習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ジャンク・ヘッド』

2022-02-20 19:53:12 | 映画
7年の歳月をかけてひとりでコツコツ作り上げたという評判のストップモーションアニメ映画だ。すさまじい情熱を注ぎ、完成させたのだろう。完成から日本での公開までも4年かかっているようだ。昨年小さなマーケットではあるが大ヒットした映画である。公開時に劇場に見に行きたかったけど、なかなか時間が合わずに断念したのだが、アマゾンで配信がスタートしたので、喜んで早速見た。 だけど、期待にはかなわず、なんだかテン . . . 本文を読む
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『ブルーバイユー』

2022-02-20 10:16:40 | 映画
公開2週目から一日1回上映に減らされてしまい、梅田では6時の回だけ。さっそく土曜日だけど時間の都合がついたので見てきた。観客は10人弱だった。こういう地味な映画はダメなのか、と思う。でも、作品自体は素晴らしい。韓国から3歳の時にアメリカに養子としてやってきて、40代になり結婚もしているし、子供もいる(しかも、もうすぐ赤ちゃんが生まれる)男が、移民の強制送還によって(韓国語もしゃべれないし、身寄りも . . . 本文を読む
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BALBOLABO『君といつまでも 痴人の愛・現代篇』

2022-02-20 09:07:29 | 演劇
今、なぜ谷崎? しかもよりによって『痴人の愛』って? オカモト國ヒコの新作である。彼がこの題材のどこに目を付け、わざわざ今、これを芝居にしたのか。興味津々で見た。コロナ禍で小劇場での演劇の中止や延期が続く中、急遽この企画が立ち上がり、上演されたらしい。いろんな事情があるのだろうけど、それでもこんな古臭いお話を今作る意味がどこにあるのか、とても気になる。 谷崎潤一郎の『痴人の愛』を現代風にアレンジ . . . 本文を読む
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高楼方子『黄色い夏の日』

2022-02-20 08:36:04 | その他
福音館創作童話シリーズとある。だから子供向けの小説だね、と思う。(ヤングアダルト小説の棚にあったのだけれど、)だけど、これはそんな枠には収まらない作品だった。高楼方子の本を読むのはこれが初めてだが、驚いた。こんな小説を書く人がいたんだ、と。(後で調べると彼女は児童文学の大御所で図書館にはものすごい量の本が並んでいた) 一見するとこれはよくある「少年のひと夏の小さな冒険」の体裁をとるのだが、ここに . . . 本文を読む
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『HOMESTAY ホームステイ』

2022-02-18 20:02:02 | 映画
アマゾンプライムのオリジナル映画として撮られた作品。瀬田なつき監督の最新作だ。森絵都の『カラフル』のなんと4度目の映画化。アニメ映画になり、タイ映画にもなったこの小説が再び日本で実写映画化となる。今回も原作の『カラフル』ではなく前回のタイ映画と同じタイトルになっている。映画としてのタッチも小説より、前回のタイ映画のテイストと近い。 原作に忠実に作るのではなく、このお話の枠組みをどれだけうまく活用 . . . 本文を読む
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神戸遥真『恋とシェイクとバレンタイン』

2022-02-18 10:58:57 | その他
「Eバーガー」シリーズの第4作。セカンドシーズン第1章。ということは、またこれも3部作なのか。今回もお話は途中で終わるし。 ふつうの女の子。15歳(か、16歳)高校1年生。ファーストフード店でアルバイトを始める。そこで好きな人ができたり、職場の仲間と仲良くなり、世界が広がる。ファーストシーズンの主人公である優芽ちゃんもちゃんと脇役として出てくる。ただ、もう前3部作でこのパターンはやり尽くしている . . . 本文を読む
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奥田亜希子『求めよ、さらば』

2022-02-18 10:00:14 | その他
これは100パーセントの純愛小説である。それだけで充分だ。いらぬ先入観は持たない方がいい。何も知らないまま、読んでみればいい。まず、読んで欲しい。それからなら、この僕の感想を読んでもいい。これは素晴らしい小説である。 求めよ、さらば与えられん。果たしてそうか? 世の中そんな簡単なものではない。求めても叶わないことばかりだ。もちろん聖書の意味はそういうことではない。だけど、僕たちはそういうふうに自 . . . 本文を読む
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『瀑布』

