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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

トランプの鎖国政策が「デカップリング」を促進する?

2017-10-22 09:40:00 | 時事/金融危機
 

■ アメリカ経済を支える移民や密入国者 ■

オバマ政権は、子供の時に密入国してアメリカで成人した「ドリーマー」と呼ばれる若者達の強制送還を猶予し労働許可を与えて来ました。

これらの密入国者の中のは、子供だけで国境を越えて来た者達も多く、メキシコでは麻薬組織などが子供の集団越境を手引きしていたとの情報が在ります。

オバマ政権の処置は一見「人道的」とも思えますが、「ドリーマー」達はアメリカ企業や社会に、若くて安い労働力を提供していたとも言えます。子供の頃からアメリカに住んでいれば英語も堪能でしょうし、アメリカ社会にもそれなりに順応しています。

カリフォルニア州などは移民に寛容な州として知られていますが、ハイウエーの防音壁に合間からチラリと見えるLAの校外は、メキシコの様な貧民街が続いていたりします。さながらアメリカの国内に「発展途上国」が点在している様な光景です。

アメリカ経済が成長力を維持している理由の一つに若い動労力が流入し続けている事が挙げられます。、彼らは又、出生率が高い為に若い労働力を生み出す事にも貢献していました。

流入する労働力は単純な労働者ばかりではありません。世界中の国々か優秀な研究者がアメリカに集まっており、彼らは大学やIT企業などで知識労働に携わり、アメリカの技術や産業の発展に貢献して来ました。テスラモーターズのCEOのイーロン・マスク氏も移民の一人です。

■ 「ドリーマー」を強制送還するというトランプ ■

トランプ政権は子供の時にアメリカに密入国して、アメリカで成人した「ドリーマー」の強制送還に踏み切る様です。18才を過ぎた「ドリーマー」が対象になります。

これに大してオバマ元大統領が批判のコメントを発表するなど、リベラル派や、移民達からは当然、強い反発が起きています。

■ 結果的には優秀な労働力を世界に拡散する ■

トランプ大統領の政策は一見すると非人道的に見えますが、メキシコやカナダなどでIT系企業がドリーマーの採用を増やしてオフィスを拡大しています。

アメリカで学び、英語と技術を習得した優秀な知的労働者が、トランプの政策によってアメリカ国外に流出しているのです。

トランプの移民政策はアメリカのIT系企業の外国人採用の削減という結果も生み出しています。最近の採用者は以前の半分程だと報道されています。

海外からの優秀な研究者や技術者のアメリカへの流入が減れば、彼らは自国や周辺国で活躍し、結果的に自国の周囲の技術や産業の発展に貢献します。一方で、アメリカは優秀な人材を失う事になるので、競争力が低下します。

■ アメリカの貿易障壁は新興国のデカップリングを促すであろう ■

トランプ政権はNAFTA(北米貿易協定)においても保護主値的な変更を強行しようとしています。

アメリカにカナダやメキシコから輸入する自動車に掛かる関税をゼロにする条件に、次の2点の変更を加えようとしています。

1) 米国製部品の使用が50%以上mなら関税はゼロ
2) 域内での部品調達率の基準を62.5%から85%に引き上げる

トランプ政権の目論見は、これによって米国内での自動車生産を増やす事にあります。一方で、カナダやメキシコからの自動車の輸入のハードルが高まるのでカナダとメキシコはこれに強く反発しています。

一見、「保護主値」の様に見えるトランプの政策ですが、部品の現地調達率が高まるれば、日本や中国やヨーロッパのパーツメーカーはアメリカの工場を建設するか、あるいは北米以外への販路拡大を模索する事になります。

中国やインドでは猛烈なモータリゼーションが加速していますが、新興国の庶民がマイカーを保有する様になれば、アメリカの市場などあてにしなくても新興国の自動車産業は自立する事が出来ます。トランプの保護主義はこの動くを加速する可能性が有ります。

リーマンショック時には新興国の経済は未だ未熟で「デカップリング」出来ませんでしたが、次なる危機に際しては「デカップリング」が実現する可能性も有ります。トランプの保護主義はこの流れを後押ししている様に見えます。

■ アメリカ一国主義では世界経済の成長に限界がある ■

現在、先進国を中心に「成長の限界」に達し、先進国のインフレ率は鈍化しています。この原因の一つに、アメリカの消費の限界が挙げられます。

米国の企業は、グローバル企業の例に漏れず、安い労働力を使役して利益を上げて来ました。プアーホワイトから移民へ労働力をシフトして来たのです。その結果、アメリカの中間層は疲弊し、消費の拡大が鈍化しました。

