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映画・演劇のレビュー

『マッドマックス 怒りのデスロード』 ②

2015-07-09 22:34:28 | 映画
満を持して見た公開初日の大スクリーンから、まだ2週間とちょっとしか経っていないのに、もう小さな劇場に鞍替えして、細々と上映されている。これだけのスケールの超大作なのに、思うようにはお客が入らない。今、映画はもう大衆の娯楽ではなくなったようだ。従来なら、これだけの凄い傑作なら、社会現象にもなったはず。30数年前のメル・ギブソンをスターダムの押し上げた3作はいずれも大ヒットした。今回は先の3作を遥か . . . 本文を読む
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ハレンチキャラメル『勾玉はまがったまんま!』

2015-07-09 22:33:08 | 演劇
1時間50分が長いって感じるのは、お約束に縛られて説明のためのストーリー回収に終始するからだ。今回はちょっと殺陣のシーンが短めに設定されていた気がしたが、それはストーリーの収拾に手間取ったからか。大衆演劇は完全に定番なので、本来説明はいらない。なのに、今回は不思議にもたもたしている。この手の作品は、説明よりも、個々のキャラクターを立たせる見せ場をしっかり作り、観客を満足させられたならばそれでいい . . . 本文を読む
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モンゴルズシアターカンパニー 蒙古地図『闘争 判断』

2015-07-09 22:30:49 | 演劇
もし、ヒトラーがフロイトと出会っていたなら。そういう魅力的な仮説に基づく2作品を別々の作家、演出家、キャストで描く2作品を同時上演する企画。それぞれ1時間の作品は全く独立し、リンクしない。そんなそっけないほどのさりげなさがいい。セットで何かを伝えるわけではない。時代も違う。アプローチも違う。でも、ふたつは同じようにヒトラーとフロイトの出会いを描く。共通項はそれだけ。もちろん、それ以上何もいらない . . . 本文を読む
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『ハンガーゲーム FINAL レジスタンス』

2015-07-09 22:29:23 | 映画
こんな映画ありえん、と思った。3部作の完結編のPART1だからある程度は覚悟したけど、ここまであからさまにやられたなら、腹立ちを通り越して呆然とするしかない。2時間の膨大な予告編を見せられた気分だ。そこには徒労しかない。期待すら抱かせない。 ここには何の意味もない。これではただのブリッジですらない。だいたいまともなストーリーすらないのだ。来るべき最終決戦に向けての心の準備が描かれるだけなのであ . . . 本文を読む
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『トゥモローランド』

2015-07-06 22:49:32 | 映画
ブラッド・バード監督の夢の世界。1964年ニューヨーク万博。そこにやってきた11歳の少年が、夢の世界のその先にある驚愕の世界に入り込む。さらには、それがとんでもない悪夢の世界。世界の未来を賭けた戦いに巻き込まれる。ウォルト・ディズニーの夢が悪夢となる。 11歳の発明狂の少年が45年経って初老のオヤジになっている。ジョージ・クルーニーだ。昔の彼のように夢を信じる17歳の少女に巻き込まれて、人類の未 . . . 本文を読む
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『ストレイヤーズ クロニクル』

2015-07-06 22:14:53 | 映画
瀬々敬久監督がこういう企画を引き受けたのにはそれなりの勝算があったはず。まぁ、なんでも器用にこなすことが出来るから安心して見ていられるはず。だけど、きっとそれだけではない。もっと何かがある、そう思って劇場に行く。彼は何に魅かれてこのオファーを受けたか。それが知りたくて見に行くのだ。 もちろんエンタメとして楽しめたならそれだけでもいい。始まったところで、これはちょっとした『サイボーグ009』実写版 . . . 本文を読む
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劇団未来『スィートホーム』

2015-07-06 21:16:51 | 演劇
毎回まるで傾向の違う作品に挑戦するしまひろみち演出作品第3作。3年目の今年は目黒、中学生両親祖母殺害事件に想を得た古川健の2014年作品を取り上げた。こういう社会派作品を初めて手掛ける。昨年の『定年ゴジラ』での手ざわりに近いものを感じた。これがしまさんの持つ感触なのだろう。彼の優しさはこの作品に於いても遺憾なく発揮される。家族劇である。壊れそうになった家族の絆を何とかして繋ぎ止めたい。不可能かもし . . . 本文を読む
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ジャブジャブサーキット『さよならウイキペディア』

