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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

為替レートとダウの影響をモロに受ける日経平均株価・・・素人考察

2014-01-15 03:09:00 | 時事/金融危機
 


日経平均株価推移


対ドル、対ユーロ為替推移

■ 為替相場に連動する日経平均株価 ■

年初来、日経もダウも荒い値動きをしています。
株式投資をされている方は、昨日などもヒヤヒヤしている事でしょう。短期的な売買で利益を出される方は、それこそ条件反射の様に相場の流れに敏感に反応していないと損失を発生させてしまいます。

一方、私の様に株式投資など無縁な人間は、あまり細かな値動きには興味が無いので、こんな時だから長期チャートでも眺めてみます。

上のグラフは日経平均株価と対ドル、対ユーロの為替レートの長期推移です。
この二つが見事に連動している事が一見して分かります。

日本株式市場のメインプレーヤーは外国人投資家です。多分、7割位を占めるのでは無いでしょうか。

彼らは手元の資金のある割合を日本株投資に充てています。ヘッジファンドなど短期で利益を抜いて行く投資家を別にすれば、ある程度中長期的投資が多いのではないでしょうか。

これらの外国人投資家の投資額は、ドルやユーロ建てではある程度一定水準ですが、円建では円安で増え、円高で減ります。

上の日経平均と為替レートに相関が強く現れているのは、近年の日本株の大局的な価格決定をこれらの外国人の投資家が支配している事の顕れだとも言えます。

■ アベノミクス効果では無く、単なる円安による値動きをヘッジファンドが助長 ■

2012年11月来の日本株の値上がりは、安倍政権発足による効果と言うよりは、円相場が対ドル、対ユーロで値下がり(円安)になる事による効果が大きかったとも言えます。

為替相場は黒田日銀総裁の就任前、白川総裁の時代から上昇しています。これは、ユーロ危機が落ち着いてユーロが持ち直す事により、日本円に退避していた資金がユーロやドルに流出する過程で発生した円安とも言えます。

ただ、時期を同じくして、日銀は海外投資家への低金利の資金提供を復活していますので、これらの資金をヘッジファンドが活用して、日本株高を演出したのでは無いかと私は見ています。ここに黒田日銀総裁の異次元緩和が重なって、5月に日経平均は一時的にピークを付けますが、ジムロジャースらヘッジファンドは、このタイミングを狙って巨額な利益を上げています。

彼らは、単に円安の進行を予測し、それに先行する事で巨利を稼いだとも言えます。

■ 2007年のピークは、対ユーロにも注目したい ■

日経平均が18000円台のピークを付けていたのは2007年、サブプライムショックの前までですが、注目すべきはこの時期ユーロが非常に高かった事では無いでしょうか。

この時、円キャリートレードのみならず、ドルとユーロの間でドルキャリートレードが発生していました。リーマンショック直後にドルと円が値上がりした背景には、これらのキャリートレードの巻き返しの影響も大きかったと言われています。

■ 売買プログラムが為替相場にリンクしている ■

欧米の投資家の中には、コンピューターソフトによって大量の株を自動的に売買する投資家も少なくありません。これらのソフトは為替相場にリンクしており、円安で日本株を買い増し、円高で売却する様にプログラムされていると言われています。

出来高が少ない状況では、これらの定常的な売買の株価に与える影響は大きくなります。為替相場が動く(動か荒れる)事で、日経平均が連動して動き、これに国内投資家などが追随するので、為替の変動に株式相場は敏感になります。

■ 短期的にはダウを反映する日経平均 ■



一方、日経平均に与えるダウの影響も無視出来ません。
前日のダウが値下がりで終えれば、翌朝の日経平均は下げ、またその逆にダウが上げれば、日経平均の上昇で始まります。

日本の株価の短期的な動きに対するダウの影響は無視出来ませんので、ダウの値動きが荒くなれば、日本株も荒い値動きをする事になります。

それでは、ダウを少し長期レンジで見てみましょう。

リーマンショックで大きく下げたダウですが、その後は緩和マネーの流入により右肩上がりに上昇し、昨今は市場最高値を記録していますが、これは単なる緩和マネーによる株価のインフレーションに過ぎません。

