さぁ、続いて第3弾、いってみよう! 冒頭からもうやり尽くしたから、どうとでもなれ、みたいなノリで、飛ばす、飛ばす。恐るべし園子温。もう、恐れを知らぬ化け物。まぁ、今に始まったことではない。『うつしみ』とか、昔からそんな映画ばかりだったけど。でも、今回は自主映画ではなくちゃんとした商業映画のはずなのだ。これなんかなんと天下の松竹映画ですよ。ありえません。
女子高生たちが胴体から切断されて血がぶち . . . 本文を読む
怒濤の園子温3カ月3連続の第2作。彼は今、一時の三池崇史状態になっている。今まさに絶頂期にある園子温が念願の企画を実現させたのがこの作品であるらしい。20数年前から温めていた妄想が実際に映画化されるなんて本人も思いもしなかったのではないか。勢いというのは恐ろしい。なんでもやれる。もちろん、そんな幸せな人は世界広しといえども、ほんの一握りだろうし、それが今の彼なのだ。『自転車吐息』の頃からずっと見て . . . 本文を読む
なんだか、いいなぁ、と思った。何がいいのか、というと、みんなが着物を着ていて、なんだか、優雅で楽しそう。なんと今回は川口ゆう子さんが登場するのだ。チラシにはさりげなく「演奏、菊徳優子」と書かれてあったけど、それが川口さんだなんて劇場に入るまで知らなかった。(まぁ、知ってる人はみんな知ってたんだろうけど)川口さんはあみゅーずの創立メンバーだ。そんな彼女が三味線を奏でる。(なんと彼女は当道音楽会所属 . . . 本文を読む
昨年の落語家のお話に続いて、今回は活動屋(映画のこと、ね)のお話。久々になるげんだつば脚本作品だけど、彼の個性よりも、前作の雰囲気を引き継ぐ感じのほうが前面に出ていて、そこに今の劇団のスタンスすら感じさせられた。戦時中を舞台にした前作に続いて、今回は戦後を舞台にする。どちらも、「戦争」が背後に大きく影響する。GHQによる検閲問題も盛り込みながら、全体は重くならず、ちょっとしたコメディ仕立て。メイ . . . 本文を読む
あまりに素人臭くて、学芸会みたいで最初はかなり驚く。劇団往来が手掛けるのに、これはないだろ、と思うほどだ。舞台は装置もなく、ほとんど素舞台。お話は不思議な世界に迷い込んだ女の子がいろんな人たちと出会い、生まれてきたことの意味を知る、なんていうよくあるお話。サブタイトルに「うまれてきて、ほんとうによかった。うまれてくれて、ほんとうにありがとう」とある。もうこれだけで、お話のほぼすべてを説明してある . . . 本文を読む
上下2巻で800ページに及ぶ長編だ。しかも、主人公は誰なのか、なかなか明確にはならない。最初のページに登場人物紹介が載っているけど、その1番に書かれてある人物が主人公ではないなんて思いもしなかったから、前半を読み終えて、おいおい、主人公ってまだちゃんと登場してないじゃないか、と思った。でも、主要人物を登場順で書いていたみたい。まぁ、そんなのどうでもいいことなのだが。
あまりにたくさんの中心人物が . . . 本文を読む
細田守監督の3年振り、待望の最新作だ。そして期待に違わず、前作『おおかみ こどもの雨と雪』を引き継いで、あれ以上の作品をここに提示してくれるのだ。これだけのスケールで、豪快なドラマを展開しながら、実に繊細で泣かせる。彼は『時をかける少女』からここまで立ち止まることなく、進化し続ける。
特に素晴らしいのは17歳に青年になってからの部分だ。大人になった彼に熊徹は取り残されていく。子離れできない、永遠 . . . 本文を読む
こうこなくっちゃ、と快哉を叫ぶ。『アベンジャーズ』の不満はここにあるのだ。僕はまずお話。どんな凄い映像を見せられても、すぐに飽きる。貪欲にもっと凄いものを見せろ、と観客の欲求はエスカレートするばかりだ。しかも、その期待に応えても、あまり喜ばれない。作り手の苦労なんか観客は顧みないばかりか、さらにハードルを上げてくる。際限ない。必要なことはそこではないと、この映画は教えてくれる。
