょう。

結局、今回の日本株高は、外資に釣られて国内の個人投資家が動き始めましたが、
バブルの崩壊による株の大暴落を一度経験すれば人間はそんなに楽天的では居られません。

結局「株高バブル」と言っても、プチバブル程度で、
日経平均が、2万円台になるには、材料が不足しています。

■ 既に相場は実体経済を全く反映していない ■

政府が中小企業の金融支援を継続するのか?
円安で輸出企業の業績は、どのくらい改善するのか?
はたして、賃金が上昇して、国内消費が改善するのか?

まだまだ、不透明な状況です。
さらに、ヨーロッパや中国の景気減速が顕著になており、
ヨーロッパ向けの輸出が大きく落ち込んでいます。

国内企業の12月の四半期決算の内容はは、
あまり振るわないものとなると思われます。
しかし、株価は、単なるマネーゲームとして吊り上げられています。

■ マネーサプライが回復するかがカギ ■

日銀の発表した金融緩和は、「2%のインフレターゲット」こそ明記したものの、
その内容は、地味なものと言わざるを得ません。

日銀にしてみれば、「流動性の罠」が解消しない限り、
マネタリーベースをいくら上積みした所で、
マネーサプライは拡大しないと言いたいのでしょう。

「景気の回復=マネーサプライの拡大」です。

マネーサプライは、「借金」によって膨らみます。
企業や個人が「借金」をする事で、経済は拡大するのです。

しかし、デフレ下では「実質金利」が高くなります。
ですから、企業は一生懸命「借金」を返済します。
個人も同様に、マンションのローンを安い金利で借り換えたりして「謝金」を圧縮します。

■ 「借金しても儲かる」という確実性が希薄な時代 ■

人間とは欲深な存在で、「借金しても儲かる」と分かっていれば
「借金」しても「儲けよう」とします。

では、現在の日本の状況が、「借金をしても儲かる」状況かと言えば、
これは否定的にならざるを得ません。

■ 公共事業の効果 ■

安倍総理は選挙期間中、20兆円の公共事業を10年間発注すると言いました。
この年額20兆円で、人々が「借金をしても儲かる」と思えるでしょうか?

例えば、地方の土建業者がブルドーザーを借金して買うかどうか・・・。
あるいは、受注増が予想される地方の土建業者に、
信用金庫が、お金を貸すかどうか・・・。

地方の歓楽街の飲み屋さんが、借金してまで店を改装するかどうか?
建築業で働く人達が、借金してまで自宅を購入するかどうか?
そういう人達に、銀行が住宅ローンを貸し出すかどうか?

どうも私には、20兆円は地方経済を活性化させるというよりも、
瀕死の地方経済をどうにか維持する役目で終わる気がしてなりません。

■ 「好景気が来る」という幻想を持てるか? ■

バブルの崩壊で「右肩上がりの成長」の終焉を経験した日本人は、
「景気が良くなる」というイメージを持ちづらくなっています。

20年以上に渡る景気低迷で、「バラ色の明日」を想像出来なくなったのです。

現在の「株高」は、アベノミクスのイメージを外国人投資家が巧みに利用した結果です。
日本人の多くは、アベノミクスの効果が懐疑的ですし、
さらには、アベノミクスが自民党の公約通りに実行されるかどうかにも懐疑的です。

例えば、現在の日本に田中角栄が再登場したとします。
彼があの調子で、「列島を再改造する」と演説したとして、
世間はそれに熱狂するでしょうか?

「おととい来やがれ」と思うのではないでしょうか?

■ 株価がいつまで持つかで、自民党の支持率に影響する ■

安倍政権は非常に良い滑り出しを見せました。
出来れば、参議院選挙まで、円安・株高を維持して勢いを付けたい所です。

一方、日経平均は11000円で、利益確定売りが発生している様です。

多分、3月までは、一進一退を繰り返しながら、
リーマンショック前の水準にチャレンジするのでしょうが、
個人投資家も、逃げるタイミングを伺いながらの投資なので、
強気の相場にはなり難いのではないでしょうか?

「期待で買って、実績で売る」という相場の鉄則に従えば、
既に、美味しい所は、過ぎている感じもします。


■ アメリカに注目したい ■


アメリカの景気回復が本格化したならば、
ガラリと状況が変わるのでしょう。

国内よりは、アメリカに注目していた方が良さそうな感じです。
アメリカはシーリング問題の時期に、株価が不自然な動きをします。
ここら辺も、日本市場に影響があるかと・・・。


当たらないと言われる「人力でGO」の経済予測ですが、
はたして、日本と世界の景気はどうなるのか?