リーマンショック前に旺盛だったアメリカの消費は、アメリカの住宅バブルによって生まれる「担保価値の拡大による個人の借金の拡大」という出来の悪い手品に支えられていました。だから、住宅バブルが弾ける事で、偽りの消費は縮小してしまった。

仮に、アメリカで再び住宅バブルが発生して、その結果消費が拡大したとしても、人々はそれが偽りの拡大である事に気付くでしょう。

こうして、アメリカ一国の消費力に頼るのでは、世界経済は何度もバブル崩壊に巻き込まれる事になります。

■ 世界の経営者は新興国の「アメリカ離れ」を望んでいる ■

リーマンショック以降の狂った様な金融緩和の副作用は「バブルの生成と崩壊」という結末しか生み出しません。

現在、NYダウも日経平均株価も連日上昇を続けていますが、一本調子に上昇する相場はバブルの終焉が近づいて来た事を示しています。今の相場は「上がるから買う」という状況に陥っていますが、市場参加者の多くはこれを楽観視はしていません。「そろそろ・・」とは思いつつも、上昇相場から振り落とされ無い様に必死にしがみ付いているだけ。

この相場はどこかで必ずや大崩壊を引き起こしますから、その時世界はリーマンショック以上のダメージを負います。特に政治に不安要素を抱えるアメリカは、危機の救済策が後手後手に回る可能性が有ります。

多分、同時期にシリアでの米ロの対立が決定的となり、米中関係も悪化する事で、世界経済の危機回避の足並みも乱れるはずです。

私はこのタイミングで中露がドルに圧力を掛けると妄想しています。中露が中心になってBRICsを中心に新たな国際通貨を作る試みがされるでしょう。こうして、ドルの魔力が衰える事で、新興国の「アメリカ離れ」が加速し、アメリカ一国主義の時代が終焉する。

世界は新たな成長のエンジンを得る事になり、世界の経営者は次なる時代の扉を開く。



・・・・トランプの内向きな政策は、世界の新なページの序章なのかも知れません。


悪化する米キューバ関係・・・音響兵器攻撃

2017-10-19 07:34:00 | 時事/金融危機
 

■ 「音響攻撃!!」 ■

「音響兵器」なる聞きなれない言葉がニュースから飛び出して来てビックリした在キューバ米大使館員の体調悪化問題。キューバの米大使館員が眩暈や吐き気をもよおした原因について、トランプ大統領が「キューバの音響兵器の可能性が有る」として、大使館員の引き上げや、在米キューバ大使館員の一部国外退去に踏み切っています。

しかし、いった音響兵器とは如何なる物なのか。大使館員が音を聞いた訳では無さそうなので、可聴域外の超音波か低周波の「音」による攻撃となるのでしょう。高周波が窓を閉めた室内に到達する可能性は低いので、低周波が疑わしい。

以前、高速道路の近くの住人や、風力発電所の近くの住人が謎の体調不良を訴える事が有りましたが、その原因が耳に聞こえない低周波数の音だったという報道が在ります。多分、これと同様の原因が疑われているのでしょう。

でも、キューバ政府がそんな攻撃を仕掛けるのでしょうか?私は思わず、野外ライブイベントの低音用大型スピーカーを想像してしまいました。所謂「レイブ」と呼ばれる様なイベント。ブイブイと体を揺さぶる低音に悩むアメリカ大使館員の姿を想像して、一人で笑ってしまいました。

■ キューバとの関係改善を阻止するトランプ ■

私はオバマ政権の最大の功績はキューバとの関係正常化だったのでは無いかと考えています。キューバはアメリカのおひざ元、カリブ海に浮かぶ島ですが、社会主義国家です。

1962年にソ連がキューバに核ミサイルを持ち込もうとして、これを阻むアメリカとの間で一触即発(なんかスゴイ四文字熟語ですね。エッチ・・・)の事態となります。この時、ソ連のフルシチョフ首相がミサイル配備を撤回した事で、最悪の事態は免れました。

ソ連はアメリカの庭と呼ばれる中南米諸国に社会主義革命を輸出し、アメリカはCIAを中心としてこれらの社会主義政権を打倒して来ました。今もベネゼエラの社会主義政権が風前の灯となっています。

