■ 衆議院解散の目的は達成されたのか? ■
「大儀無き解散」と言われた今回の解散総選挙。安倍首相は「北朝鮮の脅威」と「待った無の少子化対策」を「国難」と定義しました。
一方で、世間の殆どの人が「モリカケ隠し」が今回の解散の目的だと考えています。これは安倍信者のネトウヨとて本心ではそう思っているに違いありません。「モリカケ問題で国会が紛糾しては、もっと大事な審議に費やす時間が無くなる」と言い換えてはいますが・・・。
選挙の結果は自公と野党の議席数は変わらないので「モリカケ問題のミソギは済んだ」とされる可能性が高い。メディアは野党の集合離散など、目新しい話題に報道の中心を移して行くでしょう。民主党が解党していない現状で、立憲民主党も希望の党も選挙選を戦う為の「集まり」に過ぎません。正式に離党していない限り、旧民進党議員の党籍は現在も民進党のままです。
民進党を解党しなければ「政党助成金の山分け」が出来ないので、参議院や地方組織も含めて、今後民進党をどうするのかが、しばらくメディアの注目の的となります。
報道各社は選挙翌日に申し訳程度に「森友・加計問題は終わっていない。丁寧な説明を」などとこの問題に触れていますが、既にニュースとしての旬を過ぎてしまいました。
安倍首相は首班指名の特別国会を召集した後は、野党が希望しても臨時国会は開く事は無いでしょう。そして来年1月の通常国会の頃には、加計学園の獣医学部の大学区設置認可が下りていますkら、この問題は「解決済み」とされるハズ。「文科省が認可したのだから、何ら問題は無い」と言えば国会は乗り切れます。
自公が解散前の勢力を維持し、さらにや民進党を分解して改憲勢力の希望の党まで作り上げたのですから、今回の解散総選挙は安倍自民党内閣としては100点以上の結果になったと思います。
■ お飾りの第三者委員会 ■
今治市では加計学園の補助金を差し止める住民訴訟が起こされています。これを受けて氏では第三者委員会を設けて、大学の運営や、建設コストの妥当性を審査する事になりました。
尤も、企業の不祥事に際しても設置される第三者委員会ですが、大抵は企業に都合の良い結論しか出しません。「第三者委員会を設置して調査したが、重大な問題は見つからなかった」という言い訳の為の設置されるからです。
ですから、今治市の設置した第三者委員会が加計学園で大きな問題を指摘する可能性はゼロですが、それを理由に今治市の行政訴訟は不発に終わるはずです。
■ 大学審議会の認可がいつ下りるのか ■
「衆議院選挙の翌日に電撃的に大学審議会が加計学園の獣医学部の設置認可を出すのでは無いか」との憶測がネットでは広がっていました。生徒の募集を考えると、タイムリミットが迫っており、電撃解散もそこから逆算さたとの噂も。
この憶測は外れましたが、しかし、今月中には認可を出さないと実際に生徒募集に支障を来すかも知れません。今、一番プレッシャーを感じているのは審議委員の方達だと思いますが、8月末に問題点を指摘したので、今回の審議は、問題点が改善されたかどうかだけを検討するはずです。
教員数と、実習カリキュラムの組み方が改善されたら、審議会はあっさりと認可を下すはずです。
■ 違法性が認められなければ事件にすらならない ■
森友問題にしても、加計問題にしても、多くの国民は「もの凄く怪しい」と考えていますが、しかし検察が起訴をしなければ「事件」にもあんりません。単なる「疑惑」で終わります。
森友問題では籠池夫妻が、工事費を水増しして補助金を不正にだまし取ったとした詐欺罪に問われていますが、一方で、国有地を不当に安く払い下げた財務省の近畿財務局の問題を検察は「事件」とは捉えていません。
森友学園同様の工事費水増しがあった可能性が高い加計学園の獣医学部も、検察は「事件」として捉えてはいません。
「住民訴訟」が起こされると「事件が有った」様に報道されますが、これは「名誉棄損」の訴訟の様に、一方的に訴えを起こしただけで、「違法行為」があったかどうかは裁判所が判断する事です。判事が違法性を認めなければ「事件」にはなりません。
■ 民主主義の末路 ■
日本において検察も裁判所も決してフェアーではありません。いえ、世界のどの国においても「公平」や「正義」などである国は見当たらないでしょう。特に政治が絡む問題では「正義」はどこかに仕舞われる傾向が強い。
では国民はどうして彼らの信じる正義を貫けば良いのか・・・。政治に関しては「選挙」や「内閣支持率」でしかそれを示す事は出来ません。
ところが、今回の選挙で明らかになった様に、小選挙区制においては、野党が乱立した状態では「批判票」が効力を失います。だから、前原氏らは二大政党制を目指して民進党を割った訳ですが、結果はご覧の有様。むしろ敵に塩を送る結果となりました。
「国民の声が選挙結果に反映されない」というもどかしさを日本人は長年味わい、多くの人が投票所にすら行かなくなりました。
実は私はその事自体に問題をあまり感じては居ません。何故ならば国民は空気に流され易く、自分の利益ばかり追求するからです。だから国民の声が政治にダイレクトに反映されない方が国家運営は上手く行くと考えています。但し、その為には為政者が国民や国家の利益を最優先にするという条件が付きます。
しかし、現在の世界を見渡すと、政治はロビイストである企業に支配されている国が殆どです。これが「民主主義の辿る末路」であり、どこかで決定的にバランスを欠いた時に民主主義は国民の暴動や国家の衰退と言う形で内部から崩壊します。
ある意味においては、最期に安全装置は準備されているのですが、それが作動する時には国民皆が不幸になる時です。結局は民主主義の責任は国民が負うしか無いのです。
既に我が国の首相は「対話」や「会話」が成り立たない人物になっています。私には彼が「準備された原稿」を捲し立てている様にしか見えません。だから予測不能な質問は無視するかキレる。選挙戦を通してTVで一方的に語る安倍首相を観て、それを異常と思わないのならば、国民はどこかでその対価を払わなくてはならないでしょう。
最期は安倍首相への個人的な感想になってしまいましたが・・・それでも私は現状を異常に感じています。だって、私が子供の頃から見ている日本の首相達は、少なくとも「会話」が成立する人達であったから・・・。
ああ、もう一人思い出しました。小泉元首相が会話が成立しない方だった。ただ小泉氏の場合、もはや「芸」の域に達していて...あそこまで行くと一種の潔さすら感じるから不思議。