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「国民の意思」が反映されない選挙制度・・・批判票の受け皿をぶっ壊す

2017-10-18 04:57:00 | 時事/金融危機
 

■ モリカケ選挙だったはずなのに? ■

実は選挙期間中に特定の候補を応援する様な記事を書くと公職選挙法違反に問われる可能性が有ります。

どの様な書き込みが違反になるのか良く分からないので、いつもは選挙前に政治問題から距離を置く様にしている当ブログですが、今回の選挙だけは「腑に落ちない」ので連続して取り上げています。おかげで自民党支持者から嫌われてたらしく・・・アクセスが1日に500人ほど減少しました。

今回の選挙の前から、私は森友・加計問題に注目しています。過去に首相や自民党幹部が絡む疑獄事件はリクルート事件など幾つか在りました。しかし、これらの事件で失脚した政治家は旧田中派の政治家です。小沢一郎などは裁判で無罪が確定した会計処理問題を検察審議会で蒸し返される始末でした。ところが、清和会(旧福田派)の首相が絡む「疑惑」は事件化した事はありません。

この前例に則れば、モリカケ問題は絶対に事件化される事は無く、安倍首相との関係はウヤムヤになるハズでしたが、今回はボロボロと証拠らしきものが出て来て、流石に安倍政権の支持率もダラダラと下がって来ました。

普段は「政治とは汚いものだ」とあきらめている陰謀論者の私ですが、たまには正義が執行されても良いかなと期待したりもしました。いえ、これを看過してしまっては、日本人の民度が問われるのでは無いかとも思っています。

安倍首相も、臨時国会を乗り切れないと解散に踏み切ったハズですが、前原代表の民進党解体でモリカケ問題が一気に消し飛んでしまいました。これにはビックリです。だって、本来、率先してモリカケ問題を追及して自民党の票を削るハズの野党第一党が一夜にして消えてしまたのですから・・・。

■ (野党共闘を阻止しなければ)死んでも死にきれない? ■

今回の選挙は、共産党と民進党が選挙協力をする事が勝敗のカギとなっていました。

前回の衆議院選挙では自民党の得票率は48%だったのに対して、議席獲得率は76%に達しています。これが小選挙区制の抱える矛盾で、国民の投票行動の結果が必ずしも議席数に反映されない。
小選挙区制では一人の候補者しか当選できないので、野党の候補が乱立すると票が割れて自公の候補が当選します。特に、投票率が下がれば下がる程、組織票を動員する自民党と公明党に有利になります。これが現在の自公優勢の国会を作り上げた。

与党と野党の議員が小選挙区で一対一の状況が出来れば、自公一極とか、安倍一極と言われる状況は簡単に崩せるのですが、各政党の過去のシガラミや、議員や支援団体の都合で、野党共闘の実現はなかなか難しかった。

しかし、共産党や社民党にかつての勢いは無く、民進党も一党で自公を追い詰める勢いは無い状況に至って、ようやく野党共闘が実現するかに見えた・・・。

そこで炸裂したのが前原代表の民進党解党という「自爆攻撃」です。実は民進党の自爆攻撃は今回が初めてでは在りません。2011年の政権交代が起きた選挙でも、民主党が衆議院で過半数を占めていながら、当時の野田首相が解散を自ら宣言して政権を放棄するという前代未聞の「珍事」が起きています。

今回、前原代表は「今の政治を換えたい。死んでも死にきれない」と語った様ですが、本心は「野党共闘を阻止しなければ死んでも死にきれない」だったりして・・・。そんな妄想が膨らむ、彼の不可解な行動です。

■ 批判票の受け皿が消えて行く不思議 ■

「野党共闘」という批判票の受け皿が忽然と消えた後、「希望の党」という受け皿が用意されたかに見えました。

しかし希望の党は小池氏の「排除します」発言によって一気に勢いを失ってしまいます。そしてその後に急造した公約には「花粉症ゼロ」なんて方針を入れ込み、首班指名も明らかにしないなど、政権交代の意欲が無い事を自らアピールする様な不可解な行動に出ています。

これによって希望の党も批判票の受け皿では無くなってしまいました。

イレギュラーだったのは枝野氏が立ち上げた「立憲民主党」が今回の選挙のヒーローになりつつある事ですが、立憲民主党の獲得議席は旧民進党が失う議席に比べてあまりに少ない。