アメリカはキューバをテロ支援国家として経済制裁を加えていました。オバマ政権はキューバとの国交正常化を模索し、ついにこれを実現しています。両国が大使館を置き、人や物の行き来も緩和されました。

しかし、トランプは選挙戦の時からキューバとの国交正常化は間違えであるとして、これを後退させる姿勢を見せています。

■ 安い労働力と、魅力的な観光地としてのキューバ ■

アメリカのグローバル企業にとってキューバの安い労働力は魅力です。アメリカに近い地理的な条件も重なって、キューバに工場を建設すれば儲かります。或いは、キューバからの安い労働力がアメリカに流入しても儲かります。又、アメリカの資本がキューバに出資して観光が活性化しても儲かります。

オバマ政権はキューバを封じ込めておくよりも、関係改善をした方が儲かると読んだのです。

一方、トランプは海外からの安い労働力の流入や、米国企業が国外に工場などを建設する事を好みませんでしたから、キューバとの関係改善を好ましく思いません。又、キューバが社会主義国であ事も、アメリカの古い価値観から好ましいものでは無いと考えます。

いえ、前任者のオバマの最大の功績をキャンセルする事で、民主党政権の業績を批判したかったのでしょう。これは彼がオバマケアーの廃止に必死になる事に似ています。

■ 近くの仮想敵国を必要とする軍産複合体 ■

軍産複合体にとてもアメリカのすぐ近くにある社会主義国家は適役としては重要です。軍事力では太刀打ちできなくとも、キューバが米国内でテロを起こす可能性は否定できません。

これは米国民に「分かり易い危機感」を植え付ける事に役立ちます。

こういったトランンプの思惑と、軍産複合体の思惑がシンクロする中で、今回の大使館員の一部引き上が行われているのかも知れません。




「国民の意思」が反映されない選挙制度・・・批判票の受け皿をぶっ壊す

2017-10-18 04:57:00 | 時事/金融危機
 

■ モリカケ選挙だったはずなのに? ■

実は選挙期間中に特定の候補を応援する様な記事を書くと公職選挙法違反に問われる可能性が有ります。

どの様な書き込みが違反になるのか良く分からないので、いつもは選挙前に政治問題から距離を置く様にしている当ブログですが、今回の選挙だけは「腑に落ちない」ので連続して取り上げています。おかげで自民党支持者から嫌われてたらしく・・・アクセスが1日に500人ほど減少しました。

今回の選挙の前から、私は森友・加計問題に注目しています。過去に首相や自民党幹部が絡む疑獄事件はリクルート事件など幾つか在りました。しかし、これらの事件で失脚した政治家は旧田中派の政治家です。小沢一郎などは裁判で無罪が確定した会計処理問題を検察審議会で蒸し返される始末でした。ところが、清和会(旧福田派)の首相が絡む「疑惑」は事件化した事はありません。

この前例に則れば、モリカケ問題は絶対に事件化される事は無く、安倍首相との関係はウヤムヤになるハズでしたが、今回はボロボロと証拠らしきものが出て来て、流石に安倍政権の支持率もダラダラと下がって来ました。

普段は「政治とは汚いものだ」とあきらめている陰謀論者の私ですが、たまには正義が執行されても良いかなと期待したりもしました。いえ、これを看過してしまっては、日本人の民度が問われるのでは無いかとも思っています。

安倍首相も、臨時国会を乗り切れないと解散に踏み切ったハズですが、前原代表の民進党解体でモリカケ問題が一気に消し飛んでしまいました。これにはビックリです。だって、本来、率先してモリカケ問題を追及して自民党の票を削るハズの野党第一党が一夜にして消えてしまたのですから・・・。

■ (野党共闘を阻止しなければ)死んでも死にきれない? ■

今回の選挙は、共産党と民進党が選挙協力をする事が勝敗のカギとなっていました。

前回の衆議院選挙では自民党の得票率は48%だったのに対して、議席獲得率は76%に達しています。これが小選挙区制の抱える矛盾で、国民の投票行動の結果が必ずしも議席数に反映されない。
小選挙区制では一人の候補者しか当選できないので、野党の候補が乱立すると票が割れて自公の候補が当選します。特に、投票率が下がれば下がる程、組織票を動員する自民党と公明党に有利になります。これが現在の自公優勢の国会を作り上げた。

与党と野党の議員が小選挙区で一対一の状況が出来れば、自公一極とか、安倍一極と言われる状況は簡単に崩せるのですが、各政党の過去のシガラミや、議員や支援団体の都合で、野党共闘の実現はなかなか難しかった。