思い起こせば、最 . . . 本文を読む
単純に一番楽しみにしていた映画だ。そりゃぁ、不安もいっぱいある。前作を見た時、楽しかった。でも、こういうのは一度限りのことではないか、とも思った。前作を超えなくてはならないというプレッシャーと、反対にマンネリ化。どちらも充分ある。そんな中で、過剰な期待を跳ね返すだけのものを作らなくてはならない。
で、映画は単純におもしろかった。だが、やはり、僕はもうムリだ、とも思う。冒頭からアベンジャーズが総 . . . 本文を読む
1時間15分ほどの短い芝居だ。だけど、この静謐を湛えた程よい緊張感が心地よい。闇の中に浮かび上がるほんの少しの灯り。誰かがそこにいる。小さくなって蹲るようにして、そこにいる。視界は狭い。観客である僕たちの視線は彼女の手元に集中する。何がそこにあるのか。何が起きようとしているのか、注目する。だが、なかなかそこからお話は展開していこうとしない。なかなか明るくもならない。
その先も同様。徒に時は過ぎ . . . 本文を読む
ひとりの少女の殺害事件を発端にして浮かび上がってくる40数名に及ぶ子供たちの連続殺人事件。しかし、当局はこの国には殺人はない、という前提のもと、すべてを闇に葬ってしまう。1950年代、スターリンによる独裁政権下、社会主義国家は、恐怖政治のもと、個人の自由はなく、暗黒社会だった。本当のことは言えない。いつ、誰による密告で告発されるかも知れない。怯えながら生きるしかない。権力は平気でなんの罪もない市民 . . . 本文を読む
後編なのに、途中で話が終わるって詐欺ではないか。全くなんの情報もなく見たから、あの終わり方には正直驚いた。あんな不意打ちはない。
事前に「前編」を見て置くつもりが、時間がなくて、見ないままで先にこの後編を見ることになって、ちょっと不安だったけど、そこは大丈夫だった。支障なく作品世界に入れた。最初に前回のあらすじがあり、それがわかりやすくコンパクトのまとめてあったのがよかった。
話の展開は緩やか . . . 本文を読む
最近こういうパターンが多すぎではないか。TVアニメの再編集による劇場版。観客のニーズに応えたのだろうけど、映画館は商売になるのならなんでもやる。そういう無節操さは、映画産業が生き残るために必要だけど、なんだかなぁ、と思う。じゃぁ、見なければいいのだが、ついつい見てしまう。
こういうスポーツものは、第1章にあたる部分こそが一番面白い。これもそうだろう。高校に入ってさっそくバレー部に入部した2人の . . . 本文を読む
今年の課題図書に選ばれた作品だ。中学の部だが、高校生も、むしろこちらの方を読んだほうがいい。とてもよくできたファンタジー。でも、ほんとうはこれをファンタジーとして括るのはつまらない。湯本香津実の『夏の庭』の続編で、(もちろん、嘘です。全く区別の作品なのだが、手触りが酷似しているのだ。)こちらはおじいちゃんが死んだ後のお話。
死んだおじいちゃんの遺品整理のため、おじいちゃんの家に滞在する6日間の . . . 本文を読む
2人の女の出会いを描く。お互いにその存在すら知らず別れ別れになっていた姉と妹。1枚の絵が、ふたりをつなぐ。主人公は何不自由なく生きてきたお嬢さま。父親の会社が経営する私設美術館の学芸員であり、絵画コレクター。もうひとりは、孤児で、日本画の大家の養女である新進画家。
ある画廊で、たまたま見かけた1枚の絵、心惹かれて、それを購入する。そこからふたりは出会い、お互いの出自を知る。重くて暗くて息苦しい . . . 本文を読む