■ 民主主義のトリック ■

大統領選でアメリカの有権者達は、「まともな候補が消えて行く」という悪夢を見ました。最終的に残ったのは「ヒラリー VS トランプ」という一番選びたく無い二人の組み合わせでした。

今回の衆議院選挙で日本の有権者は「安倍政権の批判票の受け皿が消えて行く」という悪夢を見させられています。

真面目な評論家は「ポピュリズムに陥った民主主義の末路」としてこの現象を捉えるはずです。「選挙ではまともな政策を語るより、大風呂敷を広げたり悪目立ちした方が有利」という「有権者の質の低下」を嘆きます。

しかし、アメリカの大統領選挙を注意深く見ると「批判票の受け皿が分散されている」事に気付くでしょう。民主党ではバニー・サンダースがリベラルな若者を中心に人気を集めますが、彼の政策はアメリカの大統領としては過激ですから、予備選を勝ち抜けるハズはありません。ところが、予備選でサンダースに票が流れる事によって、他の民主党のまともな候補がヒラリーに太刀打ち出来なくなりました。有権者が良かれと思って行う投票行動によって、自分が一番支持したくない候補が勝ってしまうのです。

仮に民主党の候補がヒラリー以外であったならば・・・多少小物感はあったにせよ、トランプ大統領誕生は阻止出来たはずです。だって、大統領選本戦終盤は、ヒラリーとトランプの罵倒合戦という見世物に成り果てていましたから・・・。

私は民主主義は「支配の道具」だと考えています。国民に主権者は自分達だと錯覚させ、不満を抑えるシステムだと。「支配者」は選挙システムや候補者を微妙に調整する事で、選挙結果に民意が反映しないシステムを構築しているのだと妄想しています。

■ 「自公圧勝」という報道は投票率を下げる ■

新聞各社が「自公圧勝」とか「300議席に迫る勢い」と報道し始めています。これも「自公」に有利な状況を作り出します。

小選挙区制で組織票を持つ自公が確実に勝利する為には、「不確実要素の無党派層をいかに選挙から排除する」かが重要になります。

無党派層は政治意識が低いので、「自分の一票なんて選挙結果に大して影響を与えない」と考えています。だから「自公圧勝」というニュースを聞くと、「じゃあ選挙に行っても仕方無いや」と考えてしまいます。

■ 「怒り」のはけ口としての選挙 ■

そもそも無党派層が休日のレジャーやダラダラ生活をキャンセルしてまで投票所に行く時は「怒り」のはけ口を求めている時です。これは景気が低迷した時が殆どです。民主党が政権を取った時はリーマンショックの後で、日本の景気は極端に悪化していました。

安倍自民党が政権を奪還した時、民主党政権はリーマンショックの後遺症と311地震という悲劇的な状況に置かれていまいした。

この様に経済が極端に悪化した時、人々は「怒り」のはけ口として投票所に息、現政権を否定する事で溜飲を下げます。

■ モリカケ問題が報道から消え、怒りも消えた・・・ ■

今回の衆議院選挙が発表された時には、国民の中にモリカケ問題への「怒り」が少なからず有りました。

しかし民進党解体と希望の党によって、ニュースからモリカケ問題が消えてしまいました。希望の党はモリカケ問題を追及しません。

すると、「安倍政権を許さない」という「怒り」もスーーーと静まってしまいます。こうして無党派層を選挙から上手に遠ざける事で、国民の意思とは乖離した選挙結果が生まれるのです。

■ 雨が降ったら完璧だ ■

無党派層を投票所から遠ざけるもう一つの要因は天気です。雨が降ると投票所から足が遠のきます。「アメだし、メンドいし、選挙辞めちゃう?」って感じ。ある、あるってうなずいている方もいらっしゃるかと・・・。

日本列島の上に秋雨前線が居座り、南の海上で発生した台風がこれを刺激すると予想される週末。何故だか天気までも味方に付けて自公が圧勝する・・・かも知れない。

天気のコントロールは無理としても、仮に森友・加計問題ですら、最初から衆議院解散と自公圧勝を睨んだ仕込みだったとするならば、この壮大なタペストリーを描いた人物は、私など小物の陰謀論者の妄想力を遥かに絶する創造力の持主なのでしょう。もし、そういう方が居るとすれば感服に値します。