今回のあみゅーずは、お得意の3話からなるオムニバス・スタイル。ただし、1・3話は同じ2人のお話。母(条あけみ)と娘(中村ゆり)があこがれのロンドンにやってきて、豪華ホテルで過ごす夢の時間。その最後の夜のお話である。その間に挟まれるのは、中年夫婦(笠嶋千恵美、九谷保元)が主人公となるコミカルなエピソード。この同じホテルで過ごす2組のお話として全体がまとめられる。
コンパクトに収まる2組のお話が、 . . . 本文を読む
こういう山登り小説が生まれる。しかも、お仕事小説でもある。仕事と趣味がバランスよく収まり、人生の至福がそこにはある、なんて感じか。とても幸せな小説だ。でも、ほんの少し寂しい。それは彼女が40歳で、ひとり、だからか。じゃぁ、結婚して家庭があるのが幸せか、と言われると、そうじゃない、と答える。比較なんか意味はない。幸せは人それぞれが感じるものだ。別れた恋人とパラオなんかで再会するドラマチックにも、な . . . 本文を読む
大阪を皮切りにして、来年の3月まで、なんと全国5か所を駆け巡る壮大なスケールのプロジェクトだ。赤星マサノリと坂口修一による二人芝居の3作目。今回はピースビットの末満健一のオリジナルに挑む。でも、この台本はハードルが高い。こういうファンタジーを気取って演じるのは彼らの得意ではないはずだ。だからこそ、こういうありえないようなものに挑戦する。末満さんもわざとこういう設定を選んだのだろう。とてもいじわるだ . . . 本文を読む
どれだけお金をかけてもこの映画は作れない。そういうタイプの映画なのだ。12年間という時間がテーマである。6歳の少年が主人公。彼の12年間を描く。そのためには12年という歳月が必要になる。ドキュメンタリーではない。ちゃんとした劇映画だ。だから、主人公である少年は、最初は子役で、やがてはティーンエイジャーになる。同じ役者を使ってリアルタイムで主人公たちの人生を描く。だから、少年だけではない。まわりの . . . 本文を読む
アトム・エゴヤンの新作である。もうそれだけで最優先する。まるで情報なしでまず見に行く。だが、今回は彼の映画で初めて乗れない。最初は緊張感があって、ドキドキさせられた。だが、そのドキドキは後半急に減速する。本当ならそこから加速するところなのに。
3人の8歳の少年たちが行方不明になった。捜索するがなかなか見つからない。やがて、彼らは水死体となり発見される。警察は容疑者として、3人の高校生を逮捕する。 . . . 本文を読む
これはひとりの女の脳内での出来事を描く物語。だから、最初はこのむちゃくちゃで荒唐無稽なサロメのお話を楽しめばいい。それがどんどん暴走していくのも、かまわない。けっこうワクワクしながら見ることができたくらいだ。そんな女と家族との物語がやがて、その外枠にある物語と交差していく。
あるジャーナリストが、取材で彼女に会いに来る。彼の登場によって話はようやく先へと進む。女は入院している。彼女は以前、保健所 . . . 本文を読む
ドーンセンター開館20周年記念企画「ドーンフェスティバル2014」のメインを担う公演にふさわしいとても華やかで感動的な舞台だった。ドーンセンターのホールをここまで上手く使いきった芝居は初めてではないか。6話からなる短編連作なのだが、さまざまな女性たちがそれぞれの時代を精いっぱいに生きた姿が感動的に描かれる。見終えて胸がいっぱいになった。
構成、演出が樋口ミユ。その事実にも、感動している。彼女がこ . . . 本文を読む
ここは虐待を受けた子供たちの避難所。家族から惨い目にあい、行き場を無くした18歳までの児童を預かる施設。これはそこでの職員たちと子供たちとの交流を描く映画だ。でも、これ見よがしの心温まる物語ではない。それどころか、描かれることは、どこまでも悲惨だ。
彼らが抱える闇の深さに愕然とする。簡単には心を開いてくれない。ここの職員たちの中にもまた、かつて虐待を受けてきた人たちがたくさんいる。自分のような . . . 本文を読む
映画を見た直後に読み始めて、今、読了。なるほどな、と謎が解けた。でも、読み始めた時には、唖然とした。これ、あの映画とまるで違うじゃん、と。お話自体の基本線や輪郭は当然同じなのだが、細部がまるで変えてある。とくに、夫。彼が落語家ではない。しかも、あんなにも年上ではない。あれは明らかに大泉洋をキャスティングしたがための修正でしかない。それって原作に対して失礼ではないか、と人ごとながら憤慨した。だから、 . . . 本文を読む
ヒットメーカー山崎貴監督がまた、やってくれた。向かうところ敵なしの勢いで特大ヒットを飛ばし続ける彼が、次に挑むのはスケールの大きなSF作品だ。それを今はやりの2部作スタイルとして制作する。2本撮りは制作費を抑えるために、世界中で(というか、アメリカと日本くらいか)大人気なのだが、そんなTV会社の誘惑に乗せられても、彼はそれを自分の映画として成立させる。ただの娯楽大作にとどまらない。ちゃんとメジャー . . . 本文を読む
深川栄洋監督の最新作なのだが、今回の彼はダメだった。ここまでは器用になんでもこなしてきたのに、しかもこれは彼にとってはきっと得意のジャンルだったはずなのに、そこをハズしてしまった。どうしてこういうことになったのだろうか。不思議だ。
この場合は、ファンタジーというジャンルを逆手にとって、リアルで見せるほうがよかったはずなのに、そうはしなかった。コミカルは苦手なはずなのに、敢えてそこで勝負をかけた。 . . . 本文を読む
高校野球を題材にした作品である。『バッテリー』のあさのあつこが、今回は高校生と甲子園を描くのだが、彼女のことだから、わざと王道は行かない。甲子園には行けなかった子供たちの高校3年の夏を描く。のだ、と思った。だが、そこにはとどまらない。
地区大会優勝チームの辞退(よくある部員の不祥事である)により、たなぼたで、繰り上がり出場が決まった。そこから起こる出来事を勝者の視点ではなく、敗者の側から描いてい . . . 本文を読む
こういう女の子たちのお話は好きだ。みんながみんなそれぞれの不安を抱えて生きている。でも、それを表には出せない。自分の中に抱えて生きる。でも、ふとしたはずみで溢れだす。そうするともう、止まらない。4人の高校時代の同級生が東京で再会して、再び友だちとなる。卒業から14年後。もうそれぞれ、大人になり、結婚もしている。家庭を築き、安定した毎日を送っている。少なくとも表面的には。でも、そう見えるだけだ。
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名古屋から来た若手劇団だ。大阪初進出。チラシを見たときから、ちょっと気になった。こういう一見アングラっぽい芝居は嫌いではない。だが、このチラシ、よく見ると、とてもわかりやすい。劇団名のおどろおどろしさ(地獄)と、さわやかさ(牛乳)のミックスも、実は、彼らの生真面目さではないか、と思った。
そういう先入観を持って見た芝居は、僕の想像通りのもので、そのあまりの生真面目さに驚いた。なにもそこまで、とい . . . 本文を読む
「ディズニーのヒットアニメの映画化をどうしてフランス映画でするんだ、」なんて思ったけど、よぉーく考えると、これはジャン・コクトーの映画が原点だ。そういうことすら忘れさせるほどに、ディズニー映画の影響力は大きいということかぁ。
本当はこの映画を見る気はなかった。でも、たまたまくずはモールのTOHOシネマズに行く機会があり、(というか、『まほろ駅前狂騒曲』を見るためなのだが)もう1本見るなら、時間が . . . 本文を読む