しかし、共産党や社民党にかつての勢いは無く、民進党も一党で自公を追い詰める勢いは無い状況に至って、ようやく野党共闘が実現するかに見えた・・・。

そこで炸裂したのが前原代表の民進党解党という「自爆攻撃」です。実は民進党の自爆攻撃は今回が初めてでは在りません。2011年の政権交代が起きた選挙でも、民主党が衆議院で過半数を占めていながら、当時の野田首相が解散を自ら宣言して政権を放棄するという前代未聞の「珍事」が起きています。

今回、前原代表は「今の政治を換えたい。死んでも死にきれない」と語った様ですが、本心は「野党共闘を阻止しなければ死んでも死にきれない」だったりして・・・。そんな妄想が膨らむ、彼の不可解な行動です。

■ 批判票の受け皿が消えて行く不思議 ■

「野党共闘」という批判票の受け皿が忽然と消えた後、「希望の党」という受け皿が用意されたかに見えました。

しかし希望の党は小池氏の「排除します」発言によって一気に勢いを失ってしまいます。そしてその後に急造した公約には「花粉症ゼロ」なんて方針を入れ込み、首班指名も明らかにしないなど、政権交代の意欲が無い事を自らアピールする様な不可解な行動に出ています。

これによって希望の党も批判票の受け皿では無くなってしまいました。

イレギュラーだったのは枝野氏が立ち上げた「立憲民主党」が今回の選挙のヒーローになりつつある事ですが、立憲民主党の獲得議席は旧民進党が失う議席に比べてあまりに少ない。

■ 民主主義のトリック ■

大統領選でアメリカの有権者達は、「まともな候補が消えて行く」という悪夢を見ました。最終的に残ったのは「ヒラリー VS トランプ」という一番選びたく無い二人の組み合わせでした。

今回の衆議院選挙で日本の有権者は「安倍政権の批判票の受け皿が消えて行く」という悪夢を見させられています。

真面目な評論家は「ポピュリズムに陥った民主主義の末路」としてこの現象を捉えるはずです。「選挙ではまともな政策を語るより、大風呂敷を広げたり悪目立ちした方が有利」という「有権者の質の低下」を嘆きます。

しかし、アメリカの大統領選挙を注意深く見ると「批判票の受け皿が分散されている」事に気付くでしょう。民主党ではバニー・サンダースがリベラルな若者を中心に人気を集めますが、彼の政策はアメリカの大統領としては過激ですから、予備選を勝ち抜けるハズはありません。ところが、予備選でサンダースに票が流れる事によって、他の民主党のまともな候補がヒラリーに太刀打ち出来なくなりました。有権者が良かれと思って行う投票行動によって、自分が一番支持したくない候補が勝ってしまうのです。

仮に民主党の候補がヒラリー以外であったならば・・・多少小物感はあったにせよ、トランプ大統領誕生は阻止出来たはずです。だって、大統領選本戦終盤は、ヒラリーとトランプの罵倒合戦という見世物に成り果てていましたから・・・。

私は民主主義は「支配の道具」だと考えています。国民に主権者は自分達だと錯覚させ、不満を抑えるシステムだと。「支配者」は選挙システムや候補者を微妙に調整する事で、選挙結果に民意が反映しないシステムを構築しているのだと妄想しています。

■ 「自公圧勝」という報道は投票率を下げる ■

新聞各社が「自公圧勝」とか「300議席に迫る勢い」と報道し始めています。これも「自公」に有利な状況を作り出します。

小選挙区制で組織票を持つ自公が確実に勝利する為には、「不確実要素の無党派層をいかに選挙から排除する」かが重要になります。

無党派層は政治意識が低いので、「自分の一票なんて選挙結果に大して影響を与えない」と考えています。だから「自公圧勝」というニュースを聞くと、「じゃあ選挙に行っても仕方無いや」と考えてしまいます。

■ 「怒り」のはけ口としての選挙 ■

そもそも無党派層が休日のレジャーやダラダラ生活をキャンセルしてまで投票所に行く時は「怒り」のはけ口を求めている時です。これは景気が低迷した時が殆どです。民主党が政権を取った時はリーマンショックの後で、日本の景気は極端に悪化していました。