2015-07-04 07:08:20 | 演劇
今回のジャブジャブは軽い。この軽やかさは、悪くない。重い問題を扱うから、敢えてこういうスタンスで臨んだのだろう。町中のごみごみしたビルの立ち並ぶ一角、その屋上が舞台だ。6階建てのビルの屋上が、隣の同じ高さのビルとつながっている。というか、つながってなんかなかったのに、つなげたようなのだ。こんなことしていいわけがない。危険だし、警察とか、消防に見つかれば、大目玉を食らうのではないか。(でも、捜査に . . . 本文を読む
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『おかあさんの木』

2015-07-04 06:48:37 | 映画
今、こういう映画にはお客さんが入らない。わかっていたことだ。でも、もしかしたら、とも思った。とても丁寧に作られたいい作品なのだ。 なのに、見事に興業は不発だ。しかも、若い人たちは見ない。作り手は、彼らにこそ見てもらいたかったはずだ。なんだか、悔しいけど。そういう意味では惨敗だ。同日に見た『イニシェーション・ラブ』に完全に負けている。わざわざ映画館に足を運ばせるだけのインパクトはなかったのか。も . . . 本文を読む
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『イニシエーション・ラブ』

2015-07-04 06:36:36 | 映画
若いカップルでいっぱいになった劇場で見る。公開からもう1カ月以上になるのに、よく入っている。しかもお客さんの反応もいい。みんなこの映画に騙されに来ている。映画はあざといくらいに謎めいて、ドキドキさせながら、最後まで緊張を持続する。デートムービーにぴったりの作品だ。「ラスト5分あなたは必ず騙される、」という感じのキャッチフレーズにだまされて、劇場に来たカップルたちは、ちゃんと騙されて大満足で劇場を . . . 本文を読む
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カナリヤンなショートプレイフェスティバルVol.3

2015-07-04 06:28:48 | 演劇
今回の4団体は(と言いながら、実は3団体しか見られなかった。ただ、僕が見てない「しまうまパンダ」も含めて)とても個性的なグループばかりで、見ていて楽しかった。こういう劇団があるんだ、という新鮮な驚き。カナリアヤンなショートプレイフェスの唯一の約束事である30分という枠を生かして、短編だからできることに、どの団体も果敢に挑戦しているのがいい。時間をもてあますこともなく、時間が足りなくて消化不良を起 . . . 本文を読む
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七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

2015-07-01 23:55:35 | その他
こういうSFタッチのラブストーリーって「映画」は大好きなのできっとこれもすぐに映画化されることだろう。タイトルは完全にネタばれになっているから、安心して内容も書けるのだが、(でも、お話の仕掛けを楽しみたい人はこの先を読まないで欲しい。先にまず本を手に取り、読んでもらいたい。)別にストーリー紹介がしたいわけではない。 ただ、昔の大林映画が好きな人にはお勧めする。胸キュン作品なのだ。ラストはもう切 . . . 本文を読む
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May『零度の掌』

2015-07-01 23:54:46 | 演劇
金哲義は、というかMayは、他の劇団とは別だ。彼らの確固とした世界は劇団というよりも演劇を通した「戦い」である。自分たちをどこまで突き詰めていくか。演劇という表現を使い、自分自身、そして自分たち民族の生きざまがそこには指示される。これが普遍性を獲得するのはその一点に尽きる。今までの作品もこれからの作品もきっと同じだ。自分とは何なのか。世界との確執の中で、どこに向かうのか。 今回取り上げたのは北 . . . 本文を読む
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G・フォレスタ『青い空の真下で』

2015-07-01 23:52:12 | 演劇
15年前に上演された初演を見ている。あの時は大阪での上演だった。(確かHEPホールだったのではないか)まだ、Gフォレスタが誕生して間もない頃だ。阪神淡路大震災を真正面から取り上げて、コミカルでハートフルな作品に仕立てようとした。ハードルは高いけど、誠実に挑んだ作品だった。5年後にも再演され今回が3度目となる。 「阪神淡路大震災20年公演」と銘打った。さらには、これが東日本大震災の後で作られるこ . . . 本文を読む
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『脳内ポイズンベリー』

2015-07-01 23:51:37 | 映画
このバカバカしい映画を成功させたのは、まず、真木よう子のあのお人形さんのような無表情だ。理解不可能な事態に陥り機能停止になる。23歳の恋人とは世代間のギャップを感じるけど、30歳の我が身にも同じような齟齬を感じている。無表情は拒絶ではない。不安がマックスになった時、人はそうなる。 そんな彼女の内面はその「脳内」で描かれる。この映画のアイデアはそこに尽きる。だが、これって、ウディ・アレンは『セッ . . . 本文を読む
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