■ 「憲法改正」は正しい ■
独立国が軍隊を持ち、交戦権を持ち、自衛権を持ち、集団的自衛権を持つ事は「あたりまえ」の事です。
憲法を改正して、自衛隊をきちんと「軍隊」をして位置付け、関連法案を整備する事は何ら日本の国益を損なう事ではありません。
だから私は「憲法改正」には賛成です。
■ 「憲法改正」の何が怖いのか ■
一方で、「憲法改正」は恐ろしい。
仮に自衛隊が軍隊として位置づけられた場合、アメリカの戦争に付き合う必要が生じた時にNOと言えるのか・・・。これが憲法改正に反対する人達の問題とする所。
仮に憲法9条の平和主値を削除して自衛隊を合憲ちした場合、日本はアメリカの戦争に「集団的自衛権」という名目で参加する事になる。
湾岸戦争で、日本はアメリカに兵站(軍事物資の輸送)を依頼されましたが、日本は自衛隊を海外に派遣(派兵)する事は違憲だとして、お金だけを出しました。
イラク戦争では、一歩進んで、散発的なゲリラ攻撃がある中で、「自衛隊が居る場所が非戦闘地帯です」という強引な小泉元首相の答弁でイラクへ自衛隊を派遣しました。イラクの自衛隊駐屯地にロケット弾が撃ち込まれるなどの事件はありましたが、隊員は無事に帰国しました。
スーダンの内戦では、自衛隊の駐屯地の近くでも反政府軍と政府軍の戦闘が発生し、自衛隊はスーダンから撤退を余儀なくされました。現行の憲法の元では、自衛隊が交戦して敵兵を殺傷した場合を規定する法律が存在しないので、自衛隊は不測の事態が起こる前に撤退したのです。
この様ににアメリカの要請や国連の要請によって、自衛隊は段階的に海外での活動を拡大して来ましたが、現行憲法があるおかげで、自衛隊は「戦闘」や「交戦」を避ける事が出来ています。
しかし、憲法を改正して、自衛隊の「海外での交戦」の法整備が進むと、自衛隊が海外で戦闘する事が可能になります。
この様な状況で、日本国政府はアメリカや国連からの「戦闘へのお誘い」を断る事が出来るか・・・多分難しいでしょう。
■ 中東の戦争で、戦闘地域での兵站や占領地域の警備を担わされるであろう自衛隊 ■
自衛隊の海外派兵先として一番可能性が高いのは、中東とアフリカでしょう。シリア南部からアメリカに支援された「反政府軍」が侵攻し、一方シリア北部からはクルド人勢力を封じ込める為にトルコ軍が侵攻する状況で、米露の代理戦争が始まる可能性が高まっています。
シリア政府軍、トルコ軍、イラン軍、ヒズボラとそれを支援するロシア、これに対するのはシリア反政府軍と呼ばれるアメリカ・イスラエル・サウジアラビアの支援を受けた勢力ですが、戦闘が拡大すれば米軍が空爆などでこの勢力を支援するはずです。
この戦争がシリア国内の内戦で終結するのか、あるいはイランなどを巻き込んで中東地域へ拡大するのかが焦点になります。トランプ政権は選挙中とは手の平を返した様に好戦的です。イランとの関係改善も望んでいません。アメリカの軍産複合体は中東での大規模な戦争を遂行し始めた可能性が高い。
仮に米軍、特に地上軍が戦闘に参加した場合、米国は必ずや自衛隊の応援を要請するはずです。日本の事情は理解していますから、戦闘地域への兵站を自衛隊に依頼する可能性が高い。自衛隊の警護に米軍か、韓国やオーストラリア軍が当たる・・・そんな感じで、「自衛隊は戦闘はしない」と国会では説明されるはずです。
しかし、敵の兵站を攻撃するのは戦争の定石ですから、自衛隊の車列が攻撃される可能性は高く、これに自衛隊は当然防戦します。
■ 何故、中東での戦争を予想するのか? ■
私が中東での大規模な戦争を予想する理由は二つあります。
1) 大規模な金融危機が発生して通貨の信用が揺らぐ可能性が有る
2) 世界中で電気自動車へのシフトが加速している
この二つから予測される事は「原油価格の上昇が近い将来に起こる」です。
世界はインフレ率の低迷に苦しんでいますが、原油価格が上昇すれば石油ショックの時と同様にインフレが進みます。ただ、景気も低迷するのでスタグフレーションが発生します。
