今回も江頭美智留さんの台本を使う。(今回の演出は倉田操。)前作『ナビゲーション』に続くこの新作は、彼女が関わってきた世界であるTV局のお話。彼女の勝手知ったる世界を舞台にしたコメディだ。ドラマ作りのてんやわんやの舞台裏でのドタバタ騒動を描く群像劇。ワンシチュエーションでラストまで一気に見せるはずのドラマだが、幾分単調に流れていくから、緊張が何度か途切れるのが残念だ。主人公の新人女優上白石萌(梅山恋 . . . 本文を読む
神原さんの9月公演。今年もちゃんと年4回の公演をこなす。予定通りに。今回の秋公演はしっとりした芝居で、まさかの誰も死なない芝居である。しかも時代劇なのに。
幕末の大阪を舞台にした斬り合いもない人情劇。だが、そこには確かにいつも通りの死の匂いがしている。別れ別れになった父と子の再会。同じように別れ別れになった兄と妹の再会が重なっていく。しかも、その両者は別のふたりではなく、同じひとりだ . . . 本文を読む
かなり期待した。一昨日飛行機の中で、少し見ている。(別項参照) 一刻も早く見たくてワクワクしながら公開初日に劇場に行く。だが、残念ながら今回の映画は失敗している。
だいたいこの作品はシリーズ化して続編を作るべき作品ではなかったと改めて思う。1本の読み切り映画なのだ。なのに予想外の大ヒットからシリーズ物になってしまった不幸な映画なのである。
第一作は105分で、決して . . . 本文を読む
これはまさかの感動大作だ。ラストの怒濤の展開には涙が止まらない。自分たちは死ぬけど、あの子だけは未来に届けたい。彼女はふたりの未来の娘だから。たとえ彼女が両親(自分たちだ)と別れてひとりになるとしても。少女はふたりと一緒にいたいから、現実に戻りたくない。引き裂かれる互いの想い。3人3様の想いを抱えて、たどり着いた結末が美しい。14歳のまま閉ざされた時間を生きるふたり。ひとりになっても未来に向けて生 . . . 本文を読む
台湾からの帰りの飛行機の中で、10分ほど見た。なんと真田広之とドニー・イェンである。彼らふたりがバトルを繰り広げる「アメリカ映画」(香港映画でも日本映画でもない!)を見ることができるなんて夢のようだ。そのシーンやもちろんキアヌのアクションも少しプレビューを兼ねて見た。
見た場面には字幕はほとんどないし、全編アクションシーンの連打。ピックアップして幾つかのシーンを見たけど、全編がダークトーンでアク . . . 本文を読む
台湾からの帰りの飛行機の中でこれを見た。今年No.1ヒットになった映画である。普通ならもちろん、僕は見ないタイプの映画。だから当然劇場では見てない。しかもゲームはしないし、興味はない。
だけど、今回、これなら何も考えず頭を空っぽにして見るのにちょうどいいし、せっかくの機会だからとチョイスした。上映時間も短くフライト中にピッタリ。ビールを飲みながら機内食を食べて、コーヒーしながら、少し居眠りして見 . . . 本文を読む
さらに旅の後半、舞台を高雄から台北に移したところから、この作品に。川端の中編である。初めてこれを読む。唖然とする。こんな変態小説を川端康成は書いていたのか。『掌の小説』も大概だけどこれは短編集ではなく一応長編小説である。怒濤の変態男の話。トルコ風呂で湯女に醜い足を晒すところから始まる。彼の恋愛遍歴が描かれる。
まず彼は女子高生のストーカーで、家まで平気で追いかけて来る。彼はそ . . . 本文を読む
後半戦に入った。まだまだ続く。ゾンビの群れのように溢れかえる妻たち。彼女たちは夫の帰りを待ち、駅にやって来た。だが、夫にとっては恐怖以外の何者でもない。しかもそこには妻ではない女までいる。かつての愛人だ。(『時雨の駅』)