一方、出来高を見ると低下傾向にある事が明確です。

■ 株式市場は過熱しているのでは無く、低迷しながら値上がりしている? ■

株価推移だけ見ると、ダウは緩和資金バブルの様に思えますが、実際には少ない売買量ゆえに、緩和資金の流入によって値上がりしていただけとも言えます。

米株式市場は実は過熱しているのでは無く、醒めているのではないか・・・・。
単なる資産市場のインフレです。

これがバブルと呼べる様になるには、個人や他国の投資家達の資金を吸い寄せる必要があるのではないでしょうか。これは日本株も同様で、バブル的な過熱感までは現状は達していません。

■ 出来高が少ないから荒い値動きになる ■

出来高の少ない市場では、少し大きな売買や、先物の動きによって株価が大きく揺さぶられます。

ダウの不安定な動きは世界の株式市場に伝搬し、日本株市場も荒い値動きをするのでしょう。

短期的な売買で利益を稼ぐ投資家は、ボラティリティーが高い方が利益(損失)が拡大しまうすから、喜ばしい展開とも言えます。

ダウはアメリカの経済統計に敏感に反応しますから、これらの統計を正確に予測出来れば、あるいは事前に情報を入手できれば、利益を拡大する事が出来ます。

■ 日経平均の天井は? ■

こうして、長期的な株価推移を見ていると、日経平均18000円などという予測が、為替相場とリンクしている事が分かります。

FRBがテーパリングを開始した現在、円安は2007年頃の120円台までは行かなくとも、少なくとも均衡点の110円位にはなりそうです。緩和マネーで株式市場が水膨れしている事を考慮すれば、18000円というのは、あながちあり得ない相場ではありません。

一方、これを達成する為には、円安が110円位まで進行する事と、ダウが順調に値上がりする事が前提となります。

ダウはアベノミクスの影響を直接は受けないので、結果的に日本株の動向は、アメリカの株式市場次第とも言えます。


天気予報的に言えば、

「大陸から高気圧が張り出して来て全国的に好天が予想されますが、午後には所々でにわか雨が降る恐れがあります・・・」


まあ、人力予測と天気予報は当てにならないので、話半分で・・・・。


マウンテンバイクで行く清澄山・・・鉄下駄トレーニング

2014-01-13 18:10:00 | 自転車/マラソン
 
 



■ 久しぶりにラレー君と遠出 ■

新年の「箱根駅伝から逃げる」イベントを完走出来なかった反省で、今年は「走れる男」になろうと心に誓いました。その為には、毎週自転車で遠出を自分に課す事に。

三連休の初日の土曜日は仕事で夜11:30に帰宅。それから、成人式でアパートから帰宅する予定の息子を待って1:30まで起きていましたが、息子は帰らず・・・。

朝、6時に息子の玄関を開ける音で起床。何と、我が息子は、高校時代のバスケ部の仲間と、お台場に出来た「スポッッチャ」というスポーツレクリエーション施設で「オール」だそです。バスケにバレーボール、卓球と徹夜でスポーツ。体中が筋肉痛だと這う様に布団へ。

眠たい息子を強引に引き止めて、『ゼーガペイン』の話や、今期アニメの情報交換など、父子の対話をひとしきりした後に、私は自転車で出かける準備をします。今日は箱根にリベンジしようかと思いましたが、既に7時を回ています。

そこで、本日は房総方面に決定します。
だけど、いつもの自転車では鍛錬になりません。ここは精神から鍛え直す為に、クロモリ・フルリジットのマウンテンバイクのラレー君での出動です。目指すはダートが楽しめる清澄林道。