安倍自民党が政権を奪還した時、民主党政権はリーマンショックの後遺症と311地震という悲劇的な状況に置かれていまいした。

この様に経済が極端に悪化した時、人々は「怒り」のはけ口として投票所に息、現政権を否定する事で溜飲を下げます。

■ モリカケ問題が報道から消え、怒りも消えた・・・ ■

今回の衆議院選挙が発表された時には、国民の中にモリカケ問題への「怒り」が少なからず有りました。

しかし民進党解体と希望の党によって、ニュースからモリカケ問題が消えてしまいました。希望の党はモリカケ問題を追及しません。

すると、「安倍政権を許さない」という「怒り」もスーーーと静まってしまいます。こうして無党派層を選挙から上手に遠ざける事で、国民の意思とは乖離した選挙結果が生まれるのです。

■ 雨が降ったら完璧だ ■

無党派層を投票所から遠ざけるもう一つの要因は天気です。雨が降ると投票所から足が遠のきます。「アメだし、メンドいし、選挙辞めちゃう?」って感じ。ある、あるってうなずいている方もいらっしゃるかと・・・。

日本列島の上に秋雨前線が居座り、南の海上で発生した台風がこれを刺激すると予想される週末。何故だか天気までも味方に付けて自公が圧勝する・・・かも知れない。

天気のコントロールは無理としても、仮に森友・加計問題ですら、最初から衆議院解散と自公圧勝を睨んだ仕込みだったとするならば、この壮大なタペストリーを描いた人物は、私など小物の陰謀論者の妄想力を遥かに絶する創造力の持主なのでしょう。もし、そういう方が居るとすれば感服に値します。


「正しい」けれど「間違い」の憲法改正・・・ガンバレ立憲民主党

2017-10-17 07:45:00 | 時事/金融危機
 

■ 「憲法改正」は正しい ■

独立国が軍隊を持ち、交戦権を持ち、自衛権を持ち、集団的自衛権を持つ事は「あたりまえ」の事です。

憲法を改正して、自衛隊をきちんと「軍隊」をして位置付け、関連法案を整備する事は何ら日本の国益を損なう事ではありません。

だから私は「憲法改正」には賛成です。

■ 「憲法改正」の何が怖いのか ■

一方で、「憲法改正」は恐ろしい。

仮に自衛隊が軍隊として位置づけられた場合、アメリカの戦争に付き合う必要が生じた時にNOと言えるのか・・・。これが憲法改正に反対する人達の問題とする所。

仮に憲法9条の平和主値を削除して自衛隊を合憲ちした場合、日本はアメリカの戦争に「集団的自衛権」という名目で参加する事になる。

湾岸戦争で、日本はアメリカに兵站(軍事物資の輸送)を依頼されましたが、日本は自衛隊を海外に派遣(派兵)する事は違憲だとして、お金だけを出しました。

イラク戦争では、一歩進んで、散発的なゲリラ攻撃がある中で、「自衛隊が居る場所が非戦闘地帯です」という強引な小泉元首相の答弁でイラクへ自衛隊を派遣しました。イラクの自衛隊駐屯地にロケット弾が撃ち込まれるなどの事件はありましたが、隊員は無事に帰国しました。

スーダンの内戦では、自衛隊の駐屯地の近くでも反政府軍と政府軍の戦闘が発生し、自衛隊はスーダンから撤退を余儀なくされました。現行の憲法の元では、自衛隊が交戦して敵兵を殺傷した場合を規定する法律が存在しないので、自衛隊は不測の事態が起こる前に撤退したのです。

この様ににアメリカの要請や国連の要請によって、自衛隊は段階的に海外での活動を拡大して来ましたが、現行憲法があるおかげで、自衛隊は「戦闘」や「交戦」を避ける事が出来ています。

しかし、憲法を改正して、自衛隊の「海外での交戦」の法整備が進むと、自衛隊が海外で戦闘する事が可能になります。

この様な状況で、日本国政府はアメリカや国連からの「戦闘へのお誘い」を断る事が出来るか・・・多分難しいでしょう。

■ 中東の戦争で、戦闘地域での兵站や占領地域の警備を担わされるであろう自衛隊 ■

自衛隊の海外派兵先として一番可能性が高いのは、中東とアフリカでしょう。シリア南部からアメリカに支援された「反政府軍」が侵攻し、一方シリア北部からはクルド人勢力を封じ込める為にトルコ軍が侵攻する状況で、米露の代理戦争が始まる可能性が高まっています。

