とてもシンプルな映画だ。4話からなるラブストーリーなのだが、単純なオムニバスではなく、4話を絡み合わせて紡ぐという展開のさせ方を取っている。そして、4組とも男女の別れの物話という共通項を持つ。
もちろんタイトルが『サッド・ムービー』だからすべて悲しい話なのだが、それにしても、映画自体は、すべてがストレート過ぎてつまらない。もう少し映画としての仕掛けが欲しい。
せめて、ドラマに奥行きがあれ . . . 本文を読む
こんなにも勘違いをした映画を見るのは久し振りのことだ。これでは映画とはいえない。ただの予告篇でしかないのだ。だいたい、ここからお話が始まるというところまでを提示した映画なんかを作ってどうするのか。しかも、それをダイジェストにしか見せ切れないなんてどういうこと?
冨樫森は『鉄人28号』の時にも大勘違いをしていたが、これは酷すぎる。とても綺麗な映像で3人の恋を描いているように見えるが、その実、感 . . . 本文を読む
芝居をどう見せるのかは、とても大事なことだ。もちろんそれは芝居だけでなくすべての表現においても、同様である。
この芝居を見ながら死ぬほど不愉快だったが、今落ち着いて振り返ってみると、この芝居が描こうとしたことや、いくつかのシーン、ドラマ展開には、興味深いものがあるのではないか、と思った。
最初書き始めたメモにはこうある。
史上最悪の2時間50分。こういうつまらないものを見た自分自身が . . . 本文を読む
思ったほど面白くない。それは当然かもしれないが、あの『電車男』のチームなら吉田修一をコメディーにするなんていうとんでもない企画を成立させれるかもしれない、と一瞬信じてしまったのだ。しかも、原作の精神は生かした形で映画化しようとする(まぁそれって、当たり前の事だが)なんて言葉も信じてしまった。しかし、結果的にはうまくいってない。だいたい吉田修一のどこをどう読んだらコメディーになるのか?疑うべきだっ . . . 本文を読む
今、再びキタモトさんの演出によりこの作品を見ることの意味は大きい。初演を見た時の驚きと、戸惑いは今も鮮明に記憶に残っている。それくらい強烈だった。あの時は「これがはたして遊劇体といえるのか?」なんて思った。しかし、それも今考えると静かな始まりに過ぎなかったのだ。遊劇体の大きな変貌はあの時から始まったのである。
『残酷な一夜』から『エディアカラの楽園』へ続く作品を見た目でもう一度この作品を見た . . . 本文を読む
なんて優しい芝居なのだろう。多重人格の女性の心の痛みを、丁寧に描きながら、少しずつ彼女の痛みを和らげようとする医師たちの姿を同時に描く。作、演出のはせさんは最大限の優しさで彼女を包み込むように描いてみせる。
いつものはせさんの芝居とは距離の取り方が違う。バランスを明らかに崩している。はせさんは動揺している。彼女の痛みに心が揺れている。いつもなら素材に対して第三者の視点をしっかり取ることを前提 . . . 本文を読む
言葉が足りないから、少し追加する。
この製薬工場で事故に遭い、左手と左足が焼けてしまった女がやって来る。その前には、新しく派遣でやって来た女のエピソードも入る。このふたつの話が本編の入り口に設定されている。蕗子のドラマとしてこの芝居を読むのは当然のことだが、最初に提示したこの2人の話はかなり大事だ。ほんとはこのエピソードがいかに物語と連動するかが、芝居自体を左右する。しかし、それが本題とうま . . . 本文を読む
いつも、とても趣味のよいフライヤーを作っており前々から興味を持っていた劇団である。今回ようやく初めて見た。惜しいことをした。もっともっと早く見ておくべきだった。1人暮らしの男の孤独を感情を排した渇いたタッチで見せていく。秀作である。
芝居の前に少し別の事を書く。この芝居が終わった後、劇場入り口でインディペンデントシアターの笠原さんから「見てくださいよ」と渡されたプロモーションDVDはほんとう . . . 本文を読む
未知座のテントを使って、2度目の野外劇に挑戦した戒田竜冶の新作。舞台手前に作られた川(科白では海と言ってるが)の中から、ずぶ濡れになった男が登場するオープニングにまず、驚かされる。そして幕が開くといきなり舞台のむこうには燃え上がる家、炎の中に立ち尽くすヒロインの河上由佳。あざといけど、テントならではの始まりだ。
薬品工場から出た産業廃棄物を川に流す女たち。この工場で働く女たちだ。その中に蕗子 . . . 本文を読む
予想外の面白さだ。ラストまで気持ちよく見れた。とても美しい映像は、全てを夢のように描くこの作品にぴったりだ。現実感がまるでなく、無色透明なファンタジーとして、この青春映画は成立する。広々としたキャンパス、優しい仲間、幸福な毎日。生活感もまるでない。絵空事を描くのではない。しっかりした夢の世界を描いて見せるのだ。
主人公の青年は写真を撮るのが大好きだ。人と接するのは苦手。自分にコンプレックス . . . 本文を読む
さあ、映画が始まる。映画の世界で夢を見てくれ、とでも言わんばかりのオープニングはドキドキさせられた。語り部である男がバスに乗り映画のセットである上海の町にやってくるシーンである。しかし、ドラマが始まると途端に減速する。表面の華麗さと反比例して、ドラマを構成していく力がない。ピーターチャンはいったいどうしたんだろう。
ミュージカルというスタイルと内容があまりしっくりいかない。これだけ大変な仕掛 . . . 本文を読む
とてもおもしろい芝居だ。WFの<のちうち企画>としては理想的な作品ではないか。小品だが、今まで見た事のないような新鮮さを、さりげなく提示してくれる。「こんな芝居があったんだ」と、少し驚かせてくれる。[すごく]ではなく[すこし]というところが大切な点だ。
作、演出の森本洋史さんは誠実に自分の世界を描きこもうとしている。それが普通の人の感覚とは、ほんの少しずれていて、そのずれが芝居の魅力となって . . . 本文を読む