このラレー君、以前ヤフオクで街乗り用のクラシカル・マウンテンバイクを探して落札したもの。大口径のクロモリチューブを使用したフレームは一見アルミバイクの様な見かけです。M80というモデルですが、イギリスのRALEIGHのアメリカ製造というちょっと変わったバイクです。本来ならフロントはサスペンションフォークが付いているはずですが、前のオーナーはリジットのクロモリフォークを付けて、ドロップハンドル仕様にしています。これが街乗りでは非常に便利で、歩道の段差もものともしませんし、前傾姿勢が取り易いのでスピードも出ます。フロントもシングルなので、見た目もシンプル。街乗りでフロント3枚は無意味ですから。紫と黄緑の配色は、エヴァみたいで密かに気に入っています。

■ 養老渓谷までは時々コバンザメ? ■

いつものコースで養老渓谷まではブッ飛ばします・・・・。
・・・って、マウンテンバイクのブロックタイヤは重い・・・。路面抵抗も大きい・・。
ブウウウウーンって唸りを上げて走る割には30km/hがMAX。

ところが、幕張でロードに抜かれたのをこれ幸いと、勝手にお尻に付かせてもらいます。先日の箱根でコバンザメ走法の味を占めてしまったので、ついつい・・・。これって着かれた人は嫌でしょうね・・・。後ろから、ブウウウンって音がするのですから・・・。

花見川大橋でロードの方は花見川方面に左折してしまったので、楽ちん走法はここまで。
ここからは体も温まって来たので飛ばします。

国道に出たら車の流れでそこそこのスピードが出ます。気づけば後ろにロード乗りの方が。これは先行してもらって楽出来ると、一瞬悪魔が頭の中で囁きますが、それではトレーニングになりません。

ここは慣れないながらも、「曳いて」みようと思い、時速35Km/hで飛ばします。進路変更や減速はきちんと手で合図。オ、なんかイッパシの自転車乗りみたいだ!!

浜野の陸橋を越えて、先行する自転車乗りに信号で追いつきます。「オオオ!!トレイン連結!!」なんて一人心の中で盛り上がっていたら、何と先行のお二人は直ぐに左折。

しばらく一生懸命前を曳いていて、ふと振り返ると・・・・誰も居ない・・・・・。
虚しい・・・・手で合図って、誰も居なかったよ・・・。


それにも懲りずに、大多喜街道で抜いていったロードに付いてしばらくは楽をしますが、彼らは途中で休憩に入ってしまいました。まあ、上総牛久からのアップダウンでマウンテンバイクはロードに敵いませんから、ここからは一人旅。

フロントシングルなので、上り坂は基本「立と漕ぎ」。
おおー、今日は結構登れています。

そんなこんなで房総の基点、養老渓谷に到着。
平均時速はメーター読みで24.4Km。ここまで浦安から70Km。
まあ、今日の所は許してやろう。マウンテンバイクだし・・・。

養老渓谷駅ではトレイルをマウンテンバイクで走って来た一団が出発する所。
女性の方が男性より元気でした・・・。

その後、浜野で別れたロード乗りと少しお話させて頂きました。
レモン乗りだったので、思わず。
足立から養老渓谷までの往復160Kmコースだとか。
皆さん、寒いのに元気一杯です!!


■ 清澄林道へGO!! ■

養老渓谷までは前菜。

本日のメインディッシュはオフロードの清澄林道を麻綿原から清澄山まで走る事。
ここからは、登り基調のコースですが、本日は快調。



会所から麻綿原までの登りも足つきする事無く登り切りました。
良く頑張った。オレ。



内浦県民の森方面に少し下ると清澄林道の入り口です。
バリケードがありますが、自転車は辛うじて通れます。

木漏れ日を浴びながら走るダートコースは最高。
少し登りなので、トルクを掛けると後輪がズルズルと滑って楽しい!!