アメリカ国内も景気低迷で失業者が増え、さらに物価上昇で国民の不満が高まりますが、この様な状況で国民に仕事とストレスのはけ口を与えるのは戦争です。貧しい若者の多くが海兵隊などに志願するでしょう。
国民もネットなどで多くの情報に触れるので、シリアなどを一方的に攻撃しても国民の理解は得られません。だから、「中露がアメリカの中東での石油利権を脅かす」というシナリオが書かれるはずです。
■ 東アジアの緊張は高まるが、大規模な戦争は起きない ■
憲法改正に賛成する多くの方々が、北朝鮮の暴走や、中国の軍事的脅威を理由に挙げるはずです。
しかし、中東で大規模な戦闘が起きた場合、東アジアは軍事的緊張は高まりますが、大規模な戦闘が発生する可能性は低くなります。何故ならば、アメリカは中東とアジアで同時に戦争を遂行する財政的余裕が無いからです。
しかし、中東で米 VS 中露 の対立が深まれば、中国が南シナ海の日本のシーレーンを脅かす状況は充分に予想できます。日韓と東南アジア諸国が集団で中国に対抗する必要が生じます。自衛隊が南シナ海で中国と対峙する事態も起こります。
■ 「中東での戦闘は日本の原油確保の為」と説明されるであろう ■
憲法改正に賛成する方の多くが、中東やアフリカで自衛隊が戦闘に巻き込まれる事には否定的ですが、南シナ海で日本のシーレーンを防衛する事には肯定的でしょう。
しかし、「日本は中東の石油に依存しているから、米軍を支援して中東に自衛隊を派遣する」という理論で、自衛隊の中東派遣が国会で承認される可能性は高い。
■ 「改憲」か「加憲」か ■
安倍首相は先に「自衛隊の存在を憲法に明記する」と発言し、憲法9条を変更せずに「加憲」する方向性を示しています。
これは「平和主義」を残す事で、アメリカの戦争に無制限に日本がつき合わされる事を防ぐ目的があると私は妄想します。但し、実際問題、日本がアメリカにNOと言えるかといえば・・・国民が暴動でも起こさない限り難しいでしょう。
結局、中途半端は「加憲」では、自衛隊の活動範囲が明確で無い為に、恣意的な拡大解釈によって自衛隊の海外での戦闘がなし崩し的に認められる可能性が高い。
■ 「立憲民主党」に頑張って欲しい ■
日本がアメリカの戦争に巻き込まれない為には、憲法に「自衛隊の戦闘行為は日本の周辺事態に限る」と明確に書き込む必要が有りますが、自民・希望・維新はアメリカの傀儡勢力ですから、これは難しい。
公明党は・・・仮に「立憲民主党」がそれなりの議席を確保して、公明・立憲・社民・共産が国会の1/3を超える勢力となるならば、この勢力に加わる可能性は低く無いのでは?但し、その条件としては憲法改正反対の旗をリベラル勢力が降ろし、自衛隊の武力行使に制限を掛ける憲法改正に賛成するというハードルが生じるでしょう。これをリベラル勢力が良しとしないならば、彼らの存在意義は無くなります。何故なら、政治的影響力を行使できない政党など存在しないも同然だからです。
全くの妄想ではありますが、自衛隊が海外で無制限の戦闘に巻き込まれない為にも、「立憲民主党」にはそれなりの議席を確保して欲しい。ガンバレ、立憲民主党。
■ 日本のリベラル勢力は、リアリストになって欲しい ■
私が立憲民主党に期待する事は「リアリスト」になる事です。
憲法改正を阻止出来ないのであれば、上記の如く公明党と協調して、改正の内容に干渉して欲しい。その為には「何がなんでも憲法9条を守る」では、役に立ちません。
共産党や社民党が古い党是に縛られて「護憲」から抜け出せないのであれば、立憲民主党には是非とも「本当の立憲主義」に則って改憲も含めた中で、日本の国益を考えて欲しし。そうすれば、浮動票を取り込む事が十分に可能なハズ。
いつの間にやら、超保守の小林よりのり氏が立憲民主党の応援に回っていますが、「日米安保を破棄して核武装し、日本は独自防衛を確立すべし」という理想と、「平和主義を維持する」という理想は、現実性が欠如している点においては同じレベルで親和性が高いのでしょう。これはマズイ流れだと思います。一時的に選挙で議席を確保したとしても、ドリーマーでは政治力を行使出来ない。
もう一度言います、ガンバレ「立憲民主党」。ガンバって一皮剥けろ!!