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悪化する米キューバ関係・・・音響兵器攻撃

2017-10-19 07:34:00 | 時事/金融危機
 

■ 「音響攻撃!!」 ■

「音響兵器」なる聞きなれない言葉がニュースから飛び出して来てビックリした在キューバ米大使館員の体調悪化問題。キューバの米大使館員が眩暈や吐き気をもよおした原因について、トランプ大統領が「キューバの音響兵器の可能性が有る」として、大使館員の引き上げや、在米キューバ大使館員の一部国外退去に踏み切っています。

しかし、いった音響兵器とは如何なる物なのか。大使館員が音を聞いた訳では無さそうなので、可聴域外の超音波か低周波の「音」による攻撃となるのでしょう。高周波が窓を閉めた室内に到達する可能性は低いので、低周波が疑わしい。

以前、高速道路の近くの住人や、風力発電所の近くの住人が謎の体調不良を訴える事が有りましたが、その原因が耳に聞こえない低周波数の音だったという報道が在ります。多分、これと同様の原因が疑われているのでしょう。

でも、キューバ政府がそんな攻撃を仕掛けるのでしょうか?私は思わず、野外ライブイベントの低音用大型スピーカーを想像してしまいました。所謂「レイブ」と呼ばれる様なイベント。ブイブイと体を揺さぶる低音に悩むアメリカ大使館員の姿を想像して、一人で笑ってしまいました。

■ キューバとの関係改善を阻止するトランプ ■

私はオバマ政権の最大の功績はキューバとの関係正常化だったのでは無いかと考えています。キューバはアメリカのおひざ元、カリブ海に浮かぶ島ですが、社会主義国家です。

1962年にソ連がキューバに核ミサイルを持ち込もうとして、これを阻むアメリカとの間で一触即発(なんかスゴイ四文字熟語ですね。エッチ・・・)の事態となります。この時、ソ連のフルシチョフ首相がミサイル配備を撤回した事で、最悪の事態は免れました。

ソ連はアメリカの庭と呼ばれる中南米諸国に社会主義革命を輸出し、アメリカはCIAを中心としてこれらの社会主義政権を打倒して来ました。今もベネゼエラの社会主義政権が風前の灯となっています。

アメリカはキューバをテロ支援国家として経済制裁を加えていました。オバマ政権はキューバとの国交正常化を模索し、ついにこれを実現しています。両国が大使館を置き、人や物の行き来も緩和されました。

しかし、トランプは選挙戦の時からキューバとの国交正常化は間違えであるとして、これを後退させる姿勢を見せています。

■ 安い労働力と、魅力的な観光地としてのキューバ ■

アメリカのグローバル企業にとってキューバの安い労働力は魅力です。アメリカに近い地理的な条件も重なって、キューバに工場を建設すれば儲かります。或いは、キューバからの安い労働力がアメリカに流入しても儲かります。又、アメリカの資本がキューバに出資して観光が活性化しても儲かります。

オバマ政権はキューバを封じ込めておくよりも、関係改善をした方が儲かると読んだのです。

一方、トランプは海外からの安い労働力の流入や、米国企業が国外に工場などを建設する事を好みませんでしたから、キューバとの関係改善を好ましく思いません。又、キューバが社会主義国であ事も、アメリカの古い価値観から好ましいものでは無いと考えます。

いえ、前任者のオバマの最大の功績をキャンセルする事で、民主党政権の業績を批判したかったのでしょう。これは彼がオバマケアーの廃止に必死になる事に似ています。

■ 近くの仮想敵国を必要とする軍産複合体 ■

軍産複合体にとてもアメリカのすぐ近くにある社会主義国家は適役としては重要です。軍事力では太刀打ちできなくとも、キューバが米国内でテロを起こす可能性は否定できません。

これは米国民に「分かり易い危機感」を植え付ける事に役立ちます。

こういったトランンプの思惑と、軍産複合体の思惑がシンクロする中で、今回の大使館員の一部引き上が行われているのかも知れません。