やっぱ、ブロックタイヤは白黒写真が似合いますね。



途中、一瞬開けた視界から、山並みの向こうに太平洋が見えます。

ダートコースは3Kmか4Kmぐらいでしょうか。
やや登りながらトラバースする感じのコースなので、脚が付かれていても楽しめるのが良い所。適当な下りもあって、ちょっとスリルも味わえます。

■ 清澄山に初詣 ■



林道の終点は清澄寺の上なので、道なりに走ると清澄寺の山門前に出て来ます。素通りするとバチが当たりそうなので、お参りして行きます。正月の名残が残っていますが、参拝客はまばらです。人気の無い本堂に、若い僧侶の読経の声が響きます。

寒いので、汗が冷える前に海までの下り坂を一気に下ります。

■ 新春の海 ■



新春の房総の海は丁度満潮。
カモメが岩場でノンビリ日向ぼっこです。

ここからは鴨川まで一走り。



海岸で潮風に曝されるクロモリ自転車・・・。

■ お土産は新鮮な魚 ■



街中で魚屋を発見。
無造作に魚が氷水に放り込んでありますが、
ブリもサバも立派なものです。
小ぶりですが、ヤガラなんて魚が「地魚」らしくて面白い。

しばらくすると、若いお兄ちゃんが店に出て来ました。
コチの良い型が入っていたので、これに決めます。
浦安市場の相場から「1500円くらい?」って聞いたら、「その位です」との答え。

「キンメもスルメイカも入っていますよ。」と言いますがどこにもありません。
お兄さんが空の箱をどけた下から出て来たのは・・・・



スルメイカがドーーーーン。



キンメーがドーーーーン。

息子の成人式祝いに、キンメの大きいのを買う事にします。
2000円位でしょうか?

鱗を内臓を抜いてもらう間に雑談。
浦安まで電車で帰ると言ったら、ペットボトルを氷らせたものを入れてくれました。
魚も一匹ずつ新聞紙で包み、さらに手提げビニールの内側にも新聞紙を敷いて断熱材代わりに。なんと細やかな心遣いでしょう。お兄さん、グッ・ジョブです。

お会計をすると、何と¥2、800円。
お兄さん、グッ・ジョブです。

「また来ます!!」と伝えて安房鴨川駅に向かいます。
お兄さん、結構イケメンでした。
もし、鴨川に行かれる女性がいらした是非、お店を覗いてみて下さい。
鴨川駅近くの「庄司鮮魚店」です。ヨロシク。

■ コチの旬は夏だけど・・・ ■

さて、持ち帰った魚は直ぐに料理。

キンメは半身を刺身に。半身と頭は煮つけにしました。
とても美味しゅうございました。

そしてコチは・・・



実はコチ(マゴチ)の旬は夏なんだそうです。
私はてっきりホウボウと同じ冬だと思っていました。

一晩、香草とライムとオリーブオイルに漬けてから、お腹の中にミニトマトを入れて200度のオーブンで25分程焼きます。(40cmくらいあるので)

ミニトマトを潰しながら食べると、夏よりはサッパリしていて、これはこれで美味でした。ライムを絞るとベターです。


本日は、鴨川まで鉄下駄トレーニングをお送りしました・・・。
何か、トレーニングと言うよりは、完全に観光ですね。
いつもの事ですが。



関西弁の魅力・・・心の隙を突いてくる

2014-01-11 08:16:00 | 音楽
 



以前このブログで紹介した関西弁ラブソング『あんた』
歌っているのはティーナ・カリーナ(本名・田中里奈)。

歌手を志しならが、阪急百貨店でエビ煎餅屋で6年間アルバイトしていたという彼女、
25歳の時に最後のチャンスと50社にデモテープを送った所、
仙台の芸能プロダクションが3か月後に連絡して来たとこ。(Greeenの事務所)
311の震災で3か月遅れで郵便が届いた事が理由とか。

そんな経緯で、仙台を拠点に活動する関西人シンガーのティーナ・カリーナ。
一昨年のレコード大賞の新人賞も獲得した様ですが、一般的知名度は高くはありません。

先日、大宮の駅前の大型スクリーンから彼女の歌声が聞こえて来てハッとしましたが、
スクリーンに映し出されているのは壇蜜の妖艶な御姿・・・。
これ、新曲の『しもた』のPVでした。

[[youtube:KPvG-PX81S8]]