シリア政府軍、トルコ軍、イラン軍、ヒズボラとそれを支援するロシア、これに対するのはシリア反政府軍と呼ばれるアメリカ・イスラエル・サウジアラビアの支援を受けた勢力ですが、戦闘が拡大すれば米軍が空爆などでこの勢力を支援するはずです。

この戦争がシリア国内の内戦で終結するのか、あるいはイランなどを巻き込んで中東地域へ拡大するのかが焦点になります。トランプ政権は選挙中とは手の平を返した様に好戦的です。イランとの関係改善も望んでいません。アメリカの軍産複合体は中東での大規模な戦争を遂行し始めた可能性が高い。

仮に米軍、特に地上軍が戦闘に参加した場合、米国は必ずや自衛隊の応援を要請するはずです。日本の事情は理解していますから、戦闘地域への兵站を自衛隊に依頼する可能性が高い。自衛隊の警護に米軍か、韓国やオーストラリア軍が当たる・・・そんな感じで、「自衛隊は戦闘はしない」と国会では説明されるはずです。

しかし、敵の兵站を攻撃するのは戦争の定石ですから、自衛隊の車列が攻撃される可能性は高く、これに自衛隊は当然防戦します。

■ 何故、中東での戦争を予想するのか? ■

私が中東での大規模な戦争を予想する理由は二つあります。

1) 大規模な金融危機が発生して通貨の信用が揺らぐ可能性が有る
2) 世界中で電気自動車へのシフトが加速している

この二つから予測される事は「原油価格の上昇が近い将来に起こる」です。

世界はインフレ率の低迷に苦しんでいますが、原油価格が上昇すれば石油ショックの時と同様にインフレが進みます。ただ、景気も低迷するのでスタグフレーションが発生します。

アメリカ国内も景気低迷で失業者が増え、さらに物価上昇で国民の不満が高まりますが、この様な状況で国民に仕事とストレスのはけ口を与えるのは戦争です。貧しい若者の多くが海兵隊などに志願するでしょう。

国民もネットなどで多くの情報に触れるので、シリアなどを一方的に攻撃しても国民の理解は得られません。だから、「中露がアメリカの中東での石油利権を脅かす」というシナリオが書かれるはずです。

■ 東アジアの緊張は高まるが、大規模な戦争は起きない ■

憲法改正に賛成する多くの方々が、北朝鮮の暴走や、中国の軍事的脅威を理由に挙げるはずです。

しかし、中東で大規模な戦闘が起きた場合、東アジアは軍事的緊張は高まりますが、大規模な戦闘が発生する可能性は低くなります。何故ならば、アメリカは中東とアジアで同時に戦争を遂行する財政的余裕が無いからです。

しかし、中東で米 VS 中露 の対立が深まれば、中国が南シナ海の日本のシーレーンを脅かす状況は充分に予想できます。日韓と東南アジア諸国が集団で中国に対抗する必要が生じます。自衛隊が南シナ海で中国と対峙する事態も起こります。

■ 「中東での戦闘は日本の原油確保の為」と説明されるであろう ■

憲法改正に賛成する方の多くが、中東やアフリカで自衛隊が戦闘に巻き込まれる事には否定的ですが、南シナ海で日本のシーレーンを防衛する事には肯定的でしょう。

しかし、「日本は中東の石油に依存しているから、米軍を支援して中東に自衛隊を派遣する」という理論で、自衛隊の中東派遣が国会で承認される可能性は高い。

■ 「改憲」か「加憲」か ■

安倍首相は先に「自衛隊の存在を憲法に明記する」と発言し、憲法9条を変更せずに「加憲」する方向性を示しています。

これは「平和主義」を残す事で、アメリカの戦争に無制限に日本がつき合わされる事を防ぐ目的があると私は妄想します。但し、実際問題、日本がアメリカにNOと言えるかといえば・・・国民が暴動でも起こさない限り難しいでしょう。

結局、中途半端は「加憲」では、自衛隊の活動範囲が明確で無い為に、恣意的な拡大解釈によって自衛隊の海外での戦闘がなし崩し的に認められる可能性が高い。

■ 「立憲民主党」に頑張って欲しい ■

日本がアメリカの戦争に巻き込まれない為には、憲法に「自衛隊の戦闘行為は日本の周辺事態に限る」と明確に書き込む必要が有りますが、自民・希望・維新はアメリカの傀儡勢力ですから、これは難しい。