2022-02-16 14:08:44 | 映画
2021年の最新台湾映画。コロナ禍を正面から扱う。2020年夏から21年にかけてがお話の背景となる。というか、背景ではなく前面に押し出される。あの頃でなくては成り立たない映画をこのタイミングで作るなんて大胆としか言いようがない。昨年日本でもコロナ禍の人々の営みを前面に押し出した映画が作られた。その代表作は石井裕也監督の『茜色に焼かれる』であろうが、この台湾映画はあの映画のさらに上を行く大胆さだ。当 . . . 本文を読む
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『滑走路』

2022-02-16 10:28:27 | 映画
思いがけない傑作に出会えた。それがこの作品だ。まるで期待しないで、でも短歌の映画化というので先日の『春原さんのうた』と同じじゃん、と思い、なんとなく見始めたのだが、(宣伝文句には「あふれる才能を遺し、突然この世を去った歌人の 遺作となった唯一の歌集完全映画化」とある)それがもう圧倒的で繊細な映画で感心した。 別々の3つのお話が同時進行してやがてひとつになっていく。中学時代の虐め。そこで展開する3 . . . 本文を読む
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高橋文樹『アウレリャーノがやってくる』

2022-02-16 09:47:40 | その他
かわいい表紙を見て何も考えずに手に取った。読み始めて驚く。なんなんだ、これは、と思う。勝手に思い込んでこれを軽いタッチの青春小説だと思っていたからだ。この異常な展開にアタフタしているうちに、どんどん作品世界に取り込まれていく。この15年間も封印されていたという幻の「第39回新潮新人賞」受賞作品に圧倒された。 東北生まれの美貌の青年アマネヒト(この名前も何なんだと思う。漢字で書くと、フルネームは天 . . . 本文を読む
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『ウエスト・サイド・ストーリー』

2022-02-14 19:45:43 | 映画
ようやく公開になったスピルバーグの新作だ。この正月の公開が急遽またまた延期になり、2月11日に変更。さすがに今回は見送られることなく公開が始まったけど、きっと思ったような動員は出来ないのではないか。だいたい今更『ウエスト・サイド』って、と思う。あまりに有名になりすぎた映画界のレジェンドである。この歴史的名作を今の時代にリメイクするということにどういう意義があるのか、よくわからない。しかも、こういう . . . 本文を読む
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『電気工事士』

2022-02-14 09:35:42 | 映画
なんとそっけないタイトル。1時間18分という上映時間の短さ。これはいったいどんな映画なのか、と気になった。それにいろんな映画祭で賞を取っているみたいで、もしかしたら隠れた傑作か、と少し期待も。解説には「予算もなく、プロではない俳優を使って5年かけて作られた作品。数々の賞を受賞したイギリスのインディペンデント映画」とある。監督はスティーブ・コンウェイ。もちろんどこの誰とも知れない。 アマゾンで配信 . . . 本文を読む
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山本文緒『自転しながら公転する』

2022-02-14 09:03:47 | その他
山本文緒最期の長編小説をようやく読み始めた。約500ぺージのかなりの長編である。32歳の女性、都。アウトレット店員(契約社員)、独身、恋人はいるけど、2歳年下で、彼は今はフラフラしていて結婚の意思はない。彼女は母親の介護のため東京から実家に戻ってきた。母親の病気は更年期障害で、病院の付き添いや家事をしなくてはならないから。1年経ち少しは落ち着いたけどまだ不安定。そんな女性の日々の暮らしが綴られてい . . . 本文を読む
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『ムーンライト・シャドウ』他2本

2022-02-13 09:33:08 | 映画
3本続けて不思議な映画を見た。何がしたいのやらよくわからない映画だ。一言、「つまらない」と切り捨ててもいい。でも、それにしてもあまりに潔くわがままな作り方を貫きすぎていて、快感でもある。なんなんだ、これは、という思いばかり。 1本目がこの『ムーンライト・シャドウ』だ。マレーシア出身のレイモンド・ヨウという人が監督した日本映画だ。吉本ばななの初期短編の映画化である。彼女のデビュー作であり代表作でも . . . 本文を読む
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はんだ浩恵『ソラモリさんとわたし』

2022-02-13 08:26:04 | その他
これもまた、たまたま手にした本なのだけど、これがまた実に素敵な本で、神さまに感謝。近所の図書館がしばらく蔵書点検のため休館で、借りていた本が尽きた。仕方なく用事のついでに少し遠くの図書館に寄ると、新刊コーナーにこの本が並んでたのだ。表紙も好みだし、児童書なので一瞬で読めるから、速攻借りてしまった。そして早速読み始めたら、止まらない。しかも愛おしいから読み終えたくない。ずっとゆっくりと読んでいたいな . . . 本文を読む
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