しかし、関西弁のリフレインって、とっても独特ですね。
ちょっとベタだけど嫌いじゃない。

こんな歌もリリースしている様です。
『あかん』




そして大笑いなのが広島弁バージョンを誰かがアップしている事。
『いけん』

これ、実は結構上手い。
「わやくちゃになるのは、目に見えとるんじゃけん・・・」って・・・ツボりました。






新入社員の時の事です。会社の行楽会の出し物を決める話し合いで、
大阪出身の同期の女の子に「ねえ、女装せえへん?」と言われました。
思わず頷いてしまった私は、見苦し姿を先輩方にさらすハメに・・・。

これ、普通に「ねえ、女装してよ?」って聞かれたら、「ヤダ」と言えたと思います。
関東の男は関西弁の女の子に弱いんです・・・・エ!? 私だけ?



ちなみに昨年末、彼女の初フルアルバムが発売になっています。
タイトルは『田中らボタモチ』・・・
・・・オイオイ、事務所は本気で売る気あるんかい!!




シェールガス詐欺・・・開発バブルは資金流入が途絶えれば崩壊する

2014-01-09 07:05:00 | 時事/金融危機
 

■ シェールガスで損失を計上した大阪ガス ■

暮れに知り合いのアメリカ人と飲んでいましたが、彼はシェールガスでアメリカのエネルギー事情は将来的に大幅に改善し、国内に製造業が戻って来ると信じていました。これは、オバマの発言そのものですし、マスコミの論調も概ね同様です。

一方、大阪ガスがアメリカのテキサスで獲得したシェールガス鉱区では、想定していた14%しか販売できず、大阪ガスは250億円の特別損失を計上しています。

大阪ガス投資の米国シェールガスは大赤字(blogs)

<一部引用>

同社が取り組んでいたのは、米テキサス州南西部の「ピアソール・シェールガス・オイル Pearsall Shale Gas・Oil 開発プロジェクト」。昨年6月、米キャボット・オイル・アンド・ガスから権益の35%を取得し、累計で約330億円を投資してきた。同サイトは、地下3300メートルのやや深いエリアで地層に難があったため、「現在の掘削技術では経済性に見合った量を確保できない」ことが判明した。ガス・原油の販売高は当初想定の14%程度にとどまった。ただ、今後も鉱区自体は閉鎖せず、生産・販売を続けるという。

<引用終わり>


何処を掘ってもガスが噴き出して来ると思われがちなシェールガスですが、場所によって算出量に差があるのは当然の事です。ババを引くリスクを考えて投資する必要があるのでしょう。まさに「ヤマシ」の世界です。

■ 資金流入に支えられる開発バブル ■

現在のアメリカのシェールガスの置かれる状況は資金流入に支えられた開発バブルです。

シェールガス革命という幻想・・・急激に産出量が減るガス田  (人力でGO 2013.03.09)

1) シェールガスのガス井は生産開始から2年位で生産量が激減する
2) 次々と新しいガス井を掘らなければ経営が成り立たない
3) ガス井を掘る為にはお金が掛かる
4) 生産されたガスの売却益で新しいガス井を掘る
5) ガス井単体での採算性は低い、もしくは赤字
6) 投資資金が流入している間は、それを元手に新しいガス井を開発出来る
7) 投資資金が減少すると、ガス井の開発が滞路、生産量が減少する
8) 収益性が悪化してシェールガスの開発バブルが弾ける

大阪ガスの事例は、推定埋蔵量に対して実際の埋蔵量が少なかったのか、あるいは推定埋蔵量の14%しか生産出来ないのかが不明ですが、いずれにしてもシェールガスが世間で思われている程儲かるビジネスでは無い事の一端が伺えます。

■ カナダのオイルサンド・バブル ■

実はシェールがス同様にもう一つのエネルギーバブルが発生しています。
それはカナダのオイルサンドです。

オイルサンドは原油が砂岩層に染み込んだものですが、揮発成分が抜けてしまっている為にアスファルトに近い重質油が主な成分です。カナダのロイヤルアラバータ州では、オイルサンドが露天掘り出来ます。