公明党は・・・仮に「立憲民主党」がそれなりの議席を確保して、公明・立憲・社民・共産が国会の1/3を超える勢力となるならば、この勢力に加わる可能性は低く無いのでは?但し、その条件としては憲法改正反対の旗をリベラル勢力が降ろし、自衛隊の武力行使に制限を掛ける憲法改正に賛成するというハードルが生じるでしょう。これをリベラル勢力が良しとしないならば、彼らの存在意義は無くなります。何故なら、政治的影響力を行使できない政党など存在しないも同然だからです。

全くの妄想ではありますが、自衛隊が海外で無制限の戦闘に巻き込まれない為にも、「立憲民主党」にはそれなりの議席を確保して欲しい。ガンバレ、立憲民主党。

■ 日本のリベラル勢力は、リアリストになって欲しい ■

私が立憲民主党に期待する事は「リアリスト」になる事です。

憲法改正を阻止出来ないのであれば、上記の如く公明党と協調して、改正の内容に干渉して欲しい。その為には「何がなんでも憲法9条を守る」では、役に立ちません。

共産党や社民党が古い党是に縛られて「護憲」から抜け出せないのであれば、立憲民主党には是非とも「本当の立憲主義」に則って改憲も含めた中で、日本の国益を考えて欲しし。そうすれば、浮動票を取り込む事が十分に可能なハズ。

いつの間にやら、超保守の小林よりのり氏が立憲民主党の応援に回っていますが、「日米安保を破棄して核武装し、日本は独自防衛を確立すべし」という理想と、「平和主義を維持する」という理想は、現実性が欠如している点においては同じレベルで親和性が高いのでしょう。これはマズイ流れだと思います。一時的に選挙で議席を確保したとしても、ドリーマーでは政治力を行使出来ない。

もう一度言います、ガンバレ「立憲民主党」。ガンバって一皮剥けろ!!


マンガって面白いよね・・・『アシガール』

2017-10-15 03:25:00 | マンガ
 


『アシガール』より

■ 酔った勢いで『アシガール』をゲットした ■

アニメの続きが読みたくて『ボールルームへようこそ』を3巻目から買って家族から大ヒンシュクを受け、仕方なく1、2巻を買う時に、その隣にあった『アシガール』も酔った勢いで買ってしまいました。

目がクリクリした「女子高生」が何故か「足軽」の恰好をしている表紙・・ずっと前から気になっていたんですよね。もう、買え買えオーラがパナイ。

作者は『ごくせん』の森本梢子。2012年の連載開始ですから新しい作品ではありませんが、最近はNHKでドラマ化された様で、本屋の映像化作品のコーナーに展示されて目に触れる機会が多くなったのでしょう。

■ 「若君が好き」という一点突破で突っ走る面白さ ■

<ここからネタバレ注意>

無気力だけど足だけは速い16才の女子高生の「速川 唯」は、弟の発明したタイムマシーンで戦国時代に飛ばされてしまいます。彼女は敗走する足軽達のただ中で目が覚めますが、突然現れた女子高生は、足軽の少年と間違えられて、怪しまれもせず集団と行動を共にする事に。暗闇で見ると、ミニスカの制服は足軽の具足にシルエットが似ている・・・。

手際よく具足も手に入れた唯ですが・・・さすがに身元査証がバレそうになり、こっそりと集団から抜けて山中に逃亡。そこで出会ったのが眉目秀麗な黒羽城の城主の嫡男「羽木九八郎忠清」。出会った瞬間に心を奪われてしまいます。

夢見心地でついつい足軽の集団に戻ってしまった唯ですが、身元を詐称した農家の母親が迎えに来たからさあ大変。・・・ところが、この母親、何故か唯を我が子「唯之助」として家に連れ帰ります。必死の形相の唯を放おっておけなかったのです。美人で気丈の母親は、唯を我が子同様に厳しく扱い、家事を教え、城内の事を教えます。

戦国の生活にも少し慣れた一月後の満月の夜、唯は若様や新しい家族に後ろ髪を引かれるも、現代に帰る決心をします。タイムマシーンの発動条件は満月の夜なのです。

現代に戻った唯は、羽木九八郎忠清が討ち死にした史実を知ります。戦国時代の人物ですから死んでいて当然ですが、若様は唯が飛ばされた時間の直後に死んだと知ると、唯はいてもたっても居られません。弟に頼んで再び戦国にタイムトリップします。土産は白いお米と、駄菓子と携帯ゲーム機。