家族の恐怖を描く連作が続く。妻だけではない。妹や弟、終いには犬まで。サイフを盗まれたり、質屋に行ってきたり。妻が踊子とか、なんなんだこれは、という作品が並ぶ。悪 . . . 本文を読む
台湾全土ロードショーに先駆けて15日からの先行公開初日に見に行く。最速上映。もちろん日本公開はいつになるかわからないし、公開しないかも知れない。高雄の内惟藝術中心で見る。第1回の上映だから世界最速上映だ。凄い。(実はそうではないけど。台湾各地でこの先行上映がなされていたことを後で知る。そりゃそうだろう。だが、この瞬間僕は知らない)しかも、まさかのことだが、ここでは観客は僕たちふたりだけだった。なん . . . 本文を読む
なんと600ページ以上もある。そこには120以上の掌編が収められてある。川端文学の集大成。昔読んだことがある(気がする)が、あまり面白くはなかった(気がする)。子どもだったから、か。今60を過ぎて、読み返すと、やはりあまり面白くない。10代の感覚は正しい。というか、僕はまだ「お子ちゃま」なのかもしれない。忘れたがたぶん当時は途中で投げ出してしまったのだろう。
あまり面白くないと書 . . . 本文を読む
石井裕也監督2018年作品。こんな映画があるなんて知らなかった。たまたま飛行機の中で見たのだが、拾い物。メーテレで作った小さな映画だが、描きたいことが明確。もともとはTVドラマとして作った後、完全版を劇場で公開したみたいだ。主人公である妻夫木聡(亡くなった2歳児の父親であり、事件を追う新聞記者)の持って行き場のない怒りが、さまざまな人たちにぶつけられるさまを丁寧に追っていく。原因はひとつに集約は出 . . . 本文を読む
Netflixが全8話ドラマシリーズとして製作し、全世界で独占配信している実写版『ONE PIECE』の第1話を見た。あれから1週間が経つけど、2話から先をまだ見ていない。1話はなかなかよく出来ていた。1時間でルフィの出自から旅立ちまでがコンパクトに描かれている。ゾロ役の新田真剣佑も見せ場満載でカッコいい。ただこの先を早く見たいというワクワクはないから、1本でストップしてしまった。あのワンピースを . . . 本文を読む
現役学生劇団の芝居を見るなんてほんとに久しぶりのことだ。今回たまたま芸術創造館でチラシをもらって、偶然翌週のその日が暇だったから、見ることにした。もちろんそれだけではなく、チラシを見て心惹かれるものがあったからなのだが。
キャストだけで21名。(さすが老舗学生劇団)無駄に多い。もちろん芝居は稚拙。舞台中央には不時着した宇宙船の残骸。上手には階段。上の部屋への入り口が作られている。その部屋には「ヒ . . . 本文を読む
大切な修学旅行の1日、班別自由行動の日に彼ら4人は「日野」というところに行く。どこだ、そこは。なんでそこなんだ。
主人公の誠が行きたいと言ったからだ。彼はそこで暮らす2年前に別れた叔父に会いに行きたい。ただ、会うために、そんな誠のわがままにクラスの3人は貴重な1日を使って同行する。同じ班の女子たちも協力する。
誠は叔父さんに育てられた。だが、生き別れになった。1 . . . 本文を読む
2022年8月24日に亡くなられた光原百合さんの追悼作品集。今まで単行本には収録されてなかった作品を収めた文庫オリジナルアンソロジー。タイトルにもなっているデビュー前の初期の短編2作に、潮ノ道(彼女の故郷である尾道をモデルにした架空の町)を舞台にした『黄昏飛行』シリーズ2作を含む3作品を中心にして、初期のミステリ、ファンタジー、おとぎ話等を収めた。
そこには優しくて懐かしい世界が広がる。彼女のさ . . . 本文を読む