非常に手軽に採掘される印象のオイルサンドですが、砂岩から重質油を抽出するには岩を粉砕し、水と天然ガスを用いてオイルを抽出します。抽出されたオイルは中東などの原油と違いアスファルトに近いので、これから石油を精製するのにも手間とコストが掛かります。さらには後に残された廃棄土砂の環境問題も発生しています。

さらに、100m以上の深さの露天堀出来ない深さのオイルサンドは、1000度という高温の蒸気を用いて液化して汲み上げられます。

この様に、在来型原油と異なるオイルサンドは、精製コストが高い為に原油価格が高騰していなければ採算に合いません。ところが2000年代の原油価格の高騰が、オイルサンドの採算性を引き揚げました。

カナダでは2000年代にオイルサンドの採掘が活発になり、ロイヤルアルバータ州を中心にオイルサンド・バブルが発生しています。

■ オイルサンドの採算性と原油価格 ■

オイルサンドから原油の製造コストは30ドル後半から70ドルだと言われています。大規模な設備を持つ大手は、30ドル後半から40ドル。中小はそれより高いコストが掛かります。

カナダのオイルサンドが注目されたのは第二次石油ショックの時ですが、原油価格が30ドルを越えなければオイルサンドは採算の取れない資源です。


http://www.noe.jx-group.co.jp/binran/part01/chapter03/section02.html
石油便覧より

長年40ドル以下で安定していた原油価格が上昇し始めるのは2000年代に入ってからです。上の「石油便覧」によれば原油価格の値上がりの要因は次の通りと書かれています。


1)金融緩和を背景にした投機資金の原油市場への大量流入
2)主要産油国の地政学的リスク※に対する懸念
3)急激な需要増により生じた生産余力の縮小による供給不安の高まり
4)資機材、人件費などのコスト高騰により、投資額の増加が実質的な探鉱投資の拡大に結
  びついていないこと
5)容易に開発・生産できる油田(イージーオイル)が掘り尽くされつつあり、将来の油田開
  発の高コスト化が見込まれること
6)国営石油会社の台頭による供給確保への懸念


興味深いのはリーマンショックの直後に需要の低下から原油価格が40ドル以下に下落した事です。その後、イラン危機やアラブの春などにより原油の供給量が減ったので、原油価格は持ち直しています。

■ シェールオイルに依存するシェールガス ■

現在のアメリカのシェールガス革命は、「水平坑井掘削技術」によってもたらされました。

1) 頁岩層の中に水平に井戸を掘る
2) 高圧の水を頁岩層に注入し、頁岩層を破砕する
3) 頁岩層はシェールオイルを含んでいるのでそのままではガスが回収できない
4) シェールオイルを溶かす薬品(多分強力な洗剤か溶材)を頁岩層の注入
5) 薬品と共にシェールオイルを回収
6) シェールオイルが抜けた後にシェールガスが噴き出す

7) シェールオイルは薬品と分離
8) 重質油のシェールオイルを利用可能な状態に精製

この様にシェールガス開発では、ガスの算出に伴ってシェールオイルが算出されます。その生産コストは70ドル~95ドルと言われいます。この価格は現在の原油価格からすれば、どうにか採算ラインに乗る価格とも言えます。

一方、ガスの相場はシェールガスの開発によって低位で安定しています。



アメリカのガスはパイプラインで輸送されるので、アメリカにはガスの液化貯蔵施設がほとんどありません。ですから、産出されたシェールガスはパイプラインに流されます。この為、供給が過剰になり、アメリカのガス価格は4ドル以下に下がっています。この価格はシェールガスの採算ラインを割っています。

現在のシェールガスビジネスは、わずかに儲かるシェールオイルと、全然儲からないシェールガスを生産する事業なので、既にビジネスモデルとしては始めから崩壊しています。


■ 採掘権詐欺 ■

シェールガスビジネスの実体は次の様なものでしょう。

1) シェールガスが次世代エネルギーの様に大宣伝する
2) ウォール街が出資してシェールガスの採掘を始める
3) シェールガスが儲かるビジネスを錯覚させ投資を促す
4) 採掘権を高値で売り抜けて儲ける
5) 採掘権を高値掴みした大阪ガスや中国の投資会社が青ざめる