彼女は若様を守る為には、戦場で若様の傍に居る必要があると考え、どうにかして若様付きの足軽になろうと奮戦します。「若様が好き」という気持ちだけで突っ走る唯でしたが、超ポジティブ思考と、足の速さだけで、一歩、一歩目的に近づいて行きます。

■ マンガならではの面白さ ■

マンガの面白さは「何でもアリ」の面白さ。女子高生が戦場の真ん中で恋に落ちてもマンガならOK。いや、むしろツカミはバッチリ。

但し、これが面白い作品になるかどうかは作者の力量に掛かって来ます。どんなに荒唐無稽な話であっても、読者が共感する物な無ければヒット作とはなりません。

私は共感を生むのはある種の「リアリティー」だと思うのですが、「そうそう、こういう人居るよね」とか「そうそう、こういう事あるよね」と読者に思わせる細かな描写をチョコっと描けるかどうかが重要です。

『アシガール』の作者森本梢子は、こういう「ちょこっとしたリアリティー」の付加が上手な作家だと感じます。ポンと出て来て使い捨ての足軽のキャラでも、どっかに居そうなオッサンで、親近感があったり、城の人々は、大河ドラマに出て来そうな人達だったり・・・。

作家によっては丁寧な人物描写の積み重ねでリアリティーを生み出しますが、森本梢子の場合は「テンプレ」を上手にはめ込む事で一瞬でリアリティを生み出す省エネタイプ。

ただ、この作品、リアルを追及するのではなく、本質はあくまでもラブコメ。とにかく唯の思い込みと勘違いと直感と猪突猛進的な行動力がポンポン繰り出しすテンポを楽しむ作品。しかし、その合間合間に妙にリアルな一瞬が挿入されるから、読者は戦場で駆け回る女子高生という非常識な存在を自然に受け入れてしまいます。

「アリエナイけど、あり得るかも」と錯覚させる能力は、マンガというシンプルな絵柄が作り出す最大の武器です。女子高生の制服と、足軽の具足が似ている・・・これを読者に納得させるのに文字を媒体とする小説では難しい。一方、実写では違いの方が際立ってしまいます。漫画ならばシルエットを並べて描くだけで読者は一瞬で納得すると同時に・・・その組み合わせに爆笑する。

この様な「マンガならではの細かな技巧」がギューっとテンポ良く詰まっているのが『アシガール』です。


カラリと面白い作品なので、家内に勧めたら・・・一週間たっても一向に読む気配がありません。先日、私の誕生日に「僕へのプレゼントだと思って読んで感想を聞かせて」と強要したら・・・
数時間後のメールは「今夜は牛タンでゴザル」と来たもんだ。

帰宅した時には8巻全てを読み終えて、なんだか「ゴザル」が会話の語尾に付いていました。そして、翌朝にはネットで続きのネタバレまで読んでいた・・・・。

昨日、フラリとアパートから帰宅した娘も、家内の勧めで読み始めて・・・2巻を一瞬で読み終えて「バイトがあるから私帰るね」とあっさり続きを全部、鴨川に持って行ってしまった・・・。


『アシガール』恐るべし!!


<追記>

気付いたら、ここ数年、女性作家の漫画しか買っていない・・・。

『応天の門』灰原 薬
『レディー アンド ジェントルマン』オノナツメ(つい先日女性だと知りました)
『WOMBS』白石弓子 (日本SF大賞受賞、おめでとう!!)
『不滅のあなたに』『聲の形』大今良時
『ボールルームへようこそ』竹内友
『BEASTARS』板垣巴留
『式の日』~『僕のジョバンニ』穂 積
『海街diaryシリーズ』吉田秋生
『シュトヘル』伊藤悠
『ちはやふる』末次由紀
『駅から5分』『花に染む』くらもちふさこ
『雑草たちよ大志を抱け』池辺葵
『市川春子 作品集』
『ゴロンドリーナ』『IPPO』えすとえむ  (今、記事を書いていて女性だと知りました)
『水域』漆原友紀        (今、記事を書いていて女性だと知りました)
『ピアノの森』一色 まこと   (先日女性だと知りました)
『この世界の片隅に』こうの史代

うーん、『銀の匙』『あひるの空』『ファイアパンチ』と『波よ聞いてくれ』以外は見事に女性作家なかりだ・・・。

私の買うマンガの女性作家って、性別不明のペンネームの方が多いんですよね。絵柄も性別不明のものが多い。だから意識して女性作家の作品を買っている訳では無いのですが・・・。男性作家の作品って単調なものが多いからかな・・?