まあ、シェールガスの採算性だけ見れば大損ですが、はじめから「採掘権詐欺」が目的であるならば、大成功とも言えます。これがアメリカにおけるシェールガス革命の正体です。

いずれにしても、コストの安いオイルサンドが2兆バレルも存在する中で、コスト高のショールオイルやシェールガスに現時点では魅力はありません。

■ 液化して日本に売りつけよう!! ■

しかしシェールガスを買いたいというお得意様が居ます。日本と韓国です。

日本と韓国は世界でも一番高い価格でガスを輸入しています。
アメリカの凡そ5倍、ヨーロッパの2倍の価格です。

原発が再稼働出来ずにガスの輸入量が増えている日本は、安定した天然ガスの供給先を探しています。そこにアメリカが名乗りを上げたのです。

但し、アメリカの提示している価格は、現在の日本の輸入価格とあまり変わりません。何故なら、液化して海上輸送するコストが掛かるからです。

アメリカはガスの液化施設を建造中で、将来的には日本や韓国にLNGを輸出します。しかし、多分液化施設にはパイプラインが接続されているはずで、そこに供給されるガスはカナダからの天然ガスだろうが、シェールガスだろうが区別は付きません。

要は、単にガスを液化して輸出するというだけ。

■ 小泉純一郎氏の脱原発は、シェールガスビジネスの一環 ■

ここで注目されるのが小泉純一郎元首相。

引退してオトナシクしていると思ったら、脱原発で再び注目を集めています。
彼が国民の健康を気遣ってくれるハズも無く、その目的を邪推すれば、アメリカのシールガス輸出をサポートしているだけだと思われます。

日本のマスコミはこういう背景は一切報道しませんから、何だか小泉氏が白馬の王子様の様に一部の人達には見えている事でしょう。

■ 中東の戦争と無縁では無いシェールガス革命 ■

リーマンショック以降、中東ではイランの経済制裁やアラブの春など、原油価格を高騰させるイベントが続いています。

これによってリーマンショックで暴落した原油価格も持ち直し、シェールガス革命は一応のい体裁を保っています。

しかし、シェールガスバブルは既に崩壊し始めていますので、アメリカが本気でシェールガスを推進しようとするならば、中東で新たな戦火が発生する可能性も否定出来ません。


「夢のエネルギー」のシェールガスは、ウォールストリートの思い描いた夢に過ぎません。そして、最悪は原油価格の高騰という実害を私達にもたらすのかも知れません。

日米のリスクオンが日本の資金を米国債に誘う・・・テーパリングの影響

2014-01-07 07:45:00 | 分類なし
 

■ 金融緩和と量的緩和の違い ■

先日、国債金利の上昇は金融の正常化か?という雑な記事を書きました。

リーマンショックは終わったのか・・・国債金利の上昇は正常化なのか?(人力でGO 2014.01.04)

この記事を添削していただいた様なタイミングで、「闇株新聞」さんが素晴らしい解説記事を書かかれています。

是非一読頂きたいので、リンクを貼らせて頂きます。

金融緩和と量的緩和は全く違う 「金融抑圧」は回避すべき
(闇株新聞 2014.01.07)

要約するとこんな感じでしょう。

1) 金融緩和は金利をゼロに近付ける事で資金需要を生み出し景気を刺激する
2) 量的緩和は国債を中心とする債権を買い入れる事で金利を実質マイナスに誘導する
3) 実質金利マイナスは借りてには有利に働く
4) 一方、実質金利マイナスで預金者は損をし、国債によって国に利益が吸収される
5) 量的緩和は「金融抑圧」と呼ばれる財政均衡手段の一つである
6) 金融抑圧は金利低下によって短期的には景気を刺激する
7) 金融抑圧は長期的には金利獲得機会を民間から奪う
8) 金融抑圧は総合的には経済にマイナスの影響を与える

9) FRBはQE3の金融抑圧的な影響を避ける為にテーパリングを開始した
10)長期国債金利を自然上昇するに任せる事で民間の金利獲得機会を確保した
11)金融緩和を継続する事で借入金利は低く抑えている

はい、脱帽です。

■ 金融緩和の継続と、量的緩和縮小の意味を理解し始めた世界 ■

9月にFRBがテーパリングを匂わせた時には市場は混乱しました。
しかし、それから時間を掛けて市場は量的緩和の縮小によって、市場に供給される資金が減る訳では無い事を理解しました。金利は依然、継続的にゼロだからです。

一方で、QE3による長期金利の抑圧は、金融機関の手持ち国債の価値を支えていましたが、同時に金利獲得の機会を奪っていました。

テーパリングによって米長期国債金利が自然に上昇するならば、市中金利も緩やかに上昇し、金融は正常化して行きます。

■ 人気商品の米国債と、不人気商品の日本国債 ■

金利が正常化すれば、米国債は安全に金利が得られる商品として人気が回復します。

一方、日本国債の金利が低いままだと、日本の資金は日本国債から米国債に流れ易くなります。金利差が2%あれば、米国債投資の魅力が高まります。

さらに、円がこの先下落(円安)する予測の元では、米国への資金流出は加速します。

■ 消費税増税で景気悪化確定の日本 ■

安倍首相が年頭で、どんなに景気回復を力説しても、消費税増税で日本の景気が停滞する事は規定事実です。

当然、日本の資金は金利を求めてアメリカに流出します。その多くは米国債に向かい、FRBのテーパリングを援護射撃する結果となります。

本来なら黒田異次元緩和と、9月頃のFRBのテーパリングの開始というのがその時期だったのかも知れませんが、市場がテーパリングに過剰反応したのと、邦銀が米国投資に消極的だった為に、その時期が半年ずれたとも言えます。

■ 無視される米国債のリスク ■

米国の財政赤字が実際にどれくらいあるのかは諸説色々です。ただ、米国債の需給が安定している間は、米国債の危険性から人々は目を背け続けます。

表面的には、日本の状況の方が悪いので、邦銀も日本国債から米国債へにシフトを強めます。

アメリカの金融機関がリスクオンで米国債市場から資金を引き揚げる一方で、邦銀はリスクオンで米国債を買うのでしょう。

■ 資産市場でバブルが形成させる ■

リスクオンの勢いが増すにつれ、ダウもさらに上昇し、債権市場も活況になるでしょう。
市場は「リーマンショックは去った」とばかりに、バブルを膨らませ始めます。

これこそが、一部の人達の待ち望んだ状況です。
安値で仕込みを終えている人達は、後は売るタイミングを待つだけです。

始めは徐々に資金を引き揚げ、最後は空売りで一気でしょう。

年初の日経平均の値下がりは、アメリカの統計に反応したドル安に外資が条件反射しただけで、大した事では無いと思います。

バブル相場形成の本番はこれからであり、ダウの上昇と円安の進行で、日経もさらに上値を付けて来るはずです。

■ 実体経済との乖離が大きいので、継続性に乏しいバブル ■

しかし、日米共に中間層があまりにも痛めつけられた為に、バブルは市場の中だけで収束し、資産市場と実体経済の乖離は広がる一方でしょう。

庶民の資金が市場に集まり難い状況で、バブルの継続性には疑問があります。
平成の大バブルの様な状況には日米とも成り難く、市場関係者も「崩壊」を意識した中でゲームを展開するので、次第に荒い値動きになり、どこかで、何かを切っ掛けとして、暴落を演じるのでは?

バブルが大きければ大きい程、経済の影響は大きいので、小バブル程度で崩壊する方がまだましかも知れません。



・・・・うーん、強引にネガティブな予測に持っていった感じ。
相場を張って居たら、ブームに乗り遅れて損